X779年。
フィオーレ王国、マグノリア。
妖精の尻尾、屋外訓練場。
「おおおおっ! 始まるぞ!!」
ナツ・ドラグニルの元気な声が響き渡った。
普段は魔法の練習に使われている広い訓練場。
今日はそこに、大勢のギルドメンバーが集まっていた。
理由は一つ。
妖精の尻尾が誇るS級魔導士、ギルダーツ・クライヴ。
そして、いつも子供たちの世話をしているイリス・アストレア。
二人が模擬戦を行うことになったのだ。
「……本当に大丈夫なのかよ」
グレイが心配そうに呟く。
「ギルダーツの魔法、洒落にならねえぞ」
「だから言ってんだろ!」
ナツが拳を握った。
「イリス姉ちゃんが危なくなったら、俺が止める!」
「お前が止められるわけねえだろ!」
「ああ!?」
「なんだよ!」
「二人とも、静かにしろ」
エルザがぴしゃりと言った。
しかし、その表情も普段より硬い。
昨日、イリスと剣術の練習をする約束を交わしたばかりだった。
イリスが剣を使えることは知っている。
だが、その腕前までは知らない。
「……イリスさんなら、きっと大丈夫だ」
そう口にしながらも、エルザは訓練場の中央を見つめていた。
「まったく……」
隣ではミラジェーンが腕を組んでいる。
「あの人、いつもニコニコしてるし、本当に危なっかしいんだから」
「お姉ちゃん、心配なの?」
リサーナが尋ねる。
「ち、違うわよ!」
ミラジェーンは慌てて顔を背けた。
「ただ、怪我でもされたら面倒だって言ってるの!」
「ふふっ」
リサーナは楽しそうに笑った。
そんな子供たちの少し後ろでは、マカロフが椅子に腰かけていた。
その隣には、金色の長い髪を揺らす少女。
メイビス・ヴァーミリオンである。
「ふふふっ。楽しみですね!」
「……ねえちゃん、ずいぶん嬉しそうじゃな」
「もちろんです!」
メイビスは満面の笑みを浮かべた。
「久しぶりに、イリスの剣が見られるんですから!」
マカロフは小さく笑った。
「……ギルダーツも、相手が悪いのう」
◇
訓練場の中央。
ギルダーツは、向かい側に立つ少女を見て笑った。
「おっ! 今日はそいつも持ってきたのか!」
「はい。せっかくの模擬戦ですから」
イリスが微笑む。
その姿は、いつもと少し違っていた。
黒髪のハーフツインテール。
青と金のオッドアイ。
黒、白、濃紺、金を基調とした魔法学院の制服。
そこまでは普段と変わらない。
しかし、左腰には一本の剣が佩かれていた。
濃紺と黄金で彩られた、美しい鞘。
星の意匠を持つ聖剣である。
最近では、子供たちと過ごす時間が多くなったため、メイビスの異空間に預けていた。
今日は模擬戦に備え、久しぶりに身につけている。
「……なあ、グレイ」
「なんだよ」
「イリス姉ちゃん、あんな剣持ってたんだな」
「ああ……」
グレイも目を丸くしていた。
「なんか、すげえ立派な剣だな」
「だよな!」
ナツは少し安心したように頷いた。
「まあ、剣があるなら少しは安心か!」
その言葉を聞いたマカロフが、思わず咳き込んだ。
「……じっちゃん?」
「い、いや……なんでもないわい」
メイビスは隣で肩を震わせていた。
◇
「さて!」
ギルダーツが拳を鳴らした。
「今日は遠慮しねえぜ、イリスさん!」
「ふふっ。もちろんです」
イリスは右手を軽く掲げた。
すると。
淡い黄金色の光が集まり、一本の剣を形作った。
光剣。
イリスが得意とする光魔法である。
「……おおっ!」
ナツが目を輝かせる。
「剣が出てきた!」
「光魔法……?」
エルザが呟いた。
イリスは左腰の聖剣には触れず、右手の光剣を自然に構えた。
その姿を見て、ギルダーツの笑みが深くなる。
「……いいねえ」
彼は知っていた。
目の前の少女が、どれほどの実力を持つのか。
九年前。
初めてのS級クエストで同行したとき、イリスは山を覆うほどの魔法を、たった一振りで消し去った。
あの光景は、今でも忘れられない。
だが。
