皆に好意を持たれていた事は知っていたが、なるべくそれを考えないようにしていた。だって意識しちゃうとどうにも居心地が悪くなっちゃうと思ったからだ。だが本人から直接言われた時も何とか考えないようにすることは出来たが、第三者から見てもそうだと言われちゃうと、もう気づかないフリは難しくなってくるよね……
『どうかしましたか? 雑念が多い気がしますよ』
「ちょっと考え事を……それよりも、涼子さんは今何処に?」
『私は例の雑木林です。学校からギリギリの距離だったと思いますが、問題なさそうですね』
「当面の悩みは解決しましたからね。そっちに割いていた集中力を念話に全て持ってこれましたから」
別の問題は発生したが、それは僕がどうにかすればいいだけの問題だし、涼子さんに相談出来るものでもない。だって涼子さんにも好きだと言われたことはあるし、おそらく異性としての好きなのだろうと分かっている。恵理さんからも言われちゃったし……
『ならもう少し距離を広げて……』
「どうかしました?」
『いえ、何か嫌な空気が流れてる気がしまして』
「僕の方は何も……」
見張りの式神も何か不審な空気を感じ取ったということも無いし、僕自身も不審な空気は感じない。
「雑木林からですか? それとも、山の方からですか?」
『……この感じは、山の方ですね。元希君の式神で確認してみてください』
「分かりました」
僕は一旦念話を切って、式神の操作に意識を集中する。片手間だとどうしても精度が落ちるし、もし危険な展開に発展するのならば、本気で調べた方が良い。
「……あった、これだ」
僕は異変を感じる場所を特定し、再び涼子さんに念話で呼びかける。
「見つかりました。山の中腹、以前嫌な空気が充満していた場所です」
『……捉えました。確かに同じ場所ですね』
「あのあたりに敵魔法師が潜んでいるのでしょうか?」
『それは分かりません。調べようにも、あの場所には空間誤認の結界が張られていて、近づくことが出来ないんですから』
「その結界をどうにかするしかなさそうですね……」
結界を破壊するには、かなりの魔力と集中力が必要だ。遠くから壊せるようなものではないし、近づくのも難しいのなら、必要とされる魔力の量は普通の時の倍以上はかかるだろう。
「恵理さんや涼子さんの保有量で行けますか?」
『ちょっと厳しいですね……元希君のも合わせて漸く、と言ったところじゃないでしょうか』
「それじゃあ歩いて行く方がよさそうですね。座標移動すると、その分魔力を使っちゃいますし」
どれだけの量が必要なのか分からない以上、出来るだけ無駄は省いた方が良い。僕と涼子さんはそう結論付けて、恵理さんに報告するために理事長室へと向かうのだった。
本当は念話で伝えられればいいのだけど、今の僕の状態は涼子さんに念話に必要な魔力の半分を持ってもらって距離を延ばしてる状態なので、恵理さんが意識してない今、通じるか分からないのだ……
「まだまだだなぁ……」
自分の未熟さを実感しながら、僕は理事長室に走って向かうのだった。
平和パートはつまらないからといって、事件起こし過ぎですね……