ハリーポッターとケモノの子 ~その瞳に映るもの~   作:火力万能主義

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  連載開始予告  
           いつかは続きを書きたいなー



墓穴掘りは自由です。ただし

 

 

 ホグワーツ。

 それは魔法使いならば誰もが一度はその門をくぐり、魔法を知り、魔法を学ぶ場所である。

 

 魔法。

 それは奇跡の力。不思議な現象を引き起こす神秘であり、古より引き継がれてきた力の源。

 

 魔法使い。

 彼らは魔法を操り、魔法を研究し、魔法と共に生きる人々を指す言葉。

 

 この世の裏側にてひそかに隠れ、存在する魔法の世界。

 

 今日も未来の魔法社会を担うべき若者たちは、自分の夢のため、家の名誉と野望のため、そして生きるために魔法を学び磨いていた。

 

 そう、つい先(・)ほ(・)ど(・)までは。

 

 

 パラ、パラ。

 

 古城の内部に張り巡らされた、石造りの回廊。

 

 日々、生徒たちが次なる授業のため、あるいは移動のために往来しあう場所である。

 

 そんな日常の場所に、ある日突然、異物が生えたのである。

 

「マイジョージ。あれ生きてると思う?」

 

「まことに不服ながらも生きているだろーなーマイフレッド」

 

 それはまるでブドウの木に実った果実の如く、回廊の天井から床に向かってぶ(・)ら(・)下(・)が(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)。

 

 綺麗に首から上だけが石造りの天井にずぼっと嵌まり、その首より下から手足とマントの裾をだらりと垂らしている姿は、ある意味ではコメディーのよう。

 

 おまけに時折ぴくぴくと両足が痙攣しているあたり、どうやら生きてはいるらしい。

 

 いやぁ、よかったよかった。

 

「誰か先生呼んでくる?」

 

「もう呼んでるわよ。セドリックが先生方とマダム・ポンフリーに手紙を飛ばすのを見たから」

 

「じゃーいっか」

 

「まったく。だからやめとけとあれほど言われてたってのになー」

 

 まるで、いや実質日常の風景の一つに溶け込んだかのように、あまりにも自然に受け入れられ、対処も済みである。

 

 むしろこういった光景を見慣れたかのように下から眺めながら軽口を叩ける生徒たちと、それらを咎めることを半ば諦めた教員たちの方がホラーなのかもしれない。

 

「今日は何をやらかしたんだ、あのバカは?」

 

「いつものやつよ。例の彼のマフラーを裏でこそこそと馬鹿にしたあげく、魔法でその色を犬の糞色に変える呪文を背中からかけようとして返り討ち」

 

「しかも今日は後ろも見ずに蹴り上げるだけで綺麗に入ったもんね。窓も割ってないし、大きな破片も散らばってないから、これならフィルチさんもあまり怒らないんじゃないかな」

 

「僕は今、それらのことを平然と言っている君たちの方が恐ろしく感じるよ」

 

 珍しくも今日は蛇と獅子の寮の生徒たちが肩を並べて、さしたる喧嘩も起きていない。

 

 理由は、まぁ何よりも大きな抑止力があるからだろう。

 

「それで、あれはいつまであのままなのかしら?」

 

 そんな中、ひときわ冷ややかな声が割り込んだ。

 

 艶やかなプラチナブロンドに、整った容貌。皺一つなく着こなされた制服と、胸元で揺れる銀と緑のネクタイ。

 

 カリーナ・マルフォイ。

 

 由緒ある純血の名家、マルフォイ家の長女にして、スリザリン寮に所属する少女である。

 

「おやおや、マルフォイのお嬢様」

 

「まさかご心配で?」

 

「冗談はおよしなさい、ウィーズリー」

 

 フレッドとジョージの茶化すような問いに、カリーナは露骨に眉をひそめた。

 

「まったく、スリザリンの生徒があんな無様な姿を晒すだなんて。恥ずかしくないのかしら」

 

「でも、心配してるんだろ?」

 

「……ポッター。あなたもウィーズリーたちに似てきたんじゃなくて?」

 

「褒め言葉として受け取っておくよ」

 

「心からお気の毒に」

 

 ハリーの言葉を冷たく切り捨て、カリーナはもう一度だけ天井を見上げる。

 

 ぶら下がった生徒の片足が、ぴくりと動いた。

 

「……マダム・ポンフリーには、ちゃんと連絡が届いているのでしょうね」

 

「だから心配してんじゃん」

 

「違うわよ!」

 

