その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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もうこれが最終章で良いかな……


村の周りに

 準備を終えた僕たちは、転移魔法を使って水が治めている村の近くに移動し、日本政府の人がいるかどうか気配を探った。

 

「それらしい気配は、今のところ感じないけど……」

 

「向こうだって無能じゃないんだから、気配遮断くらいしてるんじゃない?」

 

「日本政府の魔法師の中に、私たちの気配察知から逃げられるほどの高レベルな気配遮断が使える魔法師はいなかったと思いますけど」

 

「じゃあ外部から雇ったとか?」

 

 

 あまり真剣に考えるつもりが無いのか、恵理さんはテキトーに可能性を上げていく。そんなテキトーな意見にも、涼子さんはしっかりと答えるあたり、やはり彼女は真面目なんだなと改めて思った。

 

「元希君はどう? 気配察知は私たちの方が得意だけど、射程は元希君の方が広いでしょ?」

 

「今のところは何とも……村人が外に出てないのが気になる程度ですかね」

 

 

 ここは農村なのだから、今の時間は作業中のはずなのに人の姿が無い。その事が気になったけど、それと日本政府の人間がここにいるかどうかに繋がりは無いと思う。

 

「何やら結界のようなものが張られていますが、これは無害ですね」

 

「人払いの結界? でも、何でこんな村にこの結界が……」

 

 

 結界の分析をして、僕は村人が一人もいなかった事に納得がいった。村人は魔法師ではないので、結界に対抗する事が出来なかったのだろう。今頃、どこかに旅でもしてるか、日本政府が用意した場所に避難していることだろう。

 

「つまり私たちは誘い出されたってわけね」

 

「ですが、日本政府の人間が一人もいないということが気になります。彼らが結界を張ったのなら、その目的と術者がはっきりと分かるはずですが、目的も分からなければ術者も見当たりません。そして、水の気配だけはしっかりと把握できてます」

 

「つまり、水を討伐しに来たわけじゃないんですね」

 

 

 前科があるからその心配もしてたけども、どうやらそれが目的ではなさそうだった。その事が分かった僕は、とりあえず胸をなでおろしたのだった。

 

「それか水に返り討ちにされて、今は何処かで作戦会議中なのかもね」

 

「姉さん! せっかく元希君が安心したところに、そんな不安を煽るようなことは言わないでください」

 

「ちょっとした冗談じゃない……まったく、涼子ちゃんは厳しいんだから」

 

 

 別に僕も恵理さんが言ったことが冗談だと思ったので、今のは涼子さんの気にし過ぎなのだと思った。だけど涼子さんはしっかりと僕の気持ちを考えてくれてのツッコミだったので、僕は口を挿むことをしなかった。

 

「? 約二キロ先に人の気配が……これは、村人じゃないですね」

 

「二キロですか……もう少し近づかないと私には分かりませんが、恐らくそれが日本政府の人間の気配でしょうね」

 

 

 とりあえず緊急ではなさそうだと判断して、僕たちは結界をかいくぐって水に話を聞くことにした。結界を破ったら完全にバレるだろうけども、こうして侵入するだけなら問題はないだろう。不審者対策としての結界ではないのだから、結界内に人が入ったのを感知しても、何か罠が発動するわけでもないし、駆けつけてきた時には僕たちはもう逃げてるだろうしね。




ちゃんと終わらせたいな……

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