第一幕 甘い寄り道
マーガレットの街は、午後の柔らかな日差しに包まれていた。
石畳の通りには多くの人々が行き交い、道沿いに並ぶ店からは威勢のいい呼び声が聞こえてくる。
そんな賑やかな街並みを、イリスとメイビスは並んで歩いていた。
「イリスさん! こっちです!」
「ふふっ。そんなに急がなくても大丈夫ですよ」
「でも、早く行かないと売り切れてしまうかもしれません!」
「それは先ほども聞きましたよ?」
「大事なことなので、何度でも言います!」
メイビスは真剣な表情で答えた。
その様子に、イリスは思わず笑ってしまう。
先ほどまで蛇姫の鱗でギルド運営について熱心に学んでいた少女と、目の前で焼き菓子を楽しみにしている少女。
どちらも、イリスのよく知るメイビスだった。
「あっ! 見えてきました!」
メイビスが指差した先には、小さな焼き菓子店があった。
木製の看板には可愛らしい花の模様が描かれ、店先には焼きたてのお菓子が並べられている。
近づくにつれて、バターと砂糖の甘い香りが漂ってきた。
「わあ……!」
メイビスの目が輝く。
「いい匂いですね!」
「ええ。本当に」
イリスも微笑んだ。
店先には、丸いクッキーや小さな焼き菓子、果物を使ったタルトなどが並んでいた。
「いらっしゃい!」
店の奥から、ふくよかな女性が顔を出した。
「おや、可愛らしいお客さんたちだね!」
「こんにちは!」
メイビスが元気よく挨拶する。
「こんにちは。美味しそうなお菓子ですね」
イリスも丁寧に頭を下げた。
「ありがとうね! 今朝から焼いている自慢のお菓子ばかりだよ!」
「全部美味しそうです!」
メイビスは真剣な表情で店先を見つめた。
「……むむむ」
「メイビスさん?」
「これは難しい問題です……!」
「……問題?」
「どれを買うべきか、決められません!」
あまりにも真剣な声だったので、イリスは一瞬返事に困ってしまった。
そして。
「ふふっ……!」
堪えきれずに笑い出す。
「イ、イリスさん! 笑わないでください!」
「すみません。でも、そんなに真剣に悩んでいるものですから」
「だって、全部美味しそうなんですよ!」
「そうですね」
イリスは並んだ焼き菓子を眺めた。
「では、いくつか違う種類を買って、二人で分けませんか?」
「……!」
メイビスが勢いよく顔を上げた。
「その手がありました!」
「ふふっ。名案でしょう?」
「はい! さすがイリスさんです!」
店の女性が楽しそうに笑う。
「あはは! 仲がいいねえ!」
「はい! 私たち、友達なんです!」
メイビスが嬉しそうに答える。
イリスも微笑んだ。
「ええ。大切な友達です」
「まあまあ。そうかい!」
女性はにっこり笑った。
「それなら、こっちの花蜜クッキーもおすすめだよ。マーガレットの近くで採れる花の蜜を使っているんだ」
「花の蜜!」
メイビスが目を輝かせる。
「それもください!」
「ふふっ。では、私はこちらの果物のタルトを」
「はいよ!」
そうして二人は、いくつかの焼き菓子を買った。
店を出ると、メイビスはさっそく包みを開こうとする。
「イリスさん! 食べましょう!」
「ここでですか?」
「はい!」
「ふふっ。では、あちらのベンチに座りましょうか」
通りの脇に置かれた木製のベンチへ腰を下ろし、二人は焼き菓子を分け合った。
メイビスが最初に選んだのは、花蜜クッキーだった。
「いただきます!」
小さく一口かじる。
次の瞬間。
「……!」
メイビスの表情がぱっと明るくなった。
「美味しいです!」
「本当ですか?」
「はい! 甘いんですけど、花の香りがするんです!」
「それは楽しみですね」
イリスも一枚手に取った。
さくり、と軽い音がする。
口の中に広がる優しい甘さと、ほのかな花の香り。
「……ふふっ。確かに美味しいですね」
「でしょう!?」
メイビスは嬉しそうに笑った。
それから、二人はほかの焼き菓子も少しずつ味わった。