 何が気に障ったのか、カリーナはきっとロンを睨みつけた。

 

「こんな馬鹿馬鹿しい理由で死なれたら、スリザリンどころかホグワーツ全体の恥でしょう! だいたい人の背後から呪文をかけるだなんて、どこまで品性がないのかしら!」

 

「お前んとこの生徒だろ」

 

「だから呆れているのよ!」

 

 ふん、と鼻を鳴らす。

 

 その姿は、いかにも名門マルフォイ家の令嬢らしい高慢さに満ちていた。

 

 しかし、言っていること自体は間違っていない。

 そもそも、背後から他人の大切な持ち物を狙うなど、嫌がらせとしても随分と陰湿である。

 もっとも、それに対する報復が相手を天井にめり込ませる蹴りというのも、なかなかどうして正気の沙汰ではないが。

 

「あれで何回目だっけ?」

 

「今年で天井は四件、壁は十二件よ」

 

「うっそだろ、まだ学年始まって二か月だぞ!?」

 

「さすがにあいつだけは僕も庇えないからね。何よりも、また殴られたくないし」

 

 近くにいた男子生徒が、どこか遠い目をして呟いた。

 

 その肩にそっと手を置く者が一人。

 

 ……どうやら彼もまた、何かを経験したらしい。

 

「それにしても、たった二か月で十六件だなんて」

 

「いや、マルフォイ。そこは人数よりも穴の数を数えるところなのか?」

 

「数えて何が悪いのよ。あなたたちと違って、こちらには修繕費なんてものを気にする必要はないんですもの」

 

「んだとぉ?」

 

「あら、聞こえなかった? なら、もう一度言ってあげましょうか?」

 

 にっこり。

 

 美しい笑顔である。

 

 ただし、その口から飛び出す言葉は相変わらずの切れ味抜群の毒舌であった。

 

「まったく。頭の空っぽなウィーズリーは、お金だけじゃなく耳まで足りないのかしら」

 

「こ、この性悪女ぁ……!」

 

「ロン、やめとけって」

 

 ハリーが呆れながらロンの肩を掴む。

 

 その隣では、ハーマイオニーが深いため息をついていた。

 

「もう、二人ともいい加減にしなさいよ。そもそもここで喧嘩をしたら、また  」

 

 ちらり。

 

 全員の視線が、天井にぶら下がった生徒へと向けられた。

 

 し  ん。 Ω\ζ°)チーン

 

 先ほどまでの喧騒が嘘のように静まり返る。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「……やめとこうか」

 

「そうね」

 

 あっさりと意見が一致した。

 

 喧嘩上等、男女平等。

 杖を向けていいのは、殴られる覚悟のあるやつだけ。

 

 ある人物が掲げるスローガンのような文句は、学年教職を問わず、もはや学校の歴史に刻まれた教訓である。

 

 四つに分かれた学生寮も、成績も血筋も性格も、何もかも関係ない。

 

 ただ一つ。

 

   あいつに杖を向けるな

 

 それだけは、誰もが等しく守るべき絶対の掟だった。

 

「ま、今回はあいつのじごーじどくだからな」

 

「自(・)業(・)自(・)得(・)よ、ウィーズリー」

 

「へいへい」

 

「ふん。たった二か月でまともな言葉も覚えられないだなんて。やっぱり頭の中まで空っぽなのね」

 

「んだと、もう一回言ってみろよマルフォイ!」

 

「何度でも言ってあげるわよ、このお馬鹿さん!」

 

「だから二人ともやめろって!」

 

 やれやれ。

 

 そしてまた、それぞれの日常に戻っていく。

 

 ちなみに。

 

 騒動の元凶となった当の本人は、とっくの昔にその場から立ち去っていた。

 

 残されたのは天井からぶら下がった一人の生徒と、それを見慣れた野次馬たち。

 

 おまけに、ようやく駆けつけたスネイプが一言。

 

「…………またか」

 

 これが今のホグワーツの、実に平和な日常である。

 

 ……いや。

 

 やはり暴力はすべてを解決する 万能鍵(マスターキー)だったのだろうか。




プロローグの前に本篇の内容を一部乗せたものです。
あくまで息抜きで書いたボツ原稿を整えてあげたものだから連載周期は不定期。

まずは現在連載している方を完結してから本格的に始動する予定。

ただし、プロット修正によって未来が変わることはよくあること。








正直に言うと、マルフォイも海場社長もTSしたら正統派ツンデレヒロインムーブしているのでは?と思う。
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