日本支部の人たちを強制的に送り返して、僕は一息つこうとソファに座ろうとしたが、背後から三人に抱きつかれた。
「さすが元希君。あのクズたちをあっさりと送り返しちゃうなんて」
「今回は私たちじゃ撃退する材料が少なかったから、どうやって追い返そうか悩んでたんです。それをあんなにあっさりと撃退するなんて、元希君もあいつらに苛立ってたんですね」
「いや~、見事な口撃だったね。元希ちゃんがあそこまで舌戦も強かったなんて思って無かったわよ」
「……いらしたんですか、リーナさん」
恵理さんと涼子さんは知ってたけど、リーナさんもいたんだ……何で隠れてたんだろう?
「リーナは今アメリカ支部から追われてるからね」
「当たり前ですよ。本部の一部を破壊してきて、その上いきなり消えたんですから」
「だって何時までも拘束してくるアメリカ支部の連中が悪いんだって。当然の行動よ」
「当然かどうかはともかくとして、それと隠れてたのと何の……」
そこまで言って、僕はさっきまでここにいた人たちがどういった人たちだったかを思い出した。
「なるほど。さっきの人たちは腐っても日本支部の人間。アメリカ支部と繋がってる可能性があるんですね」
「そういうこと~。さすが元希ちゃんね」
「だったら、何でこの部屋に? 別の場所にいれば問題無かったのではないでしょうか?」
僕の疑問は当然のものだと思ったが、三人は驚いた顔をしている。何かおかしなことを聞いたかな……
「元希君を守る為には、リーナも必要だと思ったから私たちが呼んだのよ」
「僕を、守る……ですか?」
「そうですよ。元希君は心優しく日本支部の連中にも下手に出ますよね。もし万が一があった場合は、私と姉さん、そしてリーナの三人で日本支部を跡形も無く消し去るつもりでした」
「……怖いですし、冗談に聞こえないんですけど」
「もちろん本気だったからね。元希ちゃんを苛めるヤツは、この世に存在する理由なんて無いもの」
僕はいったいどんな存在なんだ……田舎では魔法師と言うだけで奇異の目で見られてたんだけど、それも感じようによっては苛めだったのではないだろうか……そうなると僕の田舎の人たちの大半は消し去られる事に……なんて恐ろしい人たちなんだろう。
「まぁ、元希君が口で圧倒して、さらには強制的に追い返してくれたから、アイツらも命拾いしたんだけどね」
「それにしても、相変わらずあの人は私たちとは真逆の意見でしたね」
「あいつの頭の中は色々とおかしいんじゃない? アメリカにだってあそこまで貴女たちを憎んでる魔法師はいないわよ」
「憎んでる? 何であの人は恵理さんたちを憎んでるんです?」
おそらくリーナさんが言った「貴女たち」に僕も含まれているんだろうけども、そこは自惚れないようにした。だって「僕たち」って言うより「恵理さんたち」と言った方が確実だったから。
「あいつは、日本支部最強と言われているAランク魔法師なの。でも、同じ日本にはSランクの私と涼子ちゃん、そして元希君がいるから日本最強と言われる事は無いの」
「実際、あの人は元希君の転移魔法に抗う魔法を発動出来ませんでしたから」
「そんな理由で? 別に最強じゃ無くても仕事が出来れば十分なのでは……」
「それが、あいつの良く分からないところなのよ。最強に拘って、恵理や涼子を目の敵にして、あまつさえ元希ちゃんにまで憎悪を抱いてる」
「固執、と言うより妄執よね、あそこまでいくと」
「神殺しも、おそらく伝説を鵜呑みにしたからでしょう。神を殺せば、その力を殺した人間が手に入れる事が出来るという」
「……神様に身体を乗っ取られるのはキツイですよ」
実際に二度体験した僕から言わせてもらえば、神様の力なんて欲しくない。それをあの人に教える事が出来れば、少しは対応が変わるのだろうか……
彼は日本最強に拘り過ぎのような気も……