恵理さんと二人で現場に駆け付けたが、辺りは既に破壊の限りを尽くされていた。かろうじて僕が張っていた結界が機能しているから、全壊はしていないけども、これを修理するのはなかなか大変そうだ……
「リン、水! とりあえずこっちに合流して!」
「主様? 分かった、行くぞ!」
「………」
「リン? どうしたのじゃ?」
僕の問い掛けにも、水の問い掛けにも答えずに、リンが一点を見つめている。その場所は僕とリンが出会った場所であり、おそらくリンが統治していた場所……その場には今大型モンスターが暴れている……
「おいリン! 何とか言ったらどうじゃ!」
「……許さない。我が土地を荒らすものは、何人たりとも生きて帰すわけにはいかない」
「な、なんじゃいきなり……お主、口調が変わっておるぞ」
「感謝するぞ、水神。わたしの代わりにこの辺り一帯の水脈を管理してくれた事を」
「リン? いったいどうしたの?」
「元希よ、もう一度身体を借りるぞ」
「へ?」
何を言われたのかを理解するのに、僕は数秒かかった。その間に僕の身体の自由は利かなくなり、意識だけが残った感覚に陥った。
「(これは……あの時と同じ?)」
『済まない、まだわたしの身体では本来の力を使う事が出来ないのです。幼すぎるからの』
「(でも、リンの身体なんでしょ? 幼いとかあるの?)」
『あれは仮の姿ですが、間違いなくわたしです。ですがその強度は人間の子供と同等くらいでの。強大な魔力を使えばその場で弾け飛ぶのです』
「(うえぇ……そんなのを僕の身体で使って大丈夫なの? 自慢じゃないけど、僕だってそれほど鍛えてるわけじゃ……)」
『必要なのは筋肉じゃなく魔力を受け容れられる器です。元希は十分にわたしの魔力を受け容れられる、それは前に身体を借りた時から確信していますので』
前のって……あの後僕、暫くまともに魔法が使えなかったんだけどな……それでも良いんだ……
『さて、わたしの場所、わたしの土地で、随分と悪さをしてくれましたね、愚弟』
「(お、弟!? 今暴れてるモンスターって、リンの弟だったの!?)」
『わたしの気配が無くなって暫く経ちましたので。わたしを探してるのかもしれんけど、あれは明らかにやりすぎです。少しお灸を据えなければなりません』
「(お灸って……)」
ていうか、リンの弟という事は、あのモンスターもそれなりの場所を治めてる土地神様なのではないだろうか……
「元希君、さっきから黙ってるけど……どうかしたの?」
恵理さん? もしかして僕の身体が乗っ取られてる事に気づいて無いのだろうか……
「退いてください。あれはわたしが倒すべき相手です。人間が出る幕では無い」
「えっと……本当に大丈夫なの?」
「心配するな。わたしの魔力と、元希の魔力を合わせれば、大抵のバカ者は一瞬で反省するでしょう」
「元希君の魔力……? 水、どういう事?」
「今の主様は、主様であって主様で無い状況じゃ。リンが主様の身体を乗っ取り、借りている状態じゃからの」
あっ、やっぱり気づいて無かったんだ……まぁ、見た目はそのままだし、乗っ取られるのも一瞬の出来事だからね……
「お主は結界の強度を高めておれ。少し手加減を間違えるかもしれんからの」
「強度って……くれぐれも周りに被害は出さないでよね」
「分かっています。元希からも注意されていますから…さて、我が愚弟。少しキツイかもしれないですが、死ぬのではありませんよ!」
何をするのさ……てか、僕の声でとんでもない事を言わないでよね……
「神の裁きよ、我が定めし悪を滅し尽くせ『ゴッド・ジャッジメント』」
なんてネーミングだ……てか、相手も神様なんじゃ……まぁ、気にしてもなにも出来ないから仕方ないんだけどね……これ、僕の身体はもつのだろうか……
キャラ設定が不安定だな……