その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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今回はオリジナル作品です。基本的には主人公のモノローグで進めて行くつもりです。


戸惑い入居

 魔法というものが現実になってもう何世紀経ったんだろう……魔法を使えない人と使える人とでは生活水準に差が出ると言われてた時代も終わり、今では学校にも普通科と魔法科の両方あるところも珍しくなくなって来た。

 しかし僕が生まれ育った地域には魔法科のある学校が無くて、僕はこの四月から実家を離れて生活することになった。

 私立霊峰学園、かつてこの近くに霊峰と呼ばれる山があった事からその名前が付けられたと言われているが、その事実は未だ解明されていないらしい……

 

「受験の時に来たけど、相変わらず広いな……敷地内で迷子になりそうだよ」

 

 

 ただでさえ僕の生まれた村は田舎で、村民が全員知り合いってくらいの広さしか無かったのに、この学園はもしかしたら僕の田舎よりも面積が広いんじゃないだろうか……

 

「まさかね……」

 

 

 この学園では、普通科250名、魔法科150名の計400名が一学年とされていて、三年間一度も顔を合わせないで卒業する相手も大勢いると噂されているらしいのだが、本当なのかな……

 そもそも150名って僕が通ってた小中学校より生徒数が多いよ……こんなところに通う事になって、僕本当に大丈夫なんだろうか……

 

「君、ここは関係者以外立ち入り禁止だよ」

 

「す、すみません!」

 

「おや君は確か……東海林元希(しょうじもとき)君ね」

 

「そうですけど……何で僕の名前を?」

 

「そりゃ知ってるわよ。これでも理事長ですもの」

 

 

 理事長? もしかしなくてもこの学園で一番偉い人!? 何でそんな人が僕に話しかけてきたんだろう……

 

「今月から通う新入生の中で、トップの成績ですものね。先生たちも噂してるわよ」

 

「えっと理事長……」

 

「あら、そう言えば名乗ってなかったわね。恵理よ、早蕨恵理(さわらびえり)。気軽に恵理さんとでも呼んでね」

 

「えっと……」

 

 

 正直僕は異性と話すのが苦手なんだけどな……

 

「貴方がこれから三年間暮らす家だけど、実は私の家なの」

 

「え? ……えぇっ!?」

 

 

 そう言えば早蕨荘って名前だったような……

 

「理事長兼大家さんって感じかしらね」

 

「理事長はその……「早蕨荘」で生活してるんですか?」

 

「そうよ。だって本宅が遠いんだもん」

 

 

 ……理事長と一緒に暮らすなんて、緊張するってレベルじゃないよ……かといって他の下宿を探す余裕なんて無いし……主に金銭面で……

 

「他の子が居ないから、君が入ってくれなかったら取り壊す予定だったのよ。良かったわ、君が入居してくれて」

 

「あの……」

 

「大丈夫よ。部屋は別々だから」

 

 

 聞きたい事はそんな事じゃ無い。でも僕はまともに会話をする事が出来ずに理事長のペースに巻き込まれる。

 

「トイレは各部屋にあるけどお風呂は共同よ。だから混浴もOK」

 

「あの……僕……」

 

「なにかしら? 恥ずかしいのかな~?」

 

 

 正直それもある。でもそれ以上に何で理事長がここまでノリノリなのかが気になるんだ。

 

「それじゃあ早速お部屋に案内しようかしらね。「早蕨荘」は学園の敷地内だから」

 

 

 理事長のペースに逆らえず、僕は理事長の後ろについていく。

 

「それにしても、あんな驚異的な数値をたたき出した子だから、どんな見た目かと思ってたけど、随分と小柄なのね」

 

「ゴメンなさい……」

 

「なんで謝るのかしら?」

 

「ゴメンなさい……」

 

 

 高校生になれば成長するかもと淡い期待は抱いてるんだけども、中学に通う前も同じ事を思ってたからきっと駄目かな……

 

「身長いくつ?」

 

「152です……」

 

「体重は?」

 

「34キロ……」

 

「それでよく魔法発動の際に起こる衝撃に耐えられるわね」

 

「ゴメンなさい……」

 

「いいのよ、謝らなくて」

 

 

 理事長に頭を撫でられて、僕は何となくお母さんを思い出す。実家で生活してた時は良く撫でてくれてたんだよね……

 

「さて、これが「早蕨荘」よ」

 

「えっと……これって本当に「早蕨荘」ですか?」

 

「そうよ? 何かおかしかったかしら?」

 

 

 おかしいと言えばおかしいよ……だってこれだけ大きい外観で、きっと部屋も綺麗なんだろうに、月々の家賃が一万円って……何か問題でもあるんだろうか?

 

「あの……家賃一万円って嘘だったんですか?」

 

「本当よ? もしかして高かった?」

 

「いえ……」

 

 

 むしろその逆なんですけど……これだけ大きくて立派な建物に、月一万円で生活出来るのならば、もっと暮らしてる人が居てもおかしくないと思うんだけどな……

 

「えっと理事長、何で「早蕨荘」には入居者が居ないんですか?」

 

「そりゃねぇ……お金持ち学校だし。遠方から通う子は近くのマンションに部屋借りちゃうしね」

 

「……そうなんですか」

 

 

 入学する前に調べろよ僕……魔法が使える事でこの学園から誘われてホイホイ受験しちゃったけど、僕みたいな貧乏人が通ってもよかったんだろうか……

 

「ちなみにアルバイトは禁止だからね。校内でのはOKだけど」

 

「校内でアルバイト? 売店とかですか?」

 

「違うわ。先生のお手伝いや、魔法開発なんかね」

 

「魔法開発?」

 

「これは入学してから説明があるからとりあえず置いておきましょう」

 

 

 凄く気になるんですが……

 

「それじゃあ改めまして、ようこそ東海林元希君。この霊峰学園早蕨荘へ!」

 

 

 今更入居を取りやめても暮らせるような物件は見当たらないだろうし、理事長も優しそうな人だから大丈夫だよね?

 こうして下見だけのつもりだったのに、僕は今日からこの「早蕨荘」で生活する事になったのだ。




これ続くのかな……タイトルも決まって無いし……
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