五人はさすがに泊まっていくことは無く、晩御飯を一緒に食べてそれぞれの家に帰っていった。いくら学園と日本政府との対立が原因で気まずい雰囲気になっているとはいえ、解散したその日にお泊りはさすがに学園側のイメージが悪くなるという理由で、恵理さんが五人をそれぞれの家に送り届けたのだ。
「さすがに転移魔法はマズいと思ったんでしょうね」
「教育者として、しっかりと送り届けないとまた印象が悪くなりますからね」
最初は転移魔法で送り届けるつもりだったのだが、恵理さんがそれはダメだと言う事で五人を直接送り届けているのだ。僕が行っても良かったのだけど、僕も学生だからという理由で、その案は却下されたのだった。
「何だか寂しいですね」
「何がですか?」
「昨日までは大勢でわいわいやっていたのに、こうして寮に戻ってみると四人だけなんだなと思いまして……」
リーナさんがいれば五人だが、今はまたどこかに情報を集めに行ってしまったので、この早蕨荘で生活しているのは四人だ。
「そんなに寂しいのでしたら、一緒に寝ましょうか?」
「それは遠慮させてもらいます。涼子さんが一緒に寝るって言いだすと、恵理さんも一緒に寝る事になりそうですし」
そうなるとバエルさんも一緒に、とか言い出しそうだしな……バエルさんは周りに合わせる感じが強いから、二人が一緒なら、って感じで言い出しそうで怖い……まぁ、昨日まで同じテントで寝てたから大丈夫なんだけどね。
「ところで元希君、早蕨荘のルールは覚えてますよね?」
「早蕨荘のルール? ……さてと、お風呂の前に食器を片付けないと」
「逃げても駄目ですよ? 元希君がお風呂に入るまで、私たちも入りませんから」
それならお風呂に入らなければ……いや、掃除とかして汗掻いてるし、お風呂に入らないのはダメだな……
「姉さんが戻ってきたらお風呂ですから、それまでには覚悟を決めておいてくださいね」
「うぅ……最後の方はバラバラで入ってたから、こっちでもそうなると思ってたのに……」
偵察やら巡回やらで同じタイミングで入ることが難しくなったので、テント生活の最後の方は個人のタイミングでお風呂に入っていたから、あのルールは廃止になったと思ってたのに……やっぱり生きてたんだ……
「そう言えば、バエルさんはどうしました?」
「アレクサンドロフさんは、部屋でお勉強中です。元希君もそろそろテストなんですから、しっかりと準備してくださいね」
「分かってはいるんですけどね……」
いざ机に向かうと、余計な事を考えてしまい、僕のテスト勉強はなかなか捗らない。具体的には、日本政府とのこれからの付き合い方とか、出自の秘密とかいろいろだ……特に早蕨姉妹と僕が同じ研究所で誕生したと言う事が僕が考える割合の中でも大部分を占めている。親が同じ、とは限らないだろうし、ほぼ百パーセントの確率でありえないと思うけども、もしかした姉弟かもしれないと思うと、二人のスキンシップの激しさは、弟に対する遠慮の無さなのかな、なんて考えてみたり……でも、それだとリーナさんの激しさの説明がつかないから、結局は無駄な事を考えているだけなんだけどね……
現実逃避なのかな……