だからこそ、戦ってみたかった。
「……いくぜ!」
「はい!」
マカロフが片手を上げた。
「それでは――始め!!」
次の瞬間。
ギルダーツが地面を蹴った。
巨体からは想像できないほどの速さ。
一気に距離を詰め、拳を振り抜く。
「おおおっ!!」
轟音。
拳に込められた魔力が、空気を震わせた。
しかし。
イリスは、ほんの半歩だけ身体をずらした。
拳が頬の横を通り過ぎる。
同時に、光剣が閃いた。
「おっと!」
ギルダーツは身を引き、斬撃をかわす。
続けて、もう一撃。
さらにもう一撃。
拳と光剣が、目にも留まらぬ速さで交錯する。
「す、すげえ……!」
グレイが呟いた。
ギルダーツの攻撃は、どれも強烈だった。
まともに受ければ、並の魔導士では立っていられない。
それなのに。
「……当たらねえ?」
ナツが目を丸くした。
イリスは、ほとんど大きく動いていなかった。
わずかな足運び。
小さな身体の傾き。
必要なだけの動作で、ギルダーツの拳をかわしている。
「ハハハッ! やっぱりすげえな!」
ギルダーツが笑った。
「でも、まだまだだぜ!」
さらに踏み込む。
今度は、逃げ道を塞ぐように拳を繰り出した。
その一撃が、イリスの目前に迫る。
「イリス姉ちゃん!!」
ナツが叫んだ。
しかし。
イリスは逃げなかった。
右手の光剣を構えたまま、空いている左手を伸ばす。
拳の側面に、そっと掌を添えた。
そして、身体をわずかに半身へずらす。
それだけだった。
ギルダーツの拳は、イリスの頬のすぐ横を通り抜けた。
「……なっ!?」
ギルダーツの目が見開かれる。
拳の威力を正面から受け止めたわけではない。
その力の向きを、ほんの少し変えただけ。
しかし、それだけで攻撃は完全に逸らされていた。
「ふふっ。いい拳ですね、ギルダーツさん」
「……ハッ!」
ギルダーツは笑い、すぐさま距離を取った。
「褒められたのに、全然嬉しくねえな!」
◇
「……嘘だろ」
グレイが呆然と呟いた。
「ギルダーツの拳を……片手で?」
「すっげええええ!!」
ナツは先ほどまでの心配も忘れ、身を乗り出していた。
「イリス姉ちゃん、めちゃくちゃ強えじゃねえか!!」
「だから言ったでしょう?」
メイビスが得意げに胸を張る。
「イリスは強いんですよ!」
「いや、聞いてねえよ!!」
ナツが叫ぶ。
しかし。
その隣で、エルザだけは何も言わなかった。
ただ、訓練場を見つめている。
イリスの剣。
その動きから、目が離せなかった。
◇
「……なら、こいつはどうだ!」
ギルダーツが両手を構えた。
空気が変わる。
凄まじい魔力が、その身体から溢れ出した。
「クラッシュ!!」
魔力が奔流となって放たれる。
触れたものを粉砕する、強力な分解魔法。
その威力に、観客たちが息を呑んだ。
「お、おい! あれはまずいだろ!!」
グレイが叫ぶ。
ナツも思わず立ち上がった。
「イリス姉ちゃん!!」
だが。
イリスは動じなかった。
右手の光剣が、光の粒となって消える。
そして、その手が左腰へ伸びた。
澄んだ金属音。
濃紺と黄金の鞘から、星の意匠を持つ聖剣が引き抜かれる。
次の瞬間。
一閃。
ただ、それだけだった。
ギルダーツのクラッシュが、音もなく消滅した。
砕け散ることもない。
爆発することもない。
周囲の地面に、傷一つ残らない。
まるで、最初から何も存在しなかったかのように。
「…………は?」
ナツが固まった。
グレイも口を開けたまま動かない。
「……今、何が起きた?」
誰かが呟いた。
しかし、答えられる者はいなかった。
イリスは静かに聖剣を鞘へ戻した。
「ふふっ。では、続けましょうか」
「……ハハッ!」
ギルダーツが笑う。
「相変わらず、とんでもねえな!」
その目には、ますます闘志が宿っていた。
◇
再び、二人が動いた。
ギルダーツが攻める。
イリスが応じる。
拳と光剣が交錯し、風が舞う。
