集中力を欠く会話だったが、とりあえずは結界を壊す方向に軌道修正する事が出来た。でも、思いのほか頑丈な構造のため、僕たち三人でも壊せるかが微妙なんだよね……
「元希君の召喚獣、あれで壊せないかしら」
「正直微妙ですね。リンとシンの力を借りて、僕と一緒に召喚獣五体で攻撃してやっとって感じかもしれませんけど、その後僕が動けなくなる可能性が高いです」
「なら大丈夫よ。私でもリーナでも涼子でも、元希君をおぶって帰るくらい問題ないわ」
そう言われると、男としてこの上なく情けないんだよね……そりゃ、僕よりも背が高いし、体力もあるだろうけども、高校生にもなって女性におぶられるというのは、なんだか恥ずかしいよ。
「じゃあ、その作戦で行ってみましょう。元希君、お願いします」
「はぁ……」
正直、五体同時召喚は現実世界でやった事ないし、リンやシンを召喚する事によって、この土地の力場が崩れないか心配なんだよね……あっ、この辺りは今、水が治めてるから問題ないのか?
なんとなくそんなことを考えながら、僕は、僕が召喚出来る幻獣三体と、神であるリンとシンを召喚した。これだけでかなり魔力を消耗するんだけど、この後更に維持と結界破壊に参加するために攻撃するのだ。これくらいで音を上げるわけにはいかない。
「凄いわね、このラインナップは」
「氷に炎に雷、それに神獣が二体。私たちでも召喚出来るか微妙なほどの魔力が必要でしょうね」
「お静かに。元希君が集中していますので」
涼子さんの言葉は、今の僕にはありがたかった。少しでも集中力を欠けば、あっという間に倒れてしまったかもしれないのだから。
「見つけた! みんな、行くよ!」
結界の構造上、一番脆いところを見つけ出し、僕は幻獣に合図を出して総攻撃を仕掛ける。この攻撃で壊れなかったら、次に仕掛けられるのは三日後くらいになっちゃうんだろうな……
「くっ! もう少しだけ、頑張って」
幻獣にお願いするのもおかしな話かもしれないけど、僕は幻獣たちにもう少し力を出してもらうようにお願いした。そのお願いに応えてくれたのかは分からないけど、結界にヒビが入るのが分かった。
「良し、もうひと押し!」
残るすべての魔力を排出しても構わない勢いで、僕は結界に圧力を掛けていく。その思いに応えるように、結界が崩れ始めた。
「や、やった……」
「大丈夫?」
全身から力が抜けて、その場に倒れ込みそうになったところを、恵理さんに支えてもらった。あ、あはは……結界は壊せたけど、魔力が空っぽになっちゃってるな、これは……
「とりあえず、これは応急処置よ」
「!?!?」
恵理さんの顔が近づいてきたと思ったら、そのまま口づけをされた。触れ合った場所から、魔力が流れてくるのが分かる。
「これで、魔力が枯渇する心配は無くなったわね」
「あうあう」
「姉さんだけズルい!」
「あら、早い者勝ちよ」
魔力が枯渇すると、数日は動けなくなってしまうから、恵理さんの対処は正しいものなのだけど、こんなにも恥ずかしいとは思ってなかったな……
正しいのか……?