結果として、召喚獣五体はやりすぎだった……次々と出てくるはずだった上級中型モンスターだったが、やはり上限というものは何にでもあり、その上限をあっさりと喰らい尽くしてしまったのだ。
『えっと……さすがにやりすぎじゃないかしら?』
「そうみたいですね……でも、まだ出来ますよ?」
『プログラムが限界ね。まさか五千のモンスターを十分で倒しちゃうなんて思ってなかったわよ……』
あっ、五千くらいいたんだ……いちいち数なんて数えてなかったから、自分がどれだけの敵を倒したのか分からなかったけど、そんなもんだったんだ。
「それじゃあ、僕の特訓は終わりですか?」
『仕方ないけどね。元希君には私と涼子ちゃんのお手伝いを命じます』
つまり、六人の特訓の観察、問題点を見つけて的確に指示できるように分析するのか……そっち方面は僕より二人の方が得意だと思うんだけどな……
『得意不得意じゃなくって、元希君も指導は出来るでしょ』
「何も言ってませんけど……まぁ、簡単な指導くらいなら出来ますし、実際に今練習してる魔法を教えたのは僕ですからね」
現状は見ることが出来ないけど、おそらく別の仮想世界で繰り広げられているだろう練習。その魔法を教えたのは紛れもなく僕である。
『それじゃあ、さっさと転移先を開くから、元希君も早いところこっちに来てね』
「転移魔法の正確性は、恵理さんと涼子さんの方がはるかに上ですからね」
僕も出来なくはないけども、二人のように指定した場所に完璧にゲートを開くのは難しい。そのあたりも得意魔法の差なのだ。
「それじゃあ、みんなお疲れさま。リンとシンはこのまま外に出てる?」
「いや、まだ完全では無いようなので、元希の中に戻らせてもらいましょう」
「俺も姉上も、お前の中で回復した方が早いからな」
自然回復より僕の中の方が良いんだ……それって喜んでいいのだろうか。
「それじゃあ、また何かあったら呼ぶから」
「了解した」
「気は進まんが、暴れられるなら構わん」
何となく素直じゃないな、と思ったけど、指摘して怒られるのも嫌だからそのまま二人を僕の中に戻すことにした。他の三匹も素直に帰ってくれたので、僕は開かれたゲートに入り、現実世界へと復帰したのだった。
モニターで見る限り、秋穂さんとバエルさんはいきなり魔法を放とうとはせずに、感覚をつかむことに徹しているようだ。水奈さんや御影さんは、感覚はつかめてるけど安定して魔法を放つのにはもう少しって感じだ。美土さんはほぼ完璧に風を操っているけども、問題はその威力。上級魔法と呼ぶには、少し――いや、かなり力が弱い気がする……実際に見れば印象が変わるのかな?
「元希君、すごく難しい顔をしてますね」
「えっ? いや……魔法を教えた身としては、みんなが使えてるかが気になってたんですけど……炎さん以外は苦戦してるようですね」
「岩崎さんも会得してる、とは言い難いと思いますけど」
「とりあえず敵を倒す事が出来てるので、炎さんが一番順調だといえると思いますよ」
まぁ、いきなりクライマックスなのは相変わらずのようで、水奈さんが防壁を造るのに苦労してるけどね……今はバエルさんも手伝ってるから、全身煤まみれにはならないだろうけども。
他の子も強いんですけどね……