果物のタルトは甘酸っぱく、香ばしい焼き菓子には砕いた木の実が入っていた。
「イリスさん、こちらも食べてみてください!」
「ありがとうございます。では、こちらもどうぞ」
「わあ! ありがとうございます!」
そんなやり取りを繰り返しているうちに、包みの中身は少しずつ減っていった。
ふと、メイビスが満足そうに息を吐く。
「……幸せです」
「ふふっ。それはよかったです」
「旅って、楽しいですね!」
「そうですね」
イリスは微笑んだ。
まだ知らない街。
初めて食べるお菓子。
そして、隣には楽しそうに笑う友達がいる。
こういう時間も、旅の大切な楽しみなのだろう。
「さて、メイビスさん」
「はい?」
「そろそろ、ほかの場所も見て回りませんか?」
「もちろんです!」
メイビスは勢いよく立ち上がった。
「次はどこへ行きましょう!」
「ふふっ。まだ時間がありますから、ゆっくり歩いてみましょうか」
「はい!」
二人は再び、マーガレットの街へと歩き出した。
――――――――――
第二幕 夕暮れの噴水広場
それから二人は、マーガレットの街をゆっくりと見て回った。
色とりどりの布が並ぶ商店。
珍しい装飾品を扱う小さな店。
通りの一角では、楽器を演奏する旅芸人たちが人々を楽しませていた。
「わあ! イリスさん、見てください!」
「ふふっ。綺麗な音色ですね」
メイビスは足を止め、楽しそうに演奏へ耳を傾けた。
軽快な音楽に合わせて、小さな子供たちが踊っている。
その姿を見て、メイビスも自然と身体を揺らし始めた。
「……ふふっ」
「イリスさん?」
「いえ。メイビスさんも踊りたいのかなと思いまして」
「えっ!?」
メイビスが目を丸くする。
「そ、そんなことありませんよ!」
「そうですか?」
「……ちょっとだけです!」
「ふふっ。正直ですね」
二人は顔を見合わせて笑った。
やがて、街を歩く人々の影が長く伸び始める。
空は少しずつ茜色へ変わり、建物の屋根が夕日に照らされていた。
「……あっ!」
メイビスが何かを思い出したように声を上げる。
「イリスさん! 噴水広場です!」
「そうでしたね」
イリスは微笑んだ。
「セレスティアさんがおすすめしてくださった場所ですね」
「はい! 行きましょう!」
二人は通りを抜け、街の中心にある噴水広場へ向かった。
そして。
「……わあ」
広場へ足を踏み入れた瞬間、メイビスが小さく声を漏らした。
大きな円形の広場。
中央には美しい彫刻が施された噴水があり、いくつもの水流が夕日に照らされて輝いている。
水面には茜色の空が映り込み、飛び散る水滴が宝石のようにきらめいていた。
周囲には花壇が並び、色とりどりの花が夕風に揺れている。
「……綺麗ですね」
メイビスが呟いた。
「ええ……」
イリスも、思わず足を止めていた。
夕日に染まる街並み。
噴水から聞こえる穏やかな水音。
行き交う人々の楽しそうな声。
そのすべてが、一つの美しい景色を作り出していた。
「セレスティアさんの言ったとおりですね!」
「ふふっ。本当に」
イリスは微笑んだ。
「来てよかったです」
二人は噴水の近くにあるベンチへ腰を下ろした。
しばらくの間、言葉を交わさずに景色を眺める。
水面に映る夕焼けが、少しずつ色を変えていく。
「……イリスさん」
「はい?」
「イリスさんは、こういう景色が好きなんですよね?」
「ええ。大好きですよ」
イリスは穏やかに答えた。
「私のいた世界にも、綺麗な場所はたくさんありました」
「そうなんですか!」
「はい。山の上から見える雲海や、夜になると星が水面に映る湖……」
イリスは懐かしそうに微笑んだ。
「冒険者として各地を旅していた頃は、依頼の合間に景色を見に行くこともありました」
「わあ……!」
メイビスの目が輝く。
「素敵ですね!」
「ふふっ。そうですね」
「私も見てみたいです!」
「……そうですね」
イリスは少し考えた。
「いつか、お見せできたらいいのですが」
