あのあたり一帯も霊的に落ち着いてきたし、何よりそろそろ戻らなければと思っていたので、僕たちはそれぞれの生活拠点へと戻ることになった。といっても、クラスが一緒な炎さん、水奈さん、美土さん、御影さんと、同じ早蕨荘のバエルさん。秋穂さんだって隣のクラスなのだから、会おうと思えばいつでも会える。だから解散の時もしんみりした空気にはならず、何時も通り「また明日」と挨拶して帰路についた。
「……時々掃除してたとはいえ、やっぱり人が住んでないと家ってすぐ傷んじゃうんですね」
「とりあえず掃除しましょう。買い出しとかは後です」
僕とバエルさんは、帰ってきてまず寮の掃除をすることにした。恵理さんたちは教頭の引き継ぎ作業がまだ残ってるらしいので、忙しく働いているし、リーナさんは前教頭がどこに行ったのかを調べるためにまたどこかに行ってしまった。従って、早蕨荘で生活してる人間で、帰ってきたのは僕とバエルさんの二人だけなのだ。
「とりあえず、全部の部屋の窓を開けて風を流します」
「では、私はこっちから窓を開けていきますので、元希さんはあちら側からお願いします」
僕がキッチンやお風呂場などの共同の場所の窓を、バエルさんが個人の部屋の窓を開ける事になり、僕は裏庭から寮に入り、それぞれの窓を開けていく。
「水がいてくれれば、もう少し楽が出来たんだけどな」
僕たちが引き上げる事になっても、水はまだあの土地の代理神を続けている。リンとシンの魔力が完全に回復するまでは、もう少しかかりそうなので、二柱はまだ僕の身体の中で休んでいる。
「あれから日本支部の嫌がらせも無くなったし、とりあえずは普通の高校生活を送れるみたいだし、よかったと思っていいのだろうか」
僕が普通の出自ではないと知っても、みんな態度を変えることなく付き合ってくれてるし、健吾君も変わらず友達でいてくれる。今まで普通とはかけ離れてた生活だったから、少しくらいは普通の高校生活というものを送ってみたいな。
「元希さん、こっちは全て開けましたよ」
「分かりました。では裏庭から風を流し込みますね」
風を起こし、寮内の空気の入れ替えと、塵などを掃き出して床を綺麗にする。もちろん、この後ちゃんと掃き掃除をして、水拭きして乾拭きするので、これで終わりではない。
「庭の草花も伸び放題ですし、元希さんが剪定してくれますか?」
「僕がですか? 草花の知識はバエルさんの方があるんですから、僕が寮内の掃除をした方が早いと思いますよ」
僕が剪定をした場合、どれを残そうかと考え込んで長時間経ってしまう未来が容易に想像出来る。だから僕が掃除、バエルさんが剪定をした方が早く終わると思うのだ。
「そうですか? じゃあ、元希さんが寮の掃除、私が庭の剪定を担当する事で」
「はい。それで行きましょう」
それぞれの役目が決まったので、僕たちはそれぞれが必要な道具を持って、それぞれが担当する場所へと向かった。といっても、同じ敷地内なんだけどね。
とりあえずネタが浮かぶまでは頑張ります……