その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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毎回彼女の口調を忘れる……


リーナの諜報能力

 健吾君とも今まで通りの関係が続けられると分かった僕は、一昨日から感じていたもやもやを感じなくなった。恐らく友人関係で悩んだのはこれが初めてだったからかな。あんなにもやもやしたのは。

 

「何か考え事ですか?」

 

「あっ、涼子さん。いえ、ちょっと悩み事が解決してスッキリしてたところです」

 

「そうですか。それじゃあ姉さんが待ってますし、理事長室に行きましょう」

 

「今日は特訓するんですか?」

 

 

 昨日一昨日とそういう気分じゃなかったのでしなかったが、今日からは問題なく特訓できそうだし、僕は意気込んで理事長室へ向かおうとしたが――

 

「特訓じゃなくって、例の魔法師の事が分かったみたいです」

 

 

――涼子さんの言葉に、ちょっと出鼻をくじかれた気分になった。まぁ、そっちも大事だけどさ。

 

「随分と早くわかりましたね」

 

「リーナは諜報向きだからね。彼女が調べれば大抵の事はすぐに分かるわ」

 

 

 大抵と言ったのは、僕たちの出自を調べるのにリーナさんらしくなく時間が掛かったからなんだろうな。それが無ければ、涼子さんはきっと「大抵」なんて言わなかっただろうしね。

 

「失礼します。姉さん、元希君を連れてきました」

 

 

 理事長室に到着し、涼子さんが入室の許可をもらうと、僕と涼子さんは理事長室の中に入り――

 

「元希ちゃん!」

 

 

――僕はリーナさんの熱烈歓迎を受けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえずリーナさんに離れてもらい、僕は調査報告を聞くことにした。

 

「例の魔法師だけど、やはりここの教頭が雇ったとみて間違いないわね。巧妙に隠してあったけど、学園からあの魔法師に入金があったわ」

 

「学園から? 教頭の個人資産からではなく?」

 

「あのメタボハゲは、前々から横領の疑いがあるのよ。どうやらこれで思う存分首をはねる事が出来そうね」

 

「ついでに言えば、この辺りを地盤としている議員への献金の証拠も掴んだから、そっちももろとも潰せるわよ」

 

 

 こ、この人は敵に回しちゃいけない人だ……僕は今確信した。リーナさんとは仲良くしよう。

 

「まっ、それは置いておいて、あの魔法師だけどね、元日本支部の魔法師だったわ」

 

「元? 今は違うんですか?」

 

「記録が残ってないから分からなかったけど、何か大きな問題を起こしたとかじゃないみたいなのよね……もう少し探りを入れれば確実に分かると思うけど――どうする?」

 

「別にその魔法師が元日本支部所属であろうがなかろうが、叩き潰す事に変わりないのだから、これ以上の調査は不要よ。リーナ、ご苦労様」

 

 

 一瞬の迷いもなく言いきった恵理さんに、リーナさんは了解の意味を込めた笑みを浮かべた。とりあえず敵は教頭と雇われた魔法師、それからこの辺りを地盤としている議員のようだけど、この辺りから選出されている国会議員って誰だ?

 

「反魔法師思想を掲げている老害よ。自分たちでは何もできないくせに『魔法師の平均収入を減らしてより良い社会を作ろう』とかほざいてる阿呆よ。まったく、自分たちが使ってるエネルギーの何割が魔法師が生み出してると思ってるのよ。それに、あのハゲ爺は魔物に襲われた経験があるはずなのに、助けてくれた魔法師に恩義も感じてないようね」

 

「えっと……リーナさん? 僕何も言ってないんですけど」

 

 

 顔色だけで心を読まれたのだろうか? やっぱりリーナさんは敵に回しちゃ駄目だ。怖すぎるよ……




敵に回しちゃダメな人だな、本当に……
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