メイビスは嬉しそうに頷いた。
「はい!」
そして、噴水へ視線を戻す。
「でも、この世界にも綺麗な場所はたくさんありますよね!」
「ええ」
「天狼島も、マグノリアも、マーガレットも!」
「ふふっ。そうですね」
イリスは静かに微笑んだ。
「まだまだ、知らない場所がたくさんありそうです」
「だったら、これからいっぱい見つけましょう!」
「……はい」
イリスは頷いた。
「そうしましょう」
夕風が二人の髪を揺らした。
メイビスは噴水を眺めながら、楽しそうに話し始める。
「そういえば、今日のセレスティアさんのお話、とっても勉強になりました!」
「そうですね」
「帰ったら、プレヒトたちにも教えてあげたいです!」
「ふふっ。きっと喜びますよ」
「それに、蛇姫の鱗の書類の整理方法も参考になりました!」
「エマさんにもお話しするとよさそうですね」
「はい!」
メイビスは満足そうに頷いた。
「……でも」
「はい?」
「こうして旅をしていると、ギルドのみんなにも見せてあげたくなりますね」
イリスは小さく微笑んだ。
「そうですね」
「ユーリなら、きっとあの噴水に飛び込もうとします!」
「……ふふっ」
イリスは思わず笑ってしまった。
「それは、プレヒトさんが大変そうですね」
「はい! 絶対に怒られます!」
二人の笑い声が、夕暮れの広場に響いた。
やがて、太陽が建物の向こうへ沈み始める。
噴水の周囲にある街灯が、一つ、また一つと灯された。
夕焼けの赤と、街灯の柔らかな光。
昼間とは違う美しさが、広場を包み込んでいく。
「……綺麗ですね」
メイビスが、もう一度呟いた。
「ええ」
イリスは頷く。
「この景色は、きっと忘れません」
メイビスは嬉しそうに笑った。
「私もです!」
そうして二人は、空がすっかり暗くなるまで、マーガレットの夕景を楽しんだ。
――――――――――
第三幕 王都への道
翌朝。
マーガレットの街は、まだ静かな朝の空気に包まれていた。
宿を出たイリスとメイビスは、王都クロッカスへ向かう街道を歩いていた。
「お世話になりました!」
メイビスが宿の主人へ元気よく頭を下げる。
「ありがとうございました」
イリスも微笑んだ。
「またおいで!」
主人に見送られ、二人は街を後にした。
門を抜けると、目の前には緩やかな丘陵地帯が広がっていた。
朝日を浴びた草原が、風に揺れている。
「いい天気ですね!」
「ええ。旅日和ですね」
イリスは空を見上げた。
澄み渡った青空。
遠くには白い雲がゆっくりと流れている。
「王都までは、まだ少しかかりそうですね」
「そうですね。でも、楽しみです!」
メイビスは元気よく答えた。
「王都には、どんなものがあるんでしょう?」
「そうですね……」
イリスは少し考えた。
「大きな市場や、立派な建物もあるかもしれませんね」
「それに、本屋さんもたくさんありそうです!」
「ふふっ。メイビスさんらしいですね」
「だって、王都ですよ! きっと珍しい本もいっぱいあります!」
メイビスは嬉しそうに笑った。
「研究者さんを探すのも楽しみですけど、いろんな本を見て回りたいです!」
「ええ。時間があれば、ぜひ」
そんな話をしながら、二人は街道を進んでいった。
道中では、さまざまな旅人とすれ違った。
荷物を積んだ馬車。
商品を運ぶ商人たち。
大きな鞄を背負った旅人。
王都へ近づくにつれて、街道を行き交う人の数も増えていった。
昼頃。
二人は街道沿いにある小さな休憩所で足を止めた。
「ふう……!」
メイビスが木陰のベンチに腰を下ろす。
「少し休みましょう!」
「そうですね」
イリスも隣へ座った。
休憩所には、ほかにも数人の旅人がいた。
その中の一人、荷物を積んだ馬車のそばにいた商人が二人へ声をかけてきた。
「お嬢ちゃんたち、王都へ行くのかい?」
「はい!」
メイビスが元気よく答える。
「クロッカスへ向かっているんです!」
「そうかい。そりゃあ楽しみだな!」
