その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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着実に強くなってる


元希君の成長

 上級モンスター討伐の練習って言われても、その難易度は中級とさほど変わらない――その上級モンスターが大型ではない限り……水やシンみたいに、一匹で街を二、三個破壊できるようなモンスターだと大変だけど、中級に少し毛が生えた程度の上級モンスターなら簡単に始末することも可能だ。

 

『今回は中型で行くわね。元希君も能力の底上げをするなら、これくらいは必要でしょ?』

 

「別に底上げをしたいわけじゃないんですが……まぁ、たまには召喚してあげないと不貞腐れちゃうかもしれませんしね」

 

 

 リンやシンなら兎も角、他の召喚獣はそんなこと思わないだろうけども、僕もたまには召還したい時があるのだ。現実世界でそうバンバンと召還してたら辺り一面が大変なことになっちゃうだろうし……

 

『他のみんなも始めたから、元希君もそろそろ行くわよ。限界が来たら合図してね。それまでは無限にモンスターが出続けるから』

 

「うえぇ!? 普通に制限つけてくださいよ……」

 

 

 実に恵理さんらしいプログラムだけども、無制限ってなかなか面倒じゃないか……そんな特別サービスは求めてなかったよ……

 

「それじゃあ、中型なら遠慮はいらないよね。氷の狼よ、その姿を顕現し全てを凍らせよ『フェンリル・コキュートス』炎よ、その姿を巨人に変え敵を燃やし尽くせ『イフリート・エクスプロージョン』雷よ、その姿を鷲にかえ敵を喰らい尽くせ『ライトニング・イーグル』」

 

 

 禁忌魔法三連発だが、前みたいに疲労感はさほどない。この数ヶ月で基礎体力もつけたし魔力自体もかなり増えているからね。

 

「さらに、おまけでリン、シン! 君たちも暴れていいよ」

 

「久しぶりに表の世界かと思ったが、架空世界かよ」

 

「文句言わないの、愚弟。元希の命なんだからちゃんとしなさい」

 

「へいへい……姉上、あの家畜共はどうするんですか?」

 

「あれは元希の使い魔です。いわばわたしたちと同じ立場の召喚獣ですよ」

 

「我ら神とあのような家畜が同列なわけが……」

 

 

 シンが悪態を吐いたからか、召喚獣三匹がシン目がけて突進を始める。リンはそれを止めようともせずに眺めている。

 

「なっ、何だこの家畜共! 崇高なる神である俺に逆らうと……痛っ! 分かった! 俺が悪かった!」

 

 

 ……さすがのシンも、三匹相手じゃ立つ瀬がないんだね。

 

「それじゃあお願いね。僕も打ち漏らしを倒すから」

 

「元希、召喚獣を五体も召喚しておるのに、まだ魔力に余裕があるのか?」

 

「リンとシンを体内で匿ってからから、僕自身の魔力も大幅にアップしたみたいなんだ。だからまだ動けるし戦える」

 

「そうか。では愚弟、お前もさっさとあの魔物共の討伐に精を出さんか」

 

「姉上、何故楽しそうなのですか……我々神族が、このような人間に使役されるなど屈辱でしか……あぁ、分かりましたからその手は勘弁してください」

 

 

 振り上げたリンの手を見て、シンは素直に頭を下げて中型モンスター討伐に向かっていく。さてと、僕も影を広げて状況を把握しなきゃ。敵の数は無制限なんだし、召喚獣五体でも対応しきれるかどうか分からないからね。




禁忌魔法に神を召喚……

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