その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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語り手はあくまで元希ですけどね……


第一回補習模擬戦闘

 恵理さんの計画を実行する為に、僕はモニターの操作を手伝う事になった。本当なら僕も生徒だからみんなと一緒に架空世界でモンスターを退治するはずなんだけど、今回はこっちの手伝いをしてほしいとの事だ。

 

「それじゃあさっそく元希君には、あの子たちが倒せそうなモンスターを選んでもらおうかな」

 

「それって僕が選んで良いものなんですか?」

 

「だって、モニター越しに見てた私たちよりも、直に見てた元希君の方があの子たちの実力が分かってるんじゃないかしら?」

 

「モニター越しとはいえ、教師である恵理さんと涼子さんの方が実力を測れますよね? このモニターには実力を数値化する機能も付いてますし」

 

 

 入学試験では無かったが、この霊峰学園の定期試験にはこういった実戦を模した試験がある。その時に見るのは、戦闘技術と、数値化された実力だ。だから僕が直にみんなの魔法を見て実力を掴めていたとしても、数値化されているので僕以上に正確なデータを取る事が出来ているはずなのだ。

 

「細かい事は気にしないの。せっかく元希君がモンスターを選べる立場になってるんだから、遠慮しないで強そうなのを選んじゃいなさい」

 

「実力に見合ったものってさっき言ったじゃないですか……」

 

 

 無責任ともとれる恵理さんの発言に、僕はため息を吐きそうになった。もちろんギリギリで堪えたのだけども、顔には出てしまったようで、涼子さんに軽く肩を叩かれた。

 

「その気持ちは良く分かります。姉さんは所々いい加減ですから」

 

「さっ、さっさと初めて帰りましょう。今日は私と涼子ちゃんが晩御飯の当番なんだから」

 

 

 誤魔化すように恵理さんは僕にモンスターを選ぶよう急かしてくる。このまま追及し続けても良いんだけども、何時までも炎さんたちを架空世界で待たせたままなのは忍びないので追及はしなかった。

 

「それじゃあ、キマイラで」

 

「あら? さっきのオーガと大して変わらないんじゃない?」

 

「もちろん、能力はさっきのオーガより低く設定しますけど、キマイラはオーガより素早く動きますからね。連携をシッカリしないとやられちゃいますから。訓練ならコイツが一番良いかなと思っただけです」

 

「さすが元希君ね。良く考えています」

 

「属性と何匹出現させるかも元希君が選んで良いわよ」

 

 

 何だか全部丸投げされたので、僕は仕方なく設定を弄り続ける。後で個人戦もすると言う事なので、今回は一匹で、属性はノーマル。つまり弱点も対抗も無いタイプで出現させた。

 

「それじゃあ六人で頑張ってね。ちなみに、これに勝てなきゃこの後の設定は更にキツクなるからね」

 

「普通簡単になるんじゃ……」

 

 

 僕のツッコミは、当然の如く黙殺された……別にいいけど、何だかむなしいな。

 

『それで、今回の相手と出現数は?』

 

「それを調べるのも貴女たちの訓練の一環よ。ちなみに出現させたのは元希君だからね」

 

『元希様が? ならそれ程強い設定にはなさってないのですね?』

 

『いや、元希君の事だから、逆に強く設定してるかも』

 

 

 御影さんが僕をどう思ってるのか、これが終わったら話し合う必要が出てきた……僕はそんな性悪な事はしないのに。

 

「それじゃ、倒し終わるまで通信は切っておくから、後は貴女たちだけで頑張ってね」

 

 

 そういって恵理さんは架空世界との通信を切った。後、僕たちに出来るのは静かに見守るくらいだ。

 

「どう思う?」

 

「そうですね……策敵は光坂さんがいますから出来るとは思いますけど、キマイラの動きを封じ込めるには少々力不足かもしれませんね。穴を掘って落とすくらいしかなさそうですし」

 

「地面を凍らせて速度を奪ったり、風で足を切りつけるとかもあると思いますけど……」

 

「そんな事が簡単に思いつくなら、こんな補習授業みたいな事はやってないわよ」

 

 

 恵理さんが少しつまらなそうに発言したすぐ後、モニターにはキマイラをどうやって足止めさせるかで悩む六人が映し出される。

 

「ほらね。岩崎さんと風神さんで動きを封じるとして、前衛は誰がやるのかしら? 残ってるのは基本後衛の子だけでしょ?」

 

「岩清水さんがどちらかと言えば前衛ですが、氷上さんも光坂さんもアレクサンドロフさんも後衛ですね」

 

「秋穂さんと美土さんで動きを封じれば、炎さんが前衛になりますけど」

 

「彼女一人で倒せるかしらね?」

 

 

 今すぐにでもあの場所に行って指示を出したい。そんな衝動に駆られそうになったけど、今からあの場所に向かうのは不可能なので大人しくモニターを見ている事にした。みんな、怪我だけはしないようにね……架空世界とはいえ、ダメージはちょっと反映されるんだから……




優しいのか厳しいのか……
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