その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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100話目らしいのですが、全然実感が湧かないのですが……


元希君の身体の状態

 バエルさんにテントまで運んでもらった僕は、少しは体力が回復出来たのでとりあえず着替える事にした……のだけども、リンと水が僕の傍から離れようとしないのだ。

 

「あの……着替えるから、外に出てほしいんだけど」

 

「嫌じゃ! 主様は少し目を離すと無茶をするから、これからはワシが一日中監視するのじゃ!」

 

「リンも! 元希心配! だからずっと一緒にいる!」

 

「……着替えるだけなんだから、そんなに無茶しないし、そもそもテントの外に二人がいれば、僕は外には出られないんだけど」

 

 

 常識的に考えて、女の子の前で着替えるのは問題ありだろう。その相手が人間ではなく神様だとしてもだ。

 

「じゃが、主様の事が心配で……」

 

「リンも心配……」

 

「ほら、二人とも。元希さんが困ってますから外に出てましょうね」

 

「なっ!? これバエル! 手を離さんか!」

 

「むー!」

 

「……バエルさん、ありがとうございます」

 

 

 リンと水の手を取ってテントの外まで引き摺りだしてくれたバエルさんに、僕はお礼を言う。もちろんバエルさんも外に出ているので、聞こえたかは微妙なところだが。

 

「そもそも、僕の身体を使って魔法を発動したのはリンなんだけどな……その事は理解してるんだろうか?」

 

 

 土地神様としての魔法を放ったのは僕だ。僕の魔力を使って、僕の身体を使って魔法を発動させたのだけども、そうさせたのは紛れもなくリンなのだ。

 

「いや、今のリンでは無いんだろうけども……でも、あれも『リン』なんだろうし……ちょっとこんがらがってきたぞ?」

 

 

 今の『リン』が、僕たちが発見して保護した『リン』だ。だけど僕の夢の中に出てきているのも、間違いなく『リン』なのだ。おそらくこっちが本当の『リン』で、今の状態の『リン』が異常なんだけども、彼女にその記憶は無く、覚えているのは僕がいきなり倒れたという事だけらしいのだ。

 

「そう言えばあの時、リンも気を失ってたんだっけ……」

 

 

 どうやら僕の中に「もう一人のリン」が現れる条件として、「表に出ているリン」の意識が覚醒していない事が必須の様だな。夢に出てきた時も、リンは寝ていて覚醒していなかったし。

 

「神様って、意外と融通が利かないのかもしれないな……」

 

 

 融通が利かない、とは少し違うのかもしれないけど、他の適当な表現が思いつかなかったので仕方が無い。とりあえずあの辺り一帯の土壌の改善は済んだし、あとは結界で今の状態を保っていけば、リンの記憶探しを急ぐ理由は一先ず無くなった。

 とは言っても、何時までも結界で保てるなんて思って無いので、先延ばしには出来ない事ではあるのだ。

 

「まぁ、人の心配の前に、とりあえずは自分の心配だよね……立ってるのがやっとなんだから……」

 

 

 着替えるのにこれほど苦労するとは思わなかった。意地を張らないで誰かに手伝ってもらえば良かったとも思ったけど、さすがに誰かに手伝ってもらえるなんて思って無い。相手の都合ではなく、僕の都合だ。

 

「お風呂は隠してるけど、着替えとなるとそうもいかないだろうしな……」

 

 

 服だけなら兎も角、下着も変えるので、誰かに頼める事では無くなってしまっているのだ。僕が精神的に耐えられなくなるだろうし……

 

「……よし! 着替え終わった」

 

 

 何とか着替えを済ませた僕は、洗濯物をどうしようか悩んだ。体力が回復してから持っていくか、今から無理をしてでも持っていくかでだ……

 明日の朝なら、自分で持っていく事も可能だろうし、寝間着と一緒に選択する事が出来て面倒を省く事が出来るけど、何時までも汗のにおいが染み込んだ服をテントに放置しておくのも忍びないしな……

 

「それなら、私が持っていきますよ」

 

「えっ、ありがとうございます……?」

 

 

 僕は誰と話しているのだろう……テントの中にいるのは僕だけのはずなんだけど……

 

「すみません、何時までも二人を抑えているのが出来ませんで」

 

「ああ、そういう事ですか……って! 何時からいました?」

 

「何時からって、『よし! 着替え終わった』辺りからですけど」

 

「あっ、そうですか……なら良かった」

 

 

 気付けなかったのは恥ずかしいけど、着替えが終わってからなら特に問題は無いだろう。僕はバエルさんの申し出に甘える事にして、今日はもう寝る事にした。ご飯も食べる気分じゃないし、そもそもお箸も持てない状態なので、食べに行ったら悲惨な事になるだろうしね。




一応節目を迎えました。迎えた実感はありませんが、皆さまのお陰で到達出来たと思いますので、これからもご愛読の程、よろしくお願い致します。
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