その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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あと何回更新出来るかな……


敵陣営

 水から連絡を受けて、僕たち四人はあの村の近くまでやって来た。相変わらず村民の気配は無いし、それ以外の気配も感じられないけども、少し離れたところから敵意がピリピリと伝わってくるのが分かる。

 

「いるわね……」

 

「かなりの数がここに向かってるみたいですね。一本道ですので、迂回されたりすることはないと思います」

 

「後は、魔法大家の四家や岩清水さんの家のような有力者たちがどう動くかね……」

 

 

 要請があれば動くのだろうけども、さすがに娘さんたちと全面対決はしたくないだろうし、炎さんたちも口ではああいっていたけども、本音は身内とは戦いたくないのだろうな。だから、出来る事なら動きがある前に終わらせたいんだよね。

 

「アマ? 何か用事?」

 

 

 足元をピョンピョン跳ね回るアマに視線を向けると、何やら紙を咥えていた。

 

「これは?」

 

「どうかしたの、元希君?」

 

「アマが手紙を咥えていたので……炎さんたちから?」

 

 

 恐らくキマイラが持ってきたのを、アマが引き受けたのだろう。僕たちは炎さんたちからの手紙を読み、魔法大家は動かないと決めたことを知ったのだった。

 

「過去の恩義も大事だけど、未来の事を考えて中立を貫くそうです」

 

「本当に未来の事を考えてるなら、加勢してもらいたかったけど、動かないと分かれば背後を気にする必要は無くなったわね」

 

「元からあまり気にしてなかったでしょうに……」

 

 

 学園の警備には、恵理さんと涼子さんが魔力を込めて作った式神たちがいる。並大抵の相手なら撃退出来ると思うのだが、魔法大家の当主ともなるとさすがに耐えられなかっただろう。だから中立を決めてくれただけで、学園の事を心配する必要が大きく減ったのだ。

 

「後は、あそこにいる集団に弦間喜三郎がいるかどうかよね……」

 

「リーナが調べた限り、今年で百二十歳なのですよね? さすがに現役ではないと思うのですが……」

 

「あの化け物爺さんの事だから、先頭を闊歩してるかもしれないわよ」

 

 

 恵理さんが冗談めかしてそんなことを言うが、僕はなんとなくありえそうだなと感じてしまった。

 

「とりあえず、僕の式が敵の姿を捉えたので、映像に回しますね」

 

「便利よね、その式」

 

「まぁ、恐ろしいくらい魔力を消費しますが、リンとシンが補ってくれるので使えるんですよ」

 

 

 僕個人で使おうとすれば、二時間は動けなくなるくらいの疲労感を覚えるだろう。まだ僕の中に神が宿ってるから使える式で、これを自由に使えるようになるにはもっと特訓しなければだめだろうね。

 

「これが敵の全容ですかね……後方に守りを固めてる箇所がありますので、弦間喜三郎がいるとすればこの辺りだと思います」

 

「そうみたいね。さすがに先頭に老人の姿は……」

 

「いますね。弦間喜三郎」

 

 

 映像を先頭方面へと進めていくと、恵理さんが言ったように最前線に日本魔法師界の父と呼ばれる弦間喜三郎の姿が見受けられた。何で自ら先陣切って突っ込んでくるんだろう……

 

「まぁ、こいつさえ殺れば終わるんだし、先頭にいてくれた方が楽でいいわよ」

 

「姉さん。殺人を前提にものを考えないでください。まぁ、せいぜい戦闘不能になってもらうくらいで」

 

 

 涼子さんの言ってる事も相当怖いけども、まぁ命を狙われてるんだからそれくらいはしないとね。




来月中には終わらせられるかな……再来月には確実に終わりそう

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