その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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ちゃんと報酬も出さなきゃ…


初の依頼

 拠点に戻った僕らは、今度の計画を恵理さんと涼子さんに伝える為に、その代表を決める事にした。

 

「まぁ元希は決定だろ」

 

「そうですわね。元希様は決定として、あと一人か二人必要ですわね」

 

「公平にじゃんけんで良いのでは? それなら誰も文句はありませんよね」

 

 

 美土さんの提案に、他の五人が頷く。てか、僕は決定なんだ……

 

「じゃんけんの結果、元希以外の代表は秋穂とバエルに決定!」

 

「それじゃあ元希君、一緒に先生に報告しに行こうか」

 

 

 秋穂さんに手を握られ、僕はそのまま恵理さんと涼子さんのいる簡易キッチンを目指す事に。反対側の手をバエルさんに握られ、ちょっとドキドキしたけど、この前みたいに心臓が飛び出しそうな事は無かった。

 

「あら? 元希君と岩清水さん、それにアレクサンドロフさんも」

 

「何かあったのですか?」

 

 

 恵理さんと涼子さんに今度の計画を伝え、万が一の場合は僕が式紙で知らせる事を話す。

 

「あの山はそれ程危険が無いとは思うけどね」

 

「ですが、ちらほらと魔物の目撃情報が上がっているのも事実です。日本支部が対処するまでも無いと判断したのでしょうが、一般人からすれば下級モンスターでも恐怖の対象ですからね」

 

「良いわ。その下級モンスターと思われる魔物の討伐を元希君たちに依頼します。もちろん、成功報酬はあるから頑張ってね」

 

 

 特訓では無く依頼になってしまったが、これで二人の許可はもらえた。後は当日、無事に魔物を討伐出来れば良いんだね、頑張らなきゃ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして当日、僕たちは七人で山を目指し歩いている。拠点からさほど距離は無いのだけども、山だから急な斜面もあるのでそれなりに体力が必要になって来た。

 

「元希、大丈夫か?」

 

「大丈夫だよ。それより、そろそろ目撃情報があった場所に着くから、みんな警戒しておいてね」

 

 

 日本支部が危険は無いと判断したとはいえ、それはあくまでも熟練の戦闘魔法師が見た時の事だ。学生である僕たちにとっても危険が無いとは言い切れない。僕と御影さんは影を広げ敵の気配を探る。

 

「今のところ反応は無い……でも、残留気配はあちらこちらから感じ取れる」

 

「半径一キロに敵の気配なし。でも御影さんの言うように残留気配は沢山ある……下級モンスターのものが殆どだけど、普通の生物の気配もあるね」

 

 

 山なので野生の動物がいても不思議ではないが、魔物が生息してる場所に野生の動物がいるのは珍しいな……また憑依型の新種とかじゃ無いよね……

 

「ちょっと休憩にしましょう。さすがにわたしがキツクなって来ました」

 

「私も。元希君より体力あるつもりだったんだけどなー」

 

「緊張で不要な力が全身に掛かってるんだと思いますよ。僕や御影さんみたいに、気配で安全だと常に思えるわけじゃないんですから」

 

 

 緊張すればそれだけで体力を消耗する。休憩は大事だけど僕と御影さんは完全に休むわけにはいかないのだ。

 

「一応結界は張っておくけど、気を抜き過ぎないようにね」

 

「分かってるって。それに、あの陣だって完成してるんだから襲われても大丈夫だろ」

 

「炎さん、御影さんと元希様は常に気を張っているのですよ? それであの陣を発動させろというのはお二人に負担をかけ過ぎですわ」

 

「そうだね。いざとなれば私たちも応戦しなきゃいけないんだし、適度に緊張感は保ちましょう」

 

「分かったよ……まぁ、元希と御影が気配を探ってるんだ。いきなり襲われるなんて事は無いだろ」

 

 

 炎さんは僕たちを完全に信頼してくれてるようだけど、新種ならさすがに僕や御影さんでも気づけないかもな……どうか新種ではありませんように。




元希君がいるからとりあえず安全、なのだろうか……

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