水のところによって拠点に戻った僕たちだったが、到着するなり恵理さんと涼子さんに呼び出された。多分内容は向こうで思った事なんだろうけど、何も待ち構えてる事は無かったんじゃないかな……
「報酬の回収、ご苦労様。あれほどいただけるとは思ってなかったわ」
「水がおまけしてくれたみたいですよ。自分は食べないからって」
「まぁ、水さえあればなんとかなるものね」
恵理さんの言葉に、僕は少し不安を覚えた。これほど前置きをする恵理さんが本題に入るとき、何かが起こるんだろうな、という不安だ。
「そう言えば風神さん」
「何でしょうか、理事長先生」
「何時まで元希君を背負ってるのかしら? もう歩けるんでしょ?」
水奈さんたちの目を誤魔化すために美土さんに背負ってもらってのだが、転移魔法を使った時点で恵理さんたちには何があったのかはバレているのだ。水奈さんたちの目が届かない今、僕が美土さんに背負ってもらってる理由は無いのだ。
「元希さんが離れたくないと仰られたので」
「うぇ?」
「わたしの背中が気に入ったようで、元希さんがずっとこうしていたいと仰られたので、わたしは元希さんを背負ってるのです」
「おいおい美土、嘘はいけないぞ。水奈たちに元希とキスさせないためだっただろ。今は見てないんだから、下ろしたっていいんだぞ」
「炎さん……貴女って人は、どうして空気が読めないんですか! せっかく元希さんと密着し続けられるチャンスだったんですから」
炎さんの指摘に、美土さんが声を荒げて距離を詰めた。まぁ、恵理さんたちは僕の魔力が回復した事に気付いてるし、その方法も知ってるから、誤魔化し続ける事は不可能だったんだけどね……
「元希君」
「は、はひっ?」
「あのことは元希君から頼んだのかしら?」
「あの事……? っ、違いますよ! 水があの方法を知っていたらしく、美土さんと炎さんの前だというのに無理矢理……男として情けないですが、抵抗出来ずにそのまま二人とも……」
キスされる事自体は、嫌ではないのだけど、ああも無理矢理となると、嬉しさより先に恥ずかしさと情けなさが先にこみあげてきてしまうのだ。
「そう……とりあえず風神さんと岩崎さんは先に戻って構いません。元希君は少し話がありますので、私たちのテントに来てください」
「背負って行きましょうか?」
「結構です。元希君を背負う大役、大変ご苦労様でした。ですがここからはその役目は不要ですので」
「わ、分かりました」
今まで黙っていた涼子さんが美土さんに強気で迫ると、さすがの美土さんも余裕を保つことが出来なかった。あのメンバーの中で、怒らせると一番怖いのは涼子さんかな……
「それじゃあ元希君、どうやって迫られたのかを聞かせてもらおうかしら」
「それは私も興味ありますね。さぁ元希君、私たちのテントで再現してもらえるかしら」
「えっと……恵理さんも涼子さんも、目が怖いんですけど……」
血走ってる、とまではいかなくても、限りなく本気の目をしている二人……逃げ出そうにもさっきから僕はリーナさんの陰縫いで一歩も動くことが出来ないのだ。
「「さぁ!」」
二人に両腕を掴まれ、連行されるように教師陣のテントに運ばれていく。このままだとまたされてしまうのだろうか……
元希君に安らぎを