恵理さんと涼子さんに報告するために、僕は急いで拠点まで戻ってきた。
「あら? どうかしたのかしら」
「調査の結果、近くの山に不自然な雰囲気が漂ってる箇所があります。本格的な調査をするには、お二人のバックアップが必要ですので報告にきました」
「ご苦労様です。不自然な雰囲気って、どんな感じ?」
僕は式神を通じてみた光景を、出来る限り分かりやすく言語化した。
「それはちょっと厄介ね……一応私たちの方でも式を飛ばしておくから、今日はもう撤収で良いわよ」
「三人に伝えてきて、それで解散ですね」
「……分かりました。またダッシュします」
こういう時、言葉を話せる式神を持ってないのが痛いな……体力をつけるのにはちょうどいいけども、ちょっと面倒くさい。
「頑張ってね、男の子」
「私たちは式を飛ばし次第、夕飯の支度をしておきますので」
恵理さんと涼子さんに見送られ、僕は再び例の場所までダッシュした。念話の射程距離を延ばす訓練をした方が良いかな、これだと……でも、中々念話の練習をする機会なんて無いし……校内じゃ今のままでも十分だからな……
「これは、本格的に考えなければいけないかな……」
課外実習も増えてくるだろうし、そういったときに念話を使えるのはだいぶ楽になるだろうしね。
「この距離なら届くかな……」
拠点と村の中間地点まで来たので、僕は試しに念話を飛ばして見ることにした。
『元希君? どうかしたの』
「あっ、届いた。えっとね、恵理さんと涼子さんが式を飛ばすから、今日は帰ってきていいって」
『分かった。それじゃあボクたちも撤収するね』
とりあえず御影さんに念話が通じたので、僕も拠点へ帰ろう……てか、もう少し射程を延ばさないと本当にダメっぽいな……
『そういえば元希君は今どこにいるの?』
「拠点と村の中間地点だけど……それがどうかしたの?」
『報告もそこから?』
「いや、報告はちゃんと拠点まで行ってしたけど」
何がそんなに気になるんだろう……別に御影さんたちが気にしても意味はないと思うんだけどな……
『それじゃあそこで待ってて。すぐに行くから』
「えっ、ちょっと……切れちゃった」
僕からつないでるのに、なんで向こうから切れるんだろう……
「まぁいいや……それじゃあ、少し休んでようかな」
御影さん、秋穂さん、バエルさんの三人が来るまで、僕はこのあたりで休むことにした。ダッシュで一往復半したし、ちょっと休んでも怒られないだろうしね。
「偵察用の式神は十分だから、今度は通信用の式神を作れるようにしなきゃ……でも、練習する機会なんてめったにないしな……念話同様、どうしたものか……」
架空世界じゃ練習出来ないし、かといって僕だけ離れて徐々に射程を延ばしていくんじゃ大変だしな……何かいい練習方法でもあればいいんだけどな……
「あれ? 何だか瞼が重い……」
それほど疲れてるつもりは無かったんだけども、どうやら限界だったらしい。僕はそのまま気に寄りかかって寝てしまったのだった。
いろいろあったので、次回はご褒美回にでもしようと思ってます