恵理さんも涼子さんも僕と同じく養父母に育てられたという事実を聞かされ、僕は気まずい空気の中なにも言えずに座っていた。
「別に本当の両親だろうが違かろうが気にしないから、元希君もそんな顔しないの」
「そうですよ。私たちは両親なんていなかったと思ってるんですから、元希君が気にする事じゃありませんよ」
「ですが、そう簡単に割り切れるものじゃないですよね? 恵理さんも涼子さんもつらそうな顔してますし」
口では気にしてないと言っても表情がそう言っている。いくらいないものだって思っていても、さすがにダメージは避けられなかったのだろう。
「元希君の観察眼には恐れ入ったわね。いくら気にしてなかったと言っても、さっきまで血の繋がりを疑ってなかったから」
「私たちの養父母は魔法師でしたからね。元希君みたいに魔法が使えない女性に育てられたわけじゃ無かったので余計に疑えませんでした」
「あんまり似て無いとは思ってたし、愛されて無いとも感じてたけど……そっか、血が繋がって無かったからなんだ……」
あの恵理さんが本気でへこんでるように見える……どんなことにも動じない女性だと思ってたけど、やっぱり本当の両親じゃないという事実は相当堪えるんだろうな……僕もかなり堪えたし。
「全属性魔法師三人ともが養父母に育てられたという事は、私たちは何処から生まれてきたのかも分からなくなったわね」
「リーナが元希君の田舎にあるとされる研究施設を調べ終えれば、おのずと分かると思いますけどね」
「分かりたい、とは思えないけどね」
恵理さんの言葉に、涼子さんが沈鬱な表情で同意した。確かに知りたくない事ではあるけども、知らなければ先に進めない事なのだ。聞きたくない、知りたくないと言っても逃げられるものでも無いだろうしね。
「とりあえず皆には黙っておきましょう。私たちまでとなると、あの子たちも反応に困るかもしれないし」
「ですが、炎さんたちは意外と大らかですし、僕が造られた存在かもしれないって聞かされても、態度を変える事は無かったですよ」
「まぁ、それは元希君だったからでしょうけども、確かに岩崎さんたちなら受け容れてくれるかもしれないわね」
「彼女たちもまた、普通とは違う家の人ですからね」
「普通とは違う? どういう事ですか?」
炎さんたちもまた、人工的に造られたとでも言うのだろうか?
「聞いてない? 彼女たちの使う魔法には、他の人とは違う効果があるって」
「浄化、癒し、祝福、導きってやつですか?」
「そうよ。その中でもあの四人の魔法は跳びぬけて効果が高いと言われてるからね。魔法師の中でも敬遠されがちだったのよ、あの子たちも」
「異端――とまでは行かなくても、あの四人も私たちの今の状況と似てるんですよ。まぁ、彼女たちには岩清水さんという理解者がいてくれたので真っすぐ育ったと言えますがね」
理解者がいてくれれば、僕らも歪まずに生活出来るだろう。そして、僕は炎さんたちに受け容れてもらう事が出来た。おそらく恵理さんや涼子さんだって受け容れてもらえるだろうし、炎さんたちが僕たちを無視するような事をする人じゃないと思っている。
「それじゃあ、説明しに行きましょうか」
「姉さんが説明するんですか?」
「元希君、お願いね」
「えぇ!? 僕が説明するんですか?」
自分の事じゃ無いのにと思ったけど、恵理さんも涼子さんもまだ自分の中で整理が付いていないのだろう。その事が分かってしまったので、僕は炎さんたちに説明する任を引き受けたのだった。
説明役、元希君……