商人は笑った。
「初めて行くのか?」
「はい!」
「それなら、きっと驚くぞ。あそこは大きいからなあ」
「そんなに大きいんですか!?」
「ああ。俺もいろんな町を回っているが、王都はやっぱり別格だよ」
商人は懐かしそうに笑った。
「市場も賑やかだし、珍しい品物も集まってくる。何より、街並みが綺麗なんだ」
「わあ……!」
メイビスの目が輝く。
「ますます楽しみになりました!」
「ははは! いい旅になるといいな!」
「ありがとうございます!」
イリスも丁寧に頭を下げた。
「お話を聞かせていただいて、ありがとうございました」
「いいってことよ!」
商人は笑いながら馬車へ戻っていった。
その背中を見送り、メイビスはイリスへ振り向く。
「イリスさん!」
「はい?」
「王都、すごく楽しみですね!」
「ふふっ。そうですね」
イリスは微笑んだ。
「私も、どんな景色が見られるのか楽しみです」
休憩を終えると、二人は再び歩き始めた。
街道は丘を越え、森のそばを通り、小さな川に架かる石橋を渡っていく。
途中、道端に咲く珍しい花を見つけて足を止めたり、丘の上から広がる景色を眺めたりすることもあった。
夜になれば、街道沿いの宿場町で休んだ。
宿の食堂では、その土地ならではの料理を楽しみ、翌朝にはまた旅を再開する。
そんな日々が、穏やかに過ぎていった。
そして、マーガレットを出発して数日後。
二人は、王都へ続く最後の丘を登っていた。
「イリスさん!」
先を歩いていたメイビスが、突然声を上げた。
「どうしました?」
「向こうに、何か見えます!」
イリスが顔を上げる。
丘の向こう。
遠くの地平線に、巨大な建造物の輪郭が見え始めていた。
「……あれは」
二人は自然と歩く速度を上げた。
そして、丘の頂上へたどり着く。
その瞬間。
「……わああっ!」
メイビスが歓声を上げた。
――――――――――
終幕 花の都クロッカス
二人の目の前に、壮大な景色が広がっていた。
遠くまで続く巨大な城壁。
その内側には、無数の建物が立ち並んでいる。
白い石造りの塔。
赤や青の屋根が連なる街並み。
そして、街の奥には、ひときわ大きな王宮がそびえていた。
「すごい……!」
メイビスは目を輝かせた。
「イリスさん! 見てください!」
「……ええ」
イリスも、思わず感嘆の声を漏らした。
「本当に、立派な都ですね」
マグノリアとも、マーガレットとも違う。
広大な街並みが、丘の向こうまで続いている。
王都クロッカス。
フィオーレ王国の中心に位置する、花の都。
その名にふさわしく、遠くからでも街のあちこちに花々が咲いているのが見えた。
「わあ……!」
メイビスはしばらく景色を眺めていた。
「こんなに大きな街、初めて見ました!」
「ふふっ。私も、この世界では初めてですね」
イリスは微笑んだ。
異世界へ来る前にも、大きな都市を訪れたことはある。
けれど、目の前に広がる王都には、この世界ならではの美しさがあった。
「……綺麗ですね」
イリスが静かに呟く。
その声を聞いて、メイビスが嬉しそうに笑った。
「はい!」
そして、勢いよく指を差す。
「イリスさん! 早く行きましょう!」
「ふふっ。そうですね」
二人は丘を下り、王都へ向かって歩き始めた。
近づくにつれて、城壁の大きさがはっきりとわかってくる。
巨大な門の前には、さまざまな人々が集まっていた。
商人たちの馬車。
旅装束の冒険者。
家族連れの旅行者。
門のそばでは衛兵たちが行き交う人々を見守っている。
「わあ……人がいっぱいです!」
「本当に賑やかですね」
二人は人の流れに沿って門をくぐった。
そして。
「……!」
メイビスが足を止めた。
門の向こうには、広々とした大通りが続いていた。
両側には美しい建物が並び、窓辺には色とりどりの花が飾られている。
通りには商店や露店が立ち並び、人々の楽しそうな声があちこちから聞こえてきた。
