その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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担任がいませんしね……


自習の内容

 恵理さんと涼子さんがいないため、授業は自習――ではなく、恵理さんが残した式紙が操作して演習をする事が殆どになっている。

 

「なぁ元希、おっさんの召喚ってどうやるんだ?」

 

「キマイラから聞いてないの? この空間にキマイラを呼び寄せる為の道をイメージして、心の中で強くキマイラを呼ぶんだよ」

 

「そうなのか。じゃあやってみるか」

 

 

 炎さんは物凄い集中力を発揮して、キマイラをこの仮想空間へと召喚しようとしている。もちろん、その間は僕や水奈さんたちで炎さんに攻撃が及ばないように守っているんだけど……

 

「今回も数が多いですわね」

 

「理事長先生が考えたプログラムですから、意地が悪いのは仕方ないとは思いますけど……これは多すぎます」

 

「急いで成長させたいみたいな感じがする……」

 

「でもまぁ、一体一体はそこまで強くないんだし、落ち着いて対処すれば僕たちなら大丈夫だって恵理さんが判断したんだよ、きっと」

 

 

 意地が悪い、ってのには賛同したいけども、モニターの前では恵理さんの式紙が僕たちの戦闘を記憶し、おそらくリアルタイムで恵理さんに伝えているのだろう。水奈さんや美土さんなら兎も角、僕まで恵理さんの悪口を言っていたと知られたら後が怖い……

 

「来い! おっさん」

 

「っ!? 炎さん、声に出す必要は無いんだよ……」

 

「まったく、人遣いが荒いのぅ、炎は……」

 

「おっさんは人じゃ無いだろ」

 

 

 けらけらと笑いながら、召喚に成功したキマイラの背に飛び乗る炎さん。なんだろう、この昔からの付き合いがあったような雰囲気は……

 

「して、ワシは何をすればいいんじゃ?」

 

「とりあえず、あいつらの中心に突撃だ! 何をするかは突っ込んでから決める」

 

「「「えぇ!?」」」

 

「……炎らしい無策」

 

 

 僕と水奈さんと美土さんが驚きの声を上げ、御影さんが褒めたのか貶したのか分からない感想を口にする。らしいかどうかはともかくとして、確かに無策だ。

 

「元希、お前も早く乗れって」

 

「僕も!?」

 

「アタシ一人で突っ込んでもやられるだけだろ?」

 

「……だったら突っ込まなきゃ良いのに」

 

 

 とりあえず一人で突っ込んだらやられる、と言う事は理解しているらしい……でも、僕が一緒なら大丈夫だと思う根拠が知りたいな……

 

「じゃあ飛ばすぞ! 他の娘たちも外側から攻撃して倒していくんじゃな」

 

「ちょっと、おっさん! さっさと突っ込めよ!」

 

「やれやれ……やはり炎は人遣いが荒いの」

 

 

 炎さんの指示にやれやれと呟きながらも、キマイラは楽しそうに敵の中心に突っ込んでいく……あぁもう! どうとでもなれ!

 

「炎よ、我を中心とし爆炎を繰り広げろ『エクスプロージョン』」

 

 

 敵の中心に到着したのを見計らって、僕は敵を全て燃やしつくす事にした。炎さんは火属性には体制があるし、キマイラにはこっそりと防御魔法を掛けておいた。これで僕たちにダメージが来る心配は無いし、ここに突っ込む前に、水奈さんたちには僕が上級魔法を放つと教えてある。だからきっと大丈夫だろう。

 

「すげーな、元希! 一気に敵が吹っ飛んだぜ!」

 

「楽しそうじゃな、炎よ。じゃが元希、威力を抑え過ぎではないか?」

 

「最大出力でやって、もし生き残った敵がいたら僕が邪魔でしょ? 戦力外の人間を庇いながら戦うのは大変だし」

 

 

 それに、このくらいの威力でも十分倒せるくらいのプログラムだしね。僕の予想通り、敵は全て燃え尽きて訓練終了の合図が仮想世界に鳴り響いた。

 

「終わったな。さすが元希だぜ!」

 

「炎さん、そのわしゃわしゃは止めてって言ってるじゃないか!」

 

 

 炎さんに抱きしめられ、髪の毛をわしゃわしゃと撫でられながら、僕は恵理さんが何故こんなプログラムを組んだのかを考えていたのだった。




大胆かつ豪快に……
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