ぐっすりと寝たおかげで、翌日に疲労感は全く残っていなかった。先に寝たから分からなかったけど、僕の隣に陣取っていたのはリンと水だった。確か一日毎に代わるんじゃなかったっけ……
「(まぁ、とりあえずは大丈夫そうだし、軽く汗を流そう)」
昨日お風呂に入らなかったので、僕はシャワーだけでもと思いお風呂に向かう。さすがにこの時間なら誰も使ってないだろうし、水は自分で用意できるしね。
「土壌の問題もとりあえずは解決出来たし、今日はノンビリ過ごしたいな」
高校生のセリフでは無い、と自分でも分かっていたけど、ここ数日は色々と建てこんでいてまともに授業に出られなかった事もあった。その事を考えれば、ノンビリしたいという僕の気持ちは分かってもらえると思う。
「……あれ?」
良く見れば、誰かが湯船に浸かっているではないか。こんな時間だし、先生の誰かかな……出直そう。
「ん? 元希じゃないか! もう大丈夫なのか?」
「ほ、炎さんっ!? って、前隠して!」
「ん? 別にアタシの身体なんて見ても面白くないだろ?」
「面白いか否かじゃないよ! 炎さんだって女の子なんだから!」
あからさまに見せられるのも考えものだけど、炎さんのように自分の身体くらいなどと考えているのも問題だ。悪気が無い分、余計に性質が悪いよ……
「相変わらず元希は耐性が低いなー……ほら、隠したからコッチ向いても大丈夫だよ」
「うん……それで、何で炎さんがこんな時間に?」
「アタシは運動したからサッパリしようと思ってな。元希は何でこんな時間に?」
「僕は昨日汗を流して無かったから、シャワーだけでもって思ったんだ」
炎さんの横を素通りして、僕は頭からシャワーを浴びた。昨日の泥も多少残っているので、洗った方が良いのだろうが、そこまで本格的にお風呂に入ってる時間は無いだろう……朝食の準備、僕の番だし。
「よし! アタシが洗ってやる」
「えぇ!? ちょっと炎さん……」
頭を押さえつけられ、強引に炎さんに洗われていく……この強引さが炎さんらしいんだけども、またタオルがはだけていて恥ずかしいんだけどな……
「相変わらず元希はちっこいよなー」
「僕だって好きで小さいわけじゃないんだけど……」
「アタシより小さいのは考えものだよな、男として」
「健吾君みたいに大きくなりたいわけじゃないけど、せめてもう少しくらい欲しいよ……」
「我妻はデカイからな。ほれ、洗い終わったぜ」
「ありがとう」
炎さんは偶に男口調になる事がある。でもそれが不自然ではなく普通に似合っているのだ。
「さて、着替えて朝飯の支度をしよう。今日はアタシも当番だし」
「そうだっけ? じゃあ急ごうか」
「基本的には元希が作業するんだけどな」
「うん、分かってた……」
炎さんは料理下手、と言う訳ではないけど、あまりやる気が起きないようで、基本的には皮むきとかしかやってくれない。
「あんまりゆっくりしてっと、水奈たちが起きちゃうぜ?」
「炎さんが早いんだよ……僕のスピードは普通だって」
着替えるのも早い炎さんは、男子更衣室だというのに気にせず入ってこようとしていた。慌ててそれだけは踏み止まってもらい、僕は急いで着替えたのだった。
「そう言えば昨日は大変だったらしいな。秋穂から聞いたけど、神の魔法って随分と凄いんだろ?」
「うん。あの荒れてた土壌が一瞬で蘇ったし……」
「ん? 違う違う、疲労感とかそっちの話だよ」
「えっ……あぁうん。そっちも大分凄かったよ」
「そうだろうなー。バエルにおぶってもらって帰ってきたんだもんなー」
「うぅ……あんまり言わないでよ」
女の子におんぶされていたなんて、結構恥ずかしい事なのだ。例え僕が全く歩けないとしても、せめて女の子には運ばれたくなかった……まぁ、知り合いの殆どが女の子だし、今ここで生活しているのは僕以外全員女の子なので、不可能だったんだけど……
「ほれ、さっさと支度しちまおうぜ。片づけもあるんだし、ノンビリしてたら遅刻しちまう」
「そうだね……」
ノンビリしたいと願って早々、ノンビリしてたら遅刻する状況に陥ってしまった……これは僕の日ごろの行いが悪いのだろうか? それとも、僕がノンビリする事が出来ない星の下に生まれたからなのだろうか? 出来ればどちらでも無いと良いんだけどな……
バエルとは違った姉のような感じに……