その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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お説教? みたいな感じです


反省させるには

 バエルさんと二人、くたくたになりながら拠点へと戻ると、そこでも水とリンが何か言い争っていた。

 

「じゃからあれはお主が悪いのじゃろうが!」

 

「違う! リン悪くない!」

 

「さっきから同じ事言ってるぞー」

 

 

 すぐそばで二人の言い争いを聞いていた炎さんが、呆れながらツッコミを入れたが、二人はそれを無視して言い争い続ける。

 

「炎さん、お二人の事は一先ず置いておいて、先に片づけをしません?」

 

「そうですよ。あんまり散らかったままですと、元希さんに怒られてしまいますし」

 

「怒られるのはあの二人だけど、散らかったままだと寝れない」

 

「確かにそうだな。秋穂は夕飯の支度だから仕方ないけど、アタシたちは周辺の片づけをしなきゃいけないか」

 

 

 四人の会話を聞いて辺りを見渡すと、確かに色々なものが散らばっている。それでも、本当に大事なものは散らかしていないのを見ると、その辺りの分別はちゃんとあるらしいと分かった。

 

「……僕たちも片づけましょうか」

 

「……そうですね。理事長や早蕨先生も調理担当ですし、私たちも片づけを手伝った方がよさそうですし」

 

 

 リーナさんはリンの記憶を戻す方法を探す事に奔走しているため、最近はご飯を一緒に食べる事が出来ないし、この場所にいない事が多い。だから片づけは僕ら生徒が担当するのが一番早く片付くだろう……本来なら散らかしたあの二人にさせたいところなのだが、あの二人に「連携」の二文字を期待する事は出来ないしな……

 

「水奈さん。これって何が原因で散らかったんですか?」

 

「元希様。お帰りでしたの」

 

「ええ、さっき……」

 

「水様とリンさんが『元希さんのお弁当を食べたのは自分ではなく相手が先だ』という事で揉めはじめまして、それで気がついたらこれ程散らかっていたという訳です」

 

「あの二人は……」

 

 

 一度ちゃんと怒った方が良いのかもしれないな……さっきも寮に残っていた足跡を綺麗にするのに相当な労力を要したし……

 

「二人とも、あんまり汚したり散らかしたりしたら、元希さんに嫌われちゃうよ?」

 

「何ッ!? 主様に嫌われるじゃと!?」

 

「嫌ッ! 元希に嫌われる。リン、悲しい」

 

 

 僕が注意するより先に、バエルさんが二人を諭していた……相変わらずあの二人の扱いに長けている様な気がするのは何でだろう……実にお姉さんっぽいのだ。

 

「じゃあ二人も片づけ、出来ますね?」

 

「もちろんじゃ!」

 

「リンもやる!」

 

 

 バエルさんが二人にも片づけをさせる事に成功したおかげで、僕が二人を注意する事も無くみるみるうちに片付いていく。もちろん、二人の力だけではなく、炎さんたちのおかげでもあるのだけど。

 

「とりあえず、これで元通りかな」

 

「そうですね。水さんもリンちゃんもお疲れ様。ちゃんと片付け出来ましたね」

 

「当然じゃ! ワシにかかればこれくらい」

 

「リンも頑張った!」

 

「さて、片づけは終わったけど、二人には早蕨荘の事で聞きたい事があるんだけど」

 

 

 こっちの問題は一先ず片付いたけど、まだ僕とバエルさんが疲れた原因については説明を受けていない。あまり聞きたくは無いけども、一応は言い分を聞かなければ注意してもあまり響かないだろうし……

 

「あれは、この小娘が先に入り込んだのじゃ!」

 

「コイツが追いかけてくるから逃げた! その先があの部屋だっただけ!」

 

「まず何で追いかけてたの?」

 

「抜け駆けで主様に会おうとしてたからじゃ!」

 

「……何で仲良く出来ないの?」

 

「あっちがリンの事を嫌ってる!」

 

「………」

 

 

 何となくだけど、この二人は仲が良いんじゃないかと思える瞬間がある。だけどちょっとした事でもめたり、言い争ったりする事もあるので、出来ればずっと仲が良いと勘違いしていたいと思う時もあるのだ。今は後者の状態なのだが……

 

「とにかく、二人ともなるべく仲良くしてくれないと、僕だって困るんだけど」

 

「むぅ……主様が困るのはイケないのぅ」

 

「元希、困らせるのダメ……」

 

 

 怒るのではなく困って見せる事で自発的に反省を促す。甘いと言われるだろうけども、僕だって出来れば怒りたくないのだ。

 

「分かった。なるべく仲良くするように善処する」

 

「リンも。頑張って仲良くする」

 

「うん、ありがとう」

 

 

 反省してくれたようだし、僕も仲良くしてもらえるのなら嬉しい。だからこれ以上沈鬱な雰囲気でいるのも嫌だったので、僕は二人の頭を撫でた。

 

「うふふ、やっぱりお兄ちゃんっぽいですよ、元希さん」

 

「お姉ちゃんぽいバエルさんには敵いませんけどね」

 

 

 二人の頭を撫でている僕の頭を撫でているバエルさんに、僕は苦笑い気味の笑みを見せたのだった。




ションボリしてるロリ神様……

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