花の香りを含んだ風が、二人の髪を優しく揺らす。
「……すごいです!」
メイビスが嬉しそうに笑った。
「本当に、花の都なんですね!」
「ええ」
イリスは周囲を見渡した。
美しい街並み。
活気に満ちた人々。
そして、まだ見たことのない景色。
「……ふふっ」
自然と笑みがこぼれる。
「素敵な街ですね」
「はい!」
メイビスは満面の笑みを浮かべた。
「早く見て回りたいです!」
「そうですね。でも、まずは宿を探しましょうか」
「あっ! そうでした!」
メイビスは少し照れくさそうに笑った。
「つい、夢中になってしまいました!」
「ふふっ。気持ちはわかりますよ」
イリスも楽しそうに笑う。
そして、改めて大通りの先へ視線を向けた。
王都クロッカス。
ここには、古い魔法や伝承を研究している人物がいるという。
その人物が、異世界への帰還方法について何か知っているのかは、まだわからない。
けれど、今は新しい手掛かりを得られたことが嬉しかった。
「……メイビスさん」
「はい?」
「ここでも、素敵な出会いがあるといいですね」
メイビスは、にっこりと笑った。
「はい!」
そして、元気よく答える。
「まずは研究者さんを探しましょう!」
「ふふっ。そうですね」
二人は顔を見合わせて笑った。
知らない街。
新しい出会い。
そして、まだ見ぬ魔法の秘密。
花の都クロッカスで、妖精と聖剣使いの新たな冒険が始まろうとしていた。
――第38話 完――
【こそこそ妖精話】
~旅の疲れを癒やして~
王都クロッカスの、とある宿屋。
長旅を終えたイリスとメイビスは、宿に備えられた大浴場を訪れていた。
メイビス「はぁぁぁ……生き返りますぅ……」
イリス「ふふっ。気持ちいいですね」
メイビス「はい……! こんなに大きなお風呂、久しぶりです!」
イリス「旅の疲れも取れそうですね」
メイビス「ですねぇ……」
ちゃぷちゃぷ。
しばらく、二人は湯船に浸かっていた。
メイビス「……イリスさん」
イリス「はい?」
メイビス「一つ、気づいたことがあります」
イリス「何でしょう?」
メイビス「旅をしていると、お風呂のありがたみがよくわかりますね!」
イリス「ふふっ。確かにそうですね」
メイビス「毎日こんなお風呂に入れたら幸せなのに……」
イリス「では、妖精の尻尾にも大浴場を作りますか?」
メイビス「……!」
メイビスの目が輝いた。
メイビス「それです!!」
イリス「えっ?」
メイビス「ギルドに大浴場を作りましょう!」
イリス「……メイビスさん?」
メイビス「みんなで依頼を頑張って、帰ってきたら大きなお風呂に入るんです!」
イリス「ふふっ。それは素敵ですね」
メイビス「ですよね!?」
イリス「ただ……」
メイビス「はい?」
イリス「建設費は、どうするのでしょう?」
メイビス「…………」
イリス「それに、維持費もかかりますね」
メイビス「…………」
イリス「お湯を沸かす設備や、お掃除も必要ですし……」
メイビス「…………」
しばしの沈黙。
メイビス「……プレヒトに相談しましょう!」
イリス「ふふっ。そうですね」
メイビス「きっと、いい方法を考えてくれます!」
イリス「……ちなみに、反対されたら?」
メイビス「…………」
メイビスは少し考えた。
そして。
メイビス「イリスさん!」
イリス「はい?」
メイビス「その時は、一緒に説得してください!」
イリス「……ふふっ」
メイビス「お願いします!」
イリス「では、まずは予算を考えるところからですね」
メイビス「……やっぱり、プレヒトに相談しましょう!」
イリス「ふふふっ!」
――遠く離れたマグノリア。
プレヒト「……何だ? 今、妙に嫌な予感が……」
ユーリ「どうした、マスタープレヒト!」
プレヒト「代理だ!!」
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
今後とも『妖精と聖剣使い』をよろしくお願いいたします。