放課後になり、僕たちは不審者退治の為に山へ向かう事になった。それは良いんだけど、何故僕は秋穂さんとバエルさんに頭を撫でられているんだろう……
「相変わらずモテモテね、元希君は」
「皆さん、分かってるとは思いますけど、のんびりしていられるのもあと少しですからね」
「分かってますよ、早蕨先生。さすがに敵が近づいたらこんなにのんびりしていられませんものね」
秋穂さんが僕を撫でながら答えるけど、その雰囲気はのんびりしている感じしかない。
「さてと、ここからは分かれて行動するわよ。私と涼子と元希君は正面から敵に魔法をぶつけるわ。岩崎さん、氷上さんは右側面から、風神さん、光坂さんは左側面、岩清水さんとアレクサンドロフさんは私たちのバックアップ。リーナは背面から魔法をぶつけて。それで抵抗するようなら、元希君が合図を出して一斉攻撃を仕掛けるわ」
「分かりました。それじゃあアタシたちはこっちだな」
「わたしたちはこちらですね」
「じゃあね、元希ちゃん。簡単に終われば元希ちゃんも楽が出来るものね」
まぁ、早く終われるに越したことはないけど、油断するのはよくないよね……敵も遮二無二抵抗してくるだろうし。
「それじゃあ元希君、他の場所の準備が出来たら、一気に行くわよ。さっさと捕まえて、あのハゲオヤジの化けの皮を剥いでやるんだから」
「教頭は何で魔法師を目の敵にしてるんですか? 魔法師嫌いってだけじゃ、どうにも説明がつかないような」
「さぁ? あのメタボハゲの考えてる事なんて分からないわ。とっ捕まえてら聞いてみたら」
恵理さんも知らないのか……教頭が何も考えずに嫌がらせをしてるとも考えられないし、バックにいる国会議員の影響もあるのかな?
「元希君、あんなハゲオヤジの事を気にするなんて無駄な事を止めて、目の前の敵に集中しましょう」
「そうですね……敵を捕まえれば全て分かるんですから、今は余計な事は考えない事にします」
涼子さんに言われたからではないが、僕は一旦教頭の事を考えるのを止めた。どうせ僕が考えても分からないんだから、考えても無駄だもんね。
「それじゃあ、合図も来し仕掛けましょうか」
恵理さんが楽しそうに告げ、僕と涼子さんも頷いて応えた。恵理さんと涼子さんは風魔法を、僕は光魔法を敵魔法師に仕掛ける。
「出てきた出てきた。どうやら気配察知が得意な魔法師はいないみたいね」
「側面からの攻撃もしっかり当たっていますし、これならすぐに捕まえられるでしょうね」
「リーナさんの背面からの攻撃も有効ですし、後は時間の問題ですかね」
連携はさすがだけど、さすがにこの人数相手に抵抗するのは難しいだろうね。僕はもう一撃放ち、相手の戦意を削ぐことに集中した。
「往生際が悪いわね……いっそ爆撃でもしちゃおうかしら」
「自然環境に影響する魔法は避けてくださいね」
山を取り返すように水に頼まれたのに、その山に影響が出たら、水に何を言われるか分からない。僕は恵理さんに釘を刺して、今度は風魔法を敵に放ったのだった。
自然保護を忘れない元希君