その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。


防御陣 その3

 ここまでの特訓は僕が何かをしなくても大丈夫だったけど、ここから先は僕が攻撃を担当しなければ難しくなるだろうな……だって、残る属性は風、土、光、闇の四種、そしてそれに対抗するにはそれぞれの逆の属性と何かを掛け合わせなければならない。秋穂さんは岩、バエルさんは氷だから、どうしても僕が攻撃に回るしか無くなるのだ。

 

「じゃあ次は土と風だな。とりあえず、美土はコッチ」

 

「土の場合は水奈さんですかね。土に水分を含ませて、それで風で撃ち落とす陣が有効だと思います」

 

「じゃあ風は? 岩で防ぐのか?」

 

「岩に土を付けて、直接岩に届かせないようにして威力を抑えるのが有効かな。もちろん、吹き飛ばされないように土にも質量を持たせた方が良い。だからやっぱり水も必要だね」

 

 

 タダの土より、水分を含ませ粘土質なものにした方が攻撃を防ぐ事が出来るだろう。もちろん、それだけでは防ぎきれないので、岩で造る砦も重要になってくるのだけども。

 

「土を凍らせるのはどうでしょう? 霜柱みたいに土に含ませておけば、圧力が加わった時に粘土質に変わりますし」

 

「いっそのこと貼り付けた上から凍らせるとかは? そうすればより防げそうじゃない?」

 

「とりあえず色々試してみよう。それじゃあ、僕が攻撃するから、美土さんたちは陣の形成をお願い」

 

 

 少し離れた場所に移動して、僕は陣が出来上がるのを待つ。本当なら攻撃を先に仕掛けて陣を形成するんだろうけども、今は実験段階だし、強度を試すのだから先に造った方が効率が良いんだよね。

 

「準備出来ました」

 

「それじゃあ、まずは土属性の魔法から行きます」

 

 

 何も無い場所に土を生成し、それを美土さんたちが造り上げた陣に目掛けて飛ばす。簡単な攻撃魔法だけど、地味に威力がある為あたるとそれなりにダメージを受けるのだ。

 

「水奈さん、お願いします」

 

「お任せくださいな」

 

 

 水奈さんの攻撃魔法が、僕の攻撃魔法と衝突する。威力は抑えてあるけども、それでも水奈さんの攻撃魔法と同等くらいかな……もう少し抑えなきゃダメだな。

 

「美土さん、今ですわ」

 

「陣に纏わせた風の威力をあげます」

 

 

 粘土質になった土を、美土さんの風が粉砕し弾き飛ばす。これならもう少し威力を高めても大丈夫そうだけど、問題は水奈さんの威力か……氷の方が問題無いんだけど、水属性の攻撃魔法は練習してもらうしかないかな……

 

「よし! 次は風だな! 元希、もう一回準備するから待ってて」

 

「うん。とりあえず、散らばった粘土を片づけておくよ」

 

 

 散り散りになった粘土を風の魔法で一ヶ所に集め、炎魔法で一瞬で燃やしつくす。灰になり何処かに飛んで行ったのを確認して、僕は陣の方向へ視線を向けた。

 

「相変わらずスムーズに色々な属性の魔法を使うね、元希君は」

 

「恵理さんや涼子さんに比べたら、僕なんてまだまだですよ」

 

「あの二人は別格だと思いますけど……」

 

「でも、僕はあの二人と同じ全属性魔法師、比べる相手はあの二人しかいませんから」

 

 

 あの二人なら、全く同じタイミングで別の属性の魔法を複数展開する事が出来るだろう。僕はまだ二つくらいしか出来ないからね……

 

「元希、準備出来たぞ」

 

「分かった。じゃあ行くよ」

 

 

 威力をほどほどに抑えて風属性の攻撃魔法を炎さんが造り上げた岩の陣目掛けて放つ。どうやら粘土の上から氷魔法も重ね掛けしたらしく、氷を削るだけで結構な威力が削がれた感じだ。

 

「うん……これなら全力で行けるかな」

 

 

 威力を抑えた魔法では氷すら貫通しなかったので、僕はもう一度攻撃魔法を、今度は全力で陣に向けて放つ。

 

「ちょっ!? 全力じゃ止められないだろうが!」

 

「美土さん、強度をあげますわよ」

 

「うん……でも、元希さんの魔法に耐えられるまでの強度ってどれくらいです?」

 

 

 陣の中で慌てている三人だけども、さすがに貫通する前に消すって……




そう言えばそろそろ一周年か……

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