その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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元希君の実力はいかに……


元希君の料理

 クラス対抗戦一日目、僕は今日こそ部屋に侵入されないように警戒していた。早蕨荘に入居してから、今日まで、一回も気絶しないで過ごせた日が無いもんね。

 

「ドアも窓も鍵を掛けたし、お布団の中には誰も居ない。これなら理事長も早蕨先生も入って来れないよね」

 

 

 二人の前でこう呼ぶと怒られる……というよりもキスされちゃうけど、いないなら問題ないよね。モノローグでも名前呼びを心掛けてはいるけど、やっぱり年上の異性を名前で呼ぶのには勇気がいるもん。

 

「さてと着替えてご飯の準備をしなきゃ!」

 

 

 基本的に早蕨荘の家事は早蕨先生が担当してるんだけども、僕も手伝う事で家賃を無しにしてもらった恩返しをしてるのだ。

 

「魔法だけじゃ何か申し訳ないしね」

 

 

 田舎で普通にしていた事で家賃免除じゃ僕が納得出来ないんだ。

 

「よし! 頑張ろうっと」

 

 

 初めて着替え途中で乱入者がいなかった事にガッツポーズをし、僕はキッチンに向かう。そういえば理事長や早蕨先生は何時に起きるんだろう……寝るのも僕より遅いって事しか知らないや……

 

「えっと冷蔵庫には……これなら大丈夫かな」

 

 

 卵もあるしお味噌汁の具材もある。さすが早蕨先生だな~っと思ってると、背後に誰かの気配を感じた。

 

「あら? 今日は早いんですね、元希君」

 

「おはようございますさわら……涼子さん」

 

 

 やっぱり一人の時もなるべく名前で呼ぼう。危うく苗字で呼ぶところだったよ……

 

「今日の朝は元希君が作ってくれるの?」

 

「涼子さんのように美味しいか分かりませんけど」

 

 

 涼子さんの作ってくれるご飯は、スッゴく美味しいんだよね。だから僕が作っても恵理さんは満足してくれるか如何か……

 

「大丈夫。元希君が作ってくれたものなら、例え消し炭でも美味しく食べられるから」

 

「あうぅ……さすがにそこまで酷くないですよぅ……」

 

 

 それに消し炭は食べちゃ駄目だと思います……お腹壊しちゃうから……

 涼子さんと比べるとちょっと時間かかっちゃったけど、僕的には満足の行く朝ごはんが完成した。

 

「出来ましたーって、おはようございます、恵理さん」

 

「うん、おはよう元希君」

 

 

 お皿をテーブルに置くと、恵理さんはタイミングを計ったかのように抱きついて来た。実際計ってたんだろうな……

 

「う~ん、可愛くて家事万能。何時でもお嫁においでって感じよね~」

 

「姉さん! 元希君は姉さんのお嫁ではなく、私のお婿です!」

 

 

 あのぅ……僕はどっちとも結婚するなんて言ってないんだけど……

 

「とりあえずご飯食べましょうよ」

 

「そうね。元希君のご飯を食べましょう」

 

「意味合い変わってますよ……」

 

 

 恵理さんのセリフだと、僕のご飯を恵理さんが食べちゃう感じになってるんですよね……僕が作ったご飯を皆で食べて、学校に行く事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クラスに到着すると、炎さんと水奈さんが出迎えてくれた。

 

「元希! 今日は対抗戦だね!」

 

「元希様、今日は頑張りましょう!」

 

 

 出迎えてくれるのは良いけど、何で皆僕に抱きつくんだろう……背が小さいから埋もれちゃうんだよね……

 

「二人共、元希さんが困ってますよ」

 

「あ、ありがとう美土さん……ふみゅ!?」

 

 

 折角解放されたのに、美土さんに抱きしめられおっぱいに顔が埋もれた……美土さんは高校一年生なのに背もおっぱいも大きいから僕なんか簡単に埋もれちゃうんだよね……

 

「美土も元希君が困ってる事してるじゃん」

 

「あら」

 

「うにゅぅ……」

 

 

 御影さんに助けてもらって何とかなった……何時も御影さんに助けてもらってる気がするんだよね……

 

「ボクは元希君とあまり背が変わらないからね」

 

「でも、僕より御影さんの方が大きいよ……」

 

 

 このクラスで唯一の男の子なのに、一番背が小さいんだよね……

 

「はい、皆さんおはようございます」

 

「今日はクラス対抗戦ね~。Sクラスは初日にC,D,Eクラスと当たって、二日目にA,Bクラスと戦うからね。頑張ってね~」

 

「えっと……それって大変じゃないですか?」

 

「大丈夫よ。元希君たちなら簡単に終わると思うよ?」

 

「まぁSクラスはとくに優秀な子がいるからね」

 

 

 炎さんや水奈さん、美土さんに御影さんと魔法大家の娘さんがいるもんね。

 

「元希が前線で戦えば一瞬で終わるって」

 

「そうですわね。元希様が本気を出せばAクラスも瞬殺ですわね」

 

「二人共、あまり元希さんに頼るのも可哀想ですよ。私たちも頑張らないと」

 

「何で美土は元希君を抱きしめてるの?」

 

 

 僕がツッコム前に御影さんがツッコんでくれた。御影さんは僕の気持ちをある程度分かってくれるので、何となく仲良く出来ている。

 

「それじゃあ体育館に移動するわよ。元希君も頑張ってね」

 

「私たちはモニタールームで観戦してるけども、信じてますね」

 

 

 恵理理事長と涼子先生に先導され、僕たちは体育館に移動する。涼子先生は兎も角恵理先生は何でSクラスに来てるんだろう……理事長室ってそんなに居辛い場所なのかな……

 

「そんな事ないわよ? テレビもあるし冷暖房完備なのよ」

 

「うえぇ!? また思考を読まれた!?」

 

「元希君は分かりやすいもの」

 

「姉さん。あまり元希君を困らせちゃ駄目よ?」

 

 

 涼子先生も助けてくれるのは嬉しいけど、何で抱きついてくるんだろう……僕ってそんなに分かりやすいんだろうか……

 

「元希君は常時魔法発動してないからね」

 

「影の魔法?」

 

「うん」

 

 

 だって隠してるとやましいと思われちゃうから……御影さんに教えてもらったやり方で、僕は思考を読まれないように工夫する事にした。これでいきなり思考を読まれて驚く事は減るだろうな……




次回対抗戦、戦闘シーンや魔法を考えなければ……あとタイトルも……

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