その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

160 / 245
名前考えるのが面倒です……


命名

 一度気になってしまうと、どうしてもその事で頭がいっぱいになってしまう。僕は自分の出自を調べられないかどうか手を尽くしたけど、僕の力では不可能だった。だからではないが、こういった情報収集に長けているリーナ先生を頼ったのだ。

 

「……それで、元希ちゃんは真実を知ってどうしたいの?」

 

「どうしたいって、とりあえずは気になったので調べたんです。ですが、僕の力では不可能でした。知りたい、という衝動は抑えられませんし、真実がどうであれ僕は受け止める覚悟は決めています」

 

「そう……でも、日本での事だから私でも無理かもしれないからね」

 

「分かってます。過度な期待はしないようにしておきますね」

 

 

 このセリフは、リーナさんに負担をかけないように言ったもので、リーナさんの実力を侮っているわけではない。その事はリーナさんも理解しているようで、ワシャワシャと僕の髪を乱暴に撫でてきた。

 

「なかなか生意気な事言うじゃない、元希ちゃんのクセに」

 

「僕だって一応は気にしてるんですよ。周りを頼り過ぎなのではないかと」

 

「むしろもっと頼るべきだと私は思うけどね。それじゃあ、とりあえず一週間調べてみる。それで何も分からなかったら諦めてね」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

 

 リーナさんに頭を下げ、僕は踵を返し自分のテントへと向かう。僕が望まれて生まれてきたのか、それとも単なる実験の産物なのかは分からない。でも、僕はここにいるみんなと一緒に楽しく生活してきた。それだけは間違いない事実だと思っている。

 

「随分と難しい顔をしてますね。何かあったんですか?」

 

「あっ、バエルさん……ちょっと気になる事がありまして、リーナさんに調べてもらうようお願いしてきたんです」

 

「元希さんが気になる事……ですか? 人工モンスターの事ですか?」

 

「いえ、ちょっと個人的な事です」

 

 

 あんまり言いふらす事でも無いし、事実が分からない以上これしか言いようがない。幸いな事にバエルさんはその事を理解してくれたようで、あまり踏み込んだ質問はしてこなかった。

 

「そうでした。この子は何処で生活してもらうんですか?」

 

「この子? あぁ、アメフラシの子供か」

 

 

 僕の使い魔となったアメフラシの姿を確認して、さて何処で生活してもらおうかと頭を悩ませた。

 

「すまぬ、主様はおるか?」

 

「水? 随分と久しぶりだけど、何処にいたの?」

 

「何処とはご挨拶じゃの。主様の命であの姉弟の代わりに神を務めているのじゃよ」

 

 

 あっ、そうだった……水にお願いして二つの土地を加護してもらってたんだった……

 

「それで、何かあったの?」

 

「なに、主様が新たな使い魔を手に入れたと訊いての。そのアメフラシ、ワシに貸してはくれんかの?」

 

「貸すのはいいけど……どうするのさ?」

 

「決まっておろう。雨を降らせてもらうのじゃよ。ワシの力では雨では無く滝になってしまっての。そ奴の力を借りたいのじゃ」

 

 

 水って細かい加減、苦手だったんだ……

 

「そう言う事なら仕方ないね。お願い出来るかな?」

 

 

 アメフラシにそう訊ねると、嬉しそうにすり寄って来た。

 

「名前を付けてあげたらどうです? 何時までもアメフラシのままじゃ可哀想ですよ」

 

「名前、ねぇ……アマでどうかな?」

 

「アマ、ですか? 可愛いとは思いますよ」

 

 

 気に行ったようで、アマも頬擦りをしてきた。よし、この子の名前はアマに決定だね。

 

「ふむ……ではアマを借りて行くぞ、我が主様」

 

「うん、頑張ってね」

 

 

 水とアマを見送り、僕は再び自分の事で頭を悩ませたのだった。




テキトー過ぎる……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。