ギルダーツは攻撃の角度を変え、間合いを詰め、クラッシュを織り交ぜて攻め続けた。
だが、イリスの動きは乱れない。
光剣が一本、また一本と生み出される。
空中に浮かび、ギルダーツへ向かって飛ぶ。
「おっと!」
ギルダーツはクラッシュで光剣を砕いた。
しかし、次の光剣が迫る。
さらに、その次も。
「ハハハッ! 面白え!」
ギルダーツは笑いながら迎え撃った。
イリスは、そんな彼の攻撃をかわしながら、静かに剣を振るい続ける。
速い。
鋭い。
けれど、決して乱暴ではない。
一振りごとに、無駄がない。
その剣は、まるで流れる水のようだった。
そして。
エルザは、いつしか息をすることさえ忘れていた。
何が起きているのか。
すべてを理解できているわけではない。
ただ、目の前の剣技が、自分の知るものとはまるで違うことだけはわかった。
一歩。
一振り。
ほんのわずかな手首の動き。
そのすべてが、恐ろしいほど自然だった。
――あんな剣が、あるのか。
エルザの瞳が、イリスの姿を追い続ける。
言葉は、出なかった。
◇
「……よし!」
ギルダーツが大きく踏み込んだ。
正面からの強烈な一撃。
イリスは風魔法で身体を加速させ、軽やかにかわす。
「そこだ!!」
ギルダーツが振り返る。
しかし。
「……ふふっ」
イリスが微笑んだ。
「そろそろ、終わりにしましょうか」
「……ん?」
ギルダーツが目を瞬かせた。
その瞬間。
すっ。
一本の光剣が、彼の首筋に添えられた。
「……お?」
そして。
空中に、無数の光が灯った。
一つ。
十。
百。
さらに、その先まで。
気づけば、数百本もの光剣がギルダーツを取り囲んでいた。
正面。
背後。
左右。
頭上。
斜め上からも、斜め下からも。
すべての切っ先が、ギルダーツへ向けられている。
逃げ道は、どこにもなかった。
「…………」
ギルダーツは、ゆっくりと周囲を見回した。
そして。
「……イリスさん?」
「はい?」
「……これ、いつから?」
イリスは、にっこりと微笑んだ。
「ふふっ。戦っている途中からですよ?」
「…………」
ギルダーツは、もう一度周囲を見回した。
自分が砕いた光剣。
かわした光剣。
見失った光剣。
それらに紛れて、いつの間にか配置されていたのだ。
戦いながら。
自分の攻撃をさばきながら。
少しずつ、逃げ道を塞いでいた。
「……ハッ」
ギルダーツの口元が緩んだ。
「ハハハハハッ!!」
豪快な笑い声が響き渡る。
「参った!! 降参だ!!」
その瞬間。
数百本の光剣が、一斉に光の粒へと変わった。
黄金色の光が、訓練場に舞い散る。
イリスは静かに微笑んだ。
「ありがとうございました、ギルダーツさん」
「いやいや! こっちこそだ!」
ギルダーツは頭をかきながら笑った。
「まさか、ここまで完璧にやられるとはな!」
「ふふっ。ギルダーツさんも、とても強くなっていましたよ」
「ハハハッ! そいつは嬉しいねえ!」
二人は、まるで楽しい稽古を終えたばかりのように笑い合っていた。
◇
「…………」
「…………」
「…………」
観客席は、静まり返っていた。
誰も、すぐには言葉を発せなかった。
そして。
「すっげええええええええっ!!」
ナツの絶叫が響いた。
「イリス姉ちゃん!! すっげえええ!!」
「お、おい! マジかよ!?」
グレイも立ち上がる。
「ギルダーツが負けたぞ!?」
「……信じられない」
ミラジェーンが呟いた。
いつも優しく笑っている、あのお姉さん。
子供たちの喧嘩を仲裁し、お菓子を作ってくれる少女。
その人が。
妖精の尻尾でも屈指の実力者であるギルダーツを、圧倒してしまった。
「イリスお姉ちゃん、すごーい!」
リサーナが歓声を上げる。
「すげえ! すげえぞ!」
エルフマンも大興奮だった。
そんな中。
エルザだけは、まだ動かなかった。
「……エルザ?」
ミラジェーンが声をかける。
返事はない。
エルザは、イリスが立っていた場所を見つめ続けていた。
