放課後の特訓で、炎さんたちは相当疲弊している。何日も連続でやっていると言う事もあるが、今日の特訓はかなり大変だったと、僕も思っている。
「明日は休んだ方が良いよ。さすがに魔力を使い過ぎてる」
「別にそんな事ねぇぜ。一晩休めば……おっと」
「だから言ったのに」
無理して立とうとした炎さんだったが、足元がおぼつかないようでバランスを崩した。
「すまんすまん……とりあえず、水分だけくれ」
「他の三人も、大人しくしててよね? 秋穂さん、四人が無茶しようとしたら止めてください。その間に僕が何か飲み物を買ってきますから」
「分かった。それじゃあ元希君、お願いね」
秋穂さんの言葉に頷いて、僕は四人分の飲み物を買いに購買へ急ぐ。いくら放課後とはいえ、廊下を走るなんて事はしないけど。
「元希君、どうかしたんですか?」
「あっ、涼子さん。炎さんたちがギリギリまで魔力を使って動けなくなったので、とりあえず飲み物を買いに行くんです」
「余程家に帰りたくないのでしょうね……無理だけはしないように、元希君がしっかりと見張っててくださいね。時間があれば、私や姉さんも見学に行きますから」
「恵理さんも涼子さんも、今は忙しい時期ですし、お二人も無理だけはしないでくださいね」
僕が心配してそう言うと、涼子さんは笑みを浮かべて僕の頭を撫でた。
「ありがとうございます。でも、私たちは大丈夫だから、元希君は岩崎さんたちを心配してあげて。彼女たちはまだ、精神的に弱いところがあるから」
「精神的に……そこは僕も似たようなものですから、何もアドバイス出来ないのが歯がゆいですね」
自分の問題もまだ片付いていないのに、人の問題に首を突っ込んでる場合なのかと、たまに思ったりする。そんな事思うと言う事は、僕も精神的に未熟なのだろうな。
「アドバイスする必要なんてないわよ。ただ一緒にいてあげれば、それだけで精神的に楽になると思いますから」
「そんなものですか?」
「そうですよ。ましてやそれが元希君なら、彼女たちは相当楽になるでしょうし」
精神的支柱というやつだろうか? でも、僕がそんな大それたものになれるとは思えないんだけどな……
「好きな人が側にいてくれる、それだけで安心するものですよ」
「あうぅ……」
好かれているという自覚は、さすがに僕にもある。いい加減分かるほど、彼女たちにはいろいろなアプローチをされてきたし、むしろ言われた事すらあるのだ。だけど、言われるとやっぱり恥ずかしいものがあり、僕の顔は真っ赤に染めあがってしまった。
「そう言う反応をする元希君、やっぱり可愛いわね」
「からかわないでくださいよ涼子さん!」
「ごめんなさいね。それじゃあ、私はまだ仕事が残ってるから、四人の事お願いね」
そう言って涼子さんと分かれ、僕は購買で四人分の飲み物を買い体育館へと戻った。とりあえず無茶はしなかったようで、僕が出て行った時と同じ体勢で、四人は床に転がっていた。
「動く気力も残ってないんだね……はい、これ」
買ってきたスポーツドリンクを手渡し、僕は四人がそれだけ帰りたくないんだと言う事を、改めて理解したのだった。
何事も適度で終わらせるのが一番だと思いますがね