第二試合もあっさりと終了してしまい、僕は正直拍子抜けの気分だった。だってこんなに簡単に勝てるなんて思って無かったし、未だに信じられないからだ。
「やっぱ元希は強いね~」
「元希様でしたら簡単にSランク試験に合格出来ますわね」
「でも~、Sランク試験は三年生からじゃないと受けられないからね~。それまでは元希さんもBランク相当扱いですけどね~」
「ボクたちもその扱いだけどね」
前に説明されたように、Sランク判定されたら日常生活に自由はなくなってしまう。そうなったら僕は炎さんたちとこうしてお話する事も出来なくなっちゃうのだろうか……
「あっ、元希君。次の対戦クラスのE-1なんだけど、棄権するって」
「うぇ? 棄権ですか?」
仮想世界での戦闘なので怪我をした訳では無いんだろうけども、何で棄権なんてするんだろう?
「どうもね~、元希君の噂を聞いてビビッてるみたいなのよね~」
「うえぇ!? 恵理さん、何処から!?」
何時の間にか背後から抱きつかれて僕は奇声を上げてしまう。
「だから~、次はSクラス全員で他のクラスの試合を観戦出来るわよ~」
「丁度良いじゃん、元希。秋穂の実力が分かるよ」
「秋穂さんは結構派手好きですものね」
「岩魔法だけなら炎さんと肩を並べられる実力ですものね~」
「学年六位も納得出来るよ」
「皆さん、モニター室に案内しますのでついてきてください」
涼子先生が恵理理事長に対抗したのか、僕の手を引っ張っていく……一人で歩けるんだけどなぁ……
「あれ? まだ試合中?」
「これは記録してある映像よ。教師は後でこの試合を全部チェックしなきゃいけないからね」
「そうなんですか」
やっぱり先生って大変な仕事なんだな……
「それじゃあ始まるから、五人は好きな場所に座って」
涼子先生に勧められた椅子は、クッション性があるソファーだった。やっぱり先生たちが使う場所は良い椅子が用意されてるんだなぁ~。
「元希君はこっちね」
「ほぇ?」
涼子先生に抱き上げられ、そのまま膝の上に抱えられた。何で子ども扱いなんだろう僕……
「あー先生ズルイ! 元希はアタシの隣に座るんだよ!」
「元希様は私の隣ですわ!」
「お姉さんの上よ~」
「ボクの隣」
「……立って観てます」
何だか言い争いが始まっちゃったから、僕はモニターが見えるギリギリの位置まで移動して立って観戦する事にした。だってこうすれば皆が大人しくなってくれると思ったから……でも僕の考えは恵理さんによって意味を成さなくなった。
「元希君は私とあっちの部屋に行くわよ。今のうちに数値を測定したから」
「入学前にしましたよ?」
「試験の時の数値は正確性がそれほど高く無いのよ。だから元希君の数値は恐らく試験の時と比べ物にならない結果が出るわよ」
こうして僕は結局観戦出来ずに数値測定をする破目になってしまった。
測定が終わったのとほぼ同時に、一日目の試合が全部終わったみたいだった。結果はS,A,Bが全勝、C,D,Eが全敗だ。それほど差が無いとは言っても、上位三クラスが勝利するのは当然だと御影さんが言っていた。
「疲れた~」
早蕨荘に帰って来て、僕はそのまますぐお風呂に入ることにした。すぐに終わったとはいえ、二回も試合してその後で数値測定したから凄い疲れたんだよね……こうやってゆっくりお風呂に入るのは久しぶりだな~。
「お邪魔しま~す!」
「ゴメンね元希君」
「あうぅ……」
結局恵理さんと涼子さんがお風呂に入ってきてしまった……二人がこの寮の所有者だから、僕が追い出せるわけもないし、そもそも出てってと頼んでも恵理さんがいう事を聞いてくれるとは思えないし……
「これ、さっきの測定結果よ」
「お風呂に持ってきちゃって大丈夫なの?」
「大丈夫よ。魔法でガードしてあるから」
そう言って恵理さんと涼子さんは僕を挟むように湯船に入ってきた。
「やっぱり試験の時とは比べ物にならない数値ね」
「戦闘を経験したのもあるでしょうし、特別な装置で計ったからじゃない?」
「気力も充満してたし、何より禁忌魔法を二回も発動した後だものね」
「数値だけなら既にSランクですね」
涼子先生が言ったことが、僕の中に響いてきた。Sランクと言うのは世界でもそう居ない魔法師だ。危険な魔物と戦う事を強要されるランクだし、それに加えて僕は全属性魔法師……恵理さんや涼子さんのように先生にでもならなければ落ち着いて生活出来ない立場になってしまうのかも……
「やっぱり元希君は私のお嫁さんになるしかないわね」
「だから、姉さんのお嫁さんじゃなくって私のお婿さんなの!」
お嫁さんもおかしいけど、僕はまだ結婚出来る年齢じゃないんだけどなぁ……言い争う二人とは別に、僕は考えていた。岩清水さんの魔法、結局見られなかったな……
「元希君? お姉さんと涼子ちゃん、どっちと結婚したい?」
「姉さん! 元希君を誘惑するのは駄目です!」
急に視界が覆われたと思ったら、何だか柔らかい感触が僕の顔全体に広がってきた……えっとこれってもしかして……
「涼子ちゃんだって背中におっぱい押し付けてるじゃない」
「姉さんは元希君の顔に押し付けてるでしょ! 私の方がよっぽど慎み深いですよ!」
「……あ、あうあうあう……きゅぅ~」
息が苦しくなったのと、おっぱいの感触だと理解してしまったので、僕は今日も意識を失ってしまう……
その次に僕が意識を取り戻したのは、恵理さんと涼子さんが僕を挟むようにして寝ている時だった……またどっちかの部屋に連れ込まれちゃったな……
二日目も元希君無双(予定)