行方をくらました教頭を探す為に、僕たちは式神を飛ばした。魔法的要素を持たない教頭だから、感覚的に捉えるのは難しいけど、飛ばさないよりかは幾分かマシだろうと言う事なのだが、視覚的には捉えられるのだから、飛ばす事には意味があると思うんだけどな。
「さてと、早急に代理の教頭を立てないとね。涼子ちゃん、お願いね」
「分かりました。しかし、教頭まで魔法師になると、普通科の生徒から反乱などが起こる可能性は無いのでしょうかね」
「大丈夫でしょ。涼子ちゃん、男子からも女子からも慕われてるんだから」
そうなのだ。涼子さんは普通科の生徒からも慕われており、一部の生徒が嫌がらせをしていたのは、行為の裏返しなのではないかと噂されていたくらいだ。健吾君が言うには、早蕨姉妹とリーナさんは、普通科の生徒――主に男子にも熱烈なファンがいるとかいないとか……それくらい人気なのだから、反乱の心配はなさそうだな。
「色々と忙しくなっちゃうけど、お願いね」
「分かってますし、あのオヤジがどれほどしっかり仕事をしていたのか調べるいい機会です」
「殆どしてなかったと思うわよ。催促の連絡が私に来てたし、経費ちょろまかして色々してた裏も取れてるから、相当悪い事をしてたと思うわ」
「よくそんな人が教頭になれましたね……」
選考基準が分からないから何とも言えないけど、それだけの悪さをする人が、人望で選ばれたとは到底思えない。そこでも何か裏があったのではないかと疑ってしまうほどだ。
「この学園が出来た時に、相当貢献した家の親戚なのよね、あのハゲオヤジ。だから蔑ろにするわけにもいかなかったんだけど、これで堂々と追い出すことが出来るわ」
「反魔法師思考でしたし、日本政府と繋がってましたから、嫌がらせの質が他とはけた違いでしたからね。元希君も何度か嫌がらせされたんですよね?」
「え、えぇ……でも僕のは、せいぜい知らない女性に話しかけられたり、そのままどこかに連れていかれそうになったくらいですよ」
どちらとも、炎さんたちが助けてくれたから何ともなかったけど、あれも教頭の仕業だったのだろう。そうでなければ、僕に嫌がらせをしてくる人なんていないし。
「美人局のつもりだったのかしらね。あわよくばそのまま元希君を……」
「許せませんね……」
「あの、無事だったんですから、そのくらいで……今は教頭の行方を捜す事と、学園に混乱を招かない為に動かないと」
リーナさんが既に噂を流して情報操作をしてくれてるお陰で、こちらが悪になることは無いだろうと分かっているけども、混乱を招いてしまうとより面倒になりかねないのだ。だから僕は早めに処理を始めるべきだと思ったのだが、恵理さんは首を横に振った。
「処理は明日からで構わないわ。リーナが流した噂が定着してから動いた方が、信憑性が増すもの」
「そうですね。今片づけを始めてしまうと、私たちが追い出したと勘違いする生徒も出てくるでしょうしね」
「そう…ですね……」
そんな心配ないと思うけど、念には念を入れて行動した方が良いのだろう。僕は二人の意見に賛成し、とりあえず拠点に戻ることにした。これ以上僕がここにいても、出来る事は無いしね。
更に忙しくなりそうだ……