その脳裏には、先ほどの剣の軌跡が焼きついている。
美しかった。
ただ、それだけはわかる。
自分も、いつかあんな剣を振るえるようになるのだろうか。
けれど、その思いを言葉にすることさえできなかった。
ただ、静かに。
エルザは拳を握りしめた。
◇
「ふふん!」
メイビスが得意げに胸を張った。
「どうですか! 私のイリスはすごいんですよ!」
「……私の?」
戻ってきたイリスが首を傾げる。
「はい!」
メイビスは満面の笑みを浮かべた。
「私の自慢のイリスです!」
「……ふふっ」
イリスは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます、メイビス」
「えへへ!」
そんな二人を見て、マカロフが笑う。
「まったく……昔から変わらんのう」
ギルダーツも豪快に笑った。
「ハハハッ! いやあ、いい勝負だった!」
「……ギルダーツさん」
イリスが少し困ったように笑う。
「最後、かなり無茶をしていましたよ?」
「ハハハッ! そうでもしねえと、勝てる気がしなかったからな!」
その言葉に、ナツが勢いよく振り返った。
「なあ、ギルダーツ!」
「ん?」
「イリス姉ちゃんって、そんなに強かったのか!?」
「……お前、今の見てただろ?」
「見てたけどよ!!」
ナツは興奮した様子で拳を握った。
「俺も戦いてえ!!」
「……おいおい」
ギルダーツが苦笑する。
「まずは俺に勝てるようになってからにしろよ!」
「なんだとー!?」
「ハハハハッ!」
その隣では、グレイも目を輝かせていた。
「……俺も、もっと強くならねえとな」
ミラジェーンは腕を組んだまま、イリスを見つめる。
「……まったく」
「ミラジェーン?」
イリスが振り返る。
「なんでしょう?」
「……あんた、あんなに強かったなら、最初から言いなさいよ!」
「おや?」
イリスが目を瞬かせた。
「聞かれませんでしたので」
「そういう問題じゃないでしょ!!」
周囲から笑い声が上がった。
◇
しばらくして。
イリスは、まだ興奮している子供たちを見回した。
「さて、皆さん」
「ん?」
ナツが振り返る。
「そろそろ、お腹が空きませんか?」
「……え?」
「今日は焼き菓子を作ってあるんです」
イリスが微笑んだ。
「よろしければ、皆さんで食べましょう?」
「…………」
ナツが固まった。
グレイも目を瞬かせる。
ミラジェーンは、思わず額に手を当てた。
「……あんたねえ」
「はい?」
「さっきまで、あんな戦いしてたのよ?」
「ふふっ。そうですね」
「……それなのに、もうお菓子の話!?」
「はい!」
イリスは楽しそうに頷いた。
「甘いものは、疲れた身体にいいですから」
「……もう!」
ミラジェーンは呆れたように息を吐いた。
けれど、その口元には小さな笑みが浮かんでいた。
「やったー!」
リサーナが両手を上げる。
「イリスお姉ちゃんのお菓子!」
「俺も食う!」
エルフマンも続いた。
「おっしゃあ!」
ナツが拳を突き上げる。
「俺、いっぱい食うぞ!」
「お前は食いすぎなんだよ!」
「なんだと、グレイ!」
「また喧嘩か!?」
いつもの騒ぎが始まった。
イリスは困ったように笑う。
「ふふっ。皆さん、仲良くしてくださいね?」
その姿は、昨日までと何も変わらなかった。
優しくて。
穏やかで。
いつも笑顔の、お姉ちゃん。
ただ一つ。
子供たちは、今日初めて知ったのだ。
そのお姉ちゃんが、想像を絶するほど強いということを。
◇
その日の夕方。
ギルドの酒場には、いつも以上に賑やかな声が響いていた。
ナツは何度も模擬戦の話を繰り返し、グレイと言い争っている。
ミラジェーンは呆れながらも、どこか楽しそうだった。
リサーナとエルフマンは、イリスの光剣の数を競うように数えていた。
そして、エルザは。
静かに、一本の剣を見つめていた。
今日、目にした光景。
あの剣の軌跡。
