その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

229 / 245
そこまでやる必要はあるのだろうか……


限界まで

 放課後の特訓で、炎さんたちは相当疲弊している。何日も連続でやっていると言う事もあるが、今日の特訓はかなり大変だったと、僕も思っている。

 

「明日は休んだ方が良いよ。さすがに魔力を使い過ぎてる」

 

「別にそんな事ねぇぜ。一晩休めば……おっと」

 

「だから言ったのに」

 

 

 無理して立とうとした炎さんだったが、足元がおぼつかないようでバランスを崩した。

 

「すまんすまん……とりあえず、水分だけくれ」

 

「他の三人も、大人しくしててよね? 秋穂さん、四人が無茶しようとしたら止めてください。その間に僕が何か飲み物を買ってきますから」

 

「分かった。それじゃあ元希君、お願いね」

 

 

 秋穂さんの言葉に頷いて、僕は四人分の飲み物を買いに購買へ急ぐ。いくら放課後とはいえ、廊下を走るなんて事はしないけど。

 

「元希君、どうかしたんですか?」

 

「あっ、涼子さん。炎さんたちがギリギリまで魔力を使って動けなくなったので、とりあえず飲み物を買いに行くんです」

 

「余程家に帰りたくないのでしょうね……無理だけはしないように、元希君がしっかりと見張っててくださいね。時間があれば、私や姉さんも見学に行きますから」

 

「恵理さんも涼子さんも、今は忙しい時期ですし、お二人も無理だけはしないでくださいね」

 

 

 僕が心配してそう言うと、涼子さんは笑みを浮かべて僕の頭を撫でた。

 

「ありがとうございます。でも、私たちは大丈夫だから、元希君は岩崎さんたちを心配してあげて。彼女たちはまだ、精神的に弱いところがあるから」

 

「精神的に……そこは僕も似たようなものですから、何もアドバイス出来ないのが歯がゆいですね」

 

 

 自分の問題もまだ片付いていないのに、人の問題に首を突っ込んでる場合なのかと、たまに思ったりする。そんな事思うと言う事は、僕も精神的に未熟なのだろうな。

 

「アドバイスする必要なんてないわよ。ただ一緒にいてあげれば、それだけで精神的に楽になると思いますから」

 

「そんなものですか?」

 

「そうですよ。ましてやそれが元希君なら、彼女たちは相当楽になるでしょうし」

 

 

 精神的支柱というやつだろうか? でも、僕がそんな大それたものになれるとは思えないんだけどな……

 

「好きな人が側にいてくれる、それだけで安心するものですよ」

 

「あうぅ……」

 

 

 好かれているという自覚は、さすがに僕にもある。いい加減分かるほど、彼女たちにはいろいろなアプローチをされてきたし、むしろ言われた事すらあるのだ。だけど、言われるとやっぱり恥ずかしいものがあり、僕の顔は真っ赤に染めあがってしまった。

 

「そう言う反応をする元希君、やっぱり可愛いわね」

 

「からかわないでくださいよ涼子さん!」

 

「ごめんなさいね。それじゃあ、私はまだ仕事が残ってるから、四人の事お願いね」

 

 

 そう言って涼子さんと分かれ、僕は購買で四人分の飲み物を買い体育館へと戻った。とりあえず無茶はしなかったようで、僕が出て行った時と同じ体勢で、四人は床に転がっていた。

 

「動く気力も残ってないんだね……はい、これ」

 

 

 買ってきたスポーツドリンクを手渡し、僕は四人がそれだけ帰りたくないんだと言う事を、改めて理解したのだった。




何事も適度で終わらせるのが一番だと思いますがね
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。