とりあえず向こう側を浄化することに成功したので、シンを僕の中に戻す為にパイプを開くことにした。
「やれやれ、まったくもって手ごたえが無い」
「シン、お疲れさま」
「ふん、貴様に労われても嬉しくはない」
「なら、私に労われたら嬉しいとでもいうのですか、愚弟」
「あ、姉上!? そのような身体を乗っ取るとは、姉上の身体が穢れて――」
「黙りなさい!」
うーん……僕の身体で僕の声なんだけど、リンが喋ってるのは違和感しかないな……涼子さんも口をポカンって開けてるし。
「だいたいですね、今の貴方は元希の使い魔でしかないのですよ。それなのに主である元希が労ってくれたのに何ですか、あの反応は」
「あ、姉上……とりあえず男の声で喋るのは止めてください」
「元希の声は高いので問題ありません」
「そう言う事ではないでしょうが。男としては確かに高いですが、女の声とは違うのですから」
「そうでしょうか? 元希が女装をして街を歩いていたら、いったい何人が男の子だと分かるのでしょうね。涼子、貴女はどう思いますか?」
「私は元々元希君の性別を知っていますから何とも言えませんが、元希君がスカートを穿いて喋っていたら、おそらく女の子だと思う人が大勢いると思いますね」
うぅ……声が高い事も、背が低い事も気にしてるのに……加えて女顔であることも……
「ですから、そういう問題ではなく、元希の声で姉上に注意されていると、なんだか複雑な気持ちになるのです」
「さっさと元希の中に戻れば、私が直接叱れるのに、貴方が戻るのを嫌がるからこういう手段を取っているのですよ? 感謝されこそすれ、文句を言われる筋合いはありません」
「わ、分かりました。戻ります、戻らせていただきます」
シンが我慢できなくなったのか、僕の中に戻ることを承諾した。てか、僕もそろそろ自分の声で女口調を聞いているのに堪えられなくなってきたから、シンには感謝したい。
「初めから素直にそういえばよかったのです。だから貴方は愚弟なんですよ」
「頼みますから、説教は中に戻ってからにしてください……元希の見た目、元希の声なのに女口調だと、若干吐き気を催しますから……」
「あら? 見た目も女の子っぽいですし、声も高いから気にならないのですが、男性からすると違和感があるのかしらね? 涼子はどう思います?」
「私は、なんとなく元希君が目覚めたのではないかと思いますね。普段から女の子っぽいですし、別に違和感は覚えません」
「私も同感ですね。やはり性別の差、という事なのでしょうか? 元希もどうやら気持ち悪いと思っているようですし」
「元希と同感なのは気に入らないが、早いところ中に戻してくださいよ、姉上。続きはそこで聞きますので」
シンがもう一度頼み込むと、リンは満足したかのようにシンを僕の中に戻し、僕の身体の自由も返してくれた。
「あっ、やっと普通に喋れるよ……」
「元希君、今度女性口調で一日を過ごしてみませんか?」
「絶対に嫌です!」
涼子さんの目が、ちょっと本気っぽくて怖いけども、あんな喋り方は絶対にしたくない! これ以上女の子っぽく見られるのは勘弁願いたいもんね。
ちなみに自分は、女みたいな髪質が嫌ですね……細くて柔らかくてで……