何度思い返しても、理解できない。
それでも。
いつか、自分も。
そんな思いが、胸の奥で静かに燃えていた。
一方。
酒場の窓際では、イリスとメイビスが並んで紅茶を飲んでいた。
「……ふふっ」
メイビスが笑う。
「今日は楽しかったですね!」
「そうですね」
イリスも微笑んだ。
「皆さん、とても驚いていました」
「当然ですよ!」
メイビスが得意げに言う。
「イリスは、とっても強いんですから!」
「……もう、メイビスったら」
イリスは少し照れたように笑った。
そして、窓の外へ視線を向ける。
夕日に染まるマグノリアの街。
長い年月を経ても、変わらずそこにある大切な場所。
妖精の尻尾。
かつて自分たちが仲間と共に作り上げたギルドは、今も新しい世代の笑顔で満ちていた。
「……メイビス」
「はい?」
「これから、もっと賑やかになりそうですね」
メイビスは、にっこりと笑った。
「はい!」
そして、イリスの手を握る。
「とっても楽しみです!」
イリスも、その手を優しく握り返した。
こうして。
妖精の尻尾の子供たちは、一つの大きな秘密を知ることになった。
いつも優しく微笑んでいる、黒髪のお姉ちゃん。
その本当の強さを。
けれど。
彼らは、まだ知らない。
その隣で楽しそうに笑っている金髪の少女もまた、同じほどの実力を持つ魔導士であることを。
妖精の尻尾には、まだまだ知られざる物語が眠っているのだった。
【こそこそ妖精話】
~お姉ちゃんの腰の剣~
X779年。
妖精の尻尾、ギルド酒場。
ナツ「なあなあ、イリス姉ちゃん!」
イリス「はい? どうしました?」
ナツ「その腰の剣、見せてくれよ!」
イリス「聖剣のことですか?」
グレイ「聖剣? そんな名前なのか?」
イリス「はい。私が昔から使っている、大切な剣なんです」
エルザ「……イリスさん。少しだけ、近くで見てもいいだろうか?」
イリス「もちろんですよ」
イリスは左腰から鞘ごと聖剣を外し、テーブルの上にそっと置いた。
リサーナ「わあ……綺麗!」
エルフマン「すげえ! 金色の飾りがついてるぞ!」
ミラジェーン「……ずいぶん立派な剣ね」
エルザ「……この鞘も、見事な作りだ」
ナツ「なあ、抜いてみてもいいか!?」
イリス「ふふっ。危ないので、抜くのはやめておきましょうね」
ナツ「ええーっ!」
グレイ「当たり前だろ、馬鹿!」
ナツ「ああ!?」
メイビス「ふふふっ! その剣は、イリスにとって特別なものなんですよ!」
リサーナ「そうなの?」
メイビス「はい! とっても強くて、とっても綺麗な剣なんです!」
ミラジェーン「……それは今日の模擬戦で嫌ってほどわかったわよ」
ギルダーツ「ハハハッ! 俺のクラッシュまで消しちまったからな!」
ナツ「そうだ! あれ、どうやったんだ!?」
イリス「ふふっ。それは秘密です」
ナツ「えええーっ!?」
エルザ「……イリスさん」
イリス「はい?」
エルザ「いつか、私にもあのような剣を振るえる日が来るだろうか」
イリスは少し驚いたあと、優しく微笑んだ。
イリス「きっと、エルザさんだけの素敵な剣が見つかりますよ」
エルザ「……私だけの剣」
イリス「はい。楽しみにしていますね」
エルザ「……ああ!」
ナツ「よーし! 俺もいつか、その剣に勝ってやる!」
グレイ「お前、剣と戦うのかよ!」
ナツ「イリス姉ちゃんに決まってんだろ!!」
メイビス「ふふっ。では、まずは私に勝ってからですね!」
ナツ「おっ! いいぜ!」
マカロフ「……やめておけ、ナツ」
ナツ「なんでだよ、じっちゃん!?」
ギルダーツ「……世の中には、知らねえ方が幸せなこともあるんだよ」
メイビス「むう! どういう意味ですか、それ!」
今日も妖精の尻尾は、賑やかだった。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
今後とも『妖精と聖剣使い』をよろしくお願いいたします。