尋問の結果、彼らを雇ったのが教頭だと言う事以上の事は分からなかった。だけどとりあえずは教頭に事情を聞く必要があると言う事だけは確かだった。
「さてと、それじゃあ明日は――いえ、今からハゲオヤジに事情を聞きに行きましょうか」
「必要とあらば、もう一度幻影魔法を使ってもいいわよ」
「あの、僕もついていく必要は本当にあるんでしょうか」
侵入者の時は、僕も水から頼まれた手前、事情を聞く必要があったのだろうが、教頭に事情を聞きに行くのに、僕がついていく必要は無いと思うのだ。だって、嫌がらせをされたのは、僕だけじゃなく魔法科の生徒全員なんだから、聞きに行くのなら全員一緒の方が良いと思うんだけどな……
「尋問に生徒全員を連れていくのは不可能だし、魔法科の代表は元希君なんだから、君が同行するのが一番いいのよね」
「一年生の総代ですけど、魔法科の代表になった覚えは……」
「二年、三年生はそれほど教頭に邪魔されてないもの。今年の一年生だけが特にひどかったのよ。だから、代表は元希君なの」
なんか、悉く逃げ道を塞がれてるような気もするけど、立って相手の自白を聞いているだけで良いのだから、ついていくの自体は問題ないのだ。問題は、僕には見えないけど、彼らに見えた幻影が何なのかが気になる事だ。見た途端に騒ぎ出し、中には泣き出しそうになった人までいたのだ。余程恐ろしいものが見えているに違いない。
「さてと、それじゃああのハゲオヤジの自由を奪いに行きましょうか」
教頭が学園内で使っている部屋に到着し、恵理さんが物騒な事を言い出した。侵入者たちが証言した事が事実ならば、確かに教頭の自由は無くなるだろう。だが、あたかも拘束するような言い方を、喜々として言うのはちょっと違うような気もしないでもないのだ。
「ハゲオヤジ、観念なさい! ……逃げたわね」
扉を開け、恵理さんが踏み込んだが、既にもぬけの殻。教頭は危機を察知して逃げ出した後だった。
「でもこれで、あの連中を雇ったのがあのハゲオヤジだって事が確定したわね」
「そうですね。日本支部に指名手配要請を出しておきます」
「その日本支部がグルかもしれないから、内々で処理されない事を祈りましょう」
恵理さんが不気味な事を言ったが、ありえない話ではないのだ。教頭は僕たちに嫌がらせをする時には便利な存在だったかもしれないが、尻尾を掴まれて、そこから自分たちにたどり着かれる可能性があるのなら、日本支部の人間は教頭を消してもおかしくは無いのだ。
「そう言う事は、元希君が考える事じゃないわよ」
「ですが、可能性はありますよね」
「そうね、十分にあり得ると思うわ。もう利用価値のないメタボなんだから、そのまま消されてもおかしくは無いわよ」
「私なら普通に消すわね。だって邪魔だもの」
リーナさんがあっさりと言い放ったのを受けて、僕はちょっと怖いと思った。でも、それが普通で、それだけの事をした相手なのだから、同情するのは間違っているのかな?
元希君の感情が普通だと思う……