魔法科のみんなに告白した翌日、僕はもう一人説明しなければいけない相手に会っていた。
「珍しいな、元希の方から会いに来るなんて」
「うん……健吾君に言っておかなければいけないことが出来たから」
「言っておかなければいけないこと? なんだよ」
健吾君は魔法師ではなく、普通の人間だ。だからみんなより受け入れることが難しいかもしれない。けど、健吾君は魔法師の僕と友達になってくれたし、隠しておくのは気が引けるのだ。
「前に言ったかもしれないけど、リーナさんがいなかった理由は、僕と早蕨姉妹の秘密を調べに行っていたんだ」
「あぁ、聞いたかもしれないな。それで、スミス先生が戻って来たって事は、その秘密が分かったって事だろ? その事と、元希の言っておかなければいけない事は関係してるのか?」
「うん。むしろ、その結果を健吾君にも言っておこうと思って」
魔法科のみんなには受け入れてもらえたけど、健吾君はどうだろう? 受け入れてくれるだろうか。それとも拒絶されるだろうか……
「おい、震えてるけど大丈夫か?」
「えっ?」
健吾君に言われ、僕は自分の身体が震えていたことに気が付いた。そりゃ緊張もするよね……せっかく出来た同性の友達を失うかもしれないんだから。
「無理に言う必要はねぇぞ? 言いにくい事なんだろ?」
「でも、健吾君には知っておいてもらいたいんだ」
僕は全身に力を入れて、震えを止めた。例え健吾君に拒絶されたとしても、友達に隠し事をし続けられる自信が僕にはない。だったら自分から言ってしまえばいい。それがどんな結果に繋がるともしても……
「僕は人工的に造られた魔法師らしいんだ」
「造られた? それは、魔法師としての元希が造られた存在なのか、それとも、元希自体が造られた存在なのかどっちだ?」
「それはまだ分かってないけど、可能性としては半分半分かな。魔法の才能があった僕を人工的に魔法師として優秀にしたのか、僕という存在自体を造りだしたのかは、リーナさんでも調べられなかったらしいんだ。継続的に調べてはくれてるけど、何時までも教師の仕事を休むわけにもいかないからって、今は学校で授業をしてるけどね」
「ふーん……元希も大変だな。その年で色々と悩むなんて」
「……健吾君は、僕の事をどう思う?」
拒絶はされなかったけども、もしかした不気味がっているかもしれない。答えを聞くのが怖いが、僕はどうしても健吾君の気持ちを知りたかったので尋ねた。
「どうって言われても……元希は元希だ。俺の友人で、魔法の才能に溢れた凄いやつ。それが俺のお前の認識だったし、これからもそれは変わらない。例えお前が造られた存在であろうがなかろうが、そんなのは俺たちの友情に何にも関係ない。もし立場が逆だったら、お前は俺を拒絶するのか?」
「しないよ!」
「だろ? だから一緒だ。これからもこうやって話したり、たまにはどっかに遊びに行こうぜ。お前、女友達しかいないんだろ?」
「仕方ないでしょ。魔法科は――いや、魔法師は女性の方が多いんだから」
健吾君に受け入れてもらって、僕は沈鬱な気分から脱した。友達だって言ってもらえたし、これからも仲良くしてくれるなら、何時までも鬱屈した気分でいるのは健吾君に失礼だしね。
彼は本当にいい男だ……中身も