テスト前と言う事で、周りがピリピリしている感じがするけど、僕たちは平常運転だ。いつ大型モンスターが現れるか分からない状況には変わらないので、新魔法の特訓を欠かさずに行い、下校した後はテスト勉強と家事をするという日が続いた。
「元希、今日も魔法の練習に付き合ってくれよ」
「構わないけど、ここ最近毎日下校時間ぎりぎりまで学校に残ってるけど、体力は平気なの? 炎さんだけじゃなくて、他の三人もだけど」
バエルさんや秋穂さんはたまに休んだりしてるから、まだ安心してるけども、炎さんたち魔法大家の四人は、拠点生活を解消してからほぼ毎日、下校時間ぎりぎりまで魔法の特訓をしているのだ。焦っても魔法を習得できるわけではないのだけども、家にいたくない理由を恵理さんから聞いてしまったので、家に帰って休んだ方が良いとは言えないのだ。
「問題ありませんわ。それとも、元希様がお疲れなのですか?」
「もしそうなら、さすがに付き合わせるのは申し訳ないですね」
「元希君、疲れてるの?」
「いや、僕はそれほど疲れてないけど……」
僕は全体を見守ったり、見本として一発大魔法を放つくらいだから、多少疲れても寮に帰って少し休めば回復するから問題ない。そもそも僕が心配してるのは四人の体力だ。
「それなら今日も頼むぜ。もう少しでコツを掴めそうなんだよ」
「それならいいけどさ……無理しても良い事は無いんだよ?」
「別に無理してないぜ? そもそも無理だって判断したら、こう毎日も元希に付き合ってもらわないっての」
たぶん無理してるんだろうけどな……自覚してて認めてない感じがするんだよね……これは恵理さんか涼子さんに相談した方が良いのかな?
昼休みに理事長室を訪れ、僕は炎さんたちの現状を恵理さんに相談する事にした。
「なるほど……岩崎さんたちの現状を考えると、仕方ないのかもしれないわね」
「僕も理由を知ってますから、帰って休んだ方が良いとは言えないんですよね……」
「親と気まずい雰囲気だものね……さすがに私たちも家庭事情に首を突っ込むわけにはいかないもの」
「姉さんなら出来るんじゃないですか?」
涼子さんの言葉に、恵理さんが苦笑いを浮かべる、普段ならそうするんだけど、とでも言いたげな表情に思えて僕は今回の事情は、相当根が深いんだなと理解した。
「魔法大家の四家は日本政府側に力を貸すと決めたんだから、そこに私たちが介入しようものなら、日本政府に私たちを攻め入る理由をあげることになってしまうからね……そうすると岩崎さんたちの身動きを封じる事になっちゃうし」
「そうなると学校に来ることも出来なくなっちゃいますからね……」
恵理さんと涼子さんが揃ってため息を吐くと、僕もため息を吐きたくなった。全属性魔法師と日本政府のいざこざに、炎さんたちを巻き込んでしまったのだろうかと、僕まで気が重くなってきたのだ。
「とりあえず元希君は、岩崎さんたちが無茶しないように見ていてちょうだい。私たちの方で解決策を考えてみるから」
「分かりました」
僕は一礼して、理事長室から出て行こうとしたのだが、もう少しいいじゃないという感じで、恵理さんに捕まってしまったのだった。
家でする娘の気持ちってこんな感じなのだろうか……