その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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水のキャライメージが固定出来ない……


日本支部の返事

 意識を取り戻した僕は、擬人化した水に服を用意する為に恵理さんを訪ねた。

 

「失礼します」

 

「あら、元希君じゃない。お姉さんに何か用事かしら?」

 

「えっと、水が人の格好になれるようになりましたので、何か着せるものをと思いまして」

 

「そうねぇ……元希君の体操着じゃ駄目なの?」

 

「サイズが……」

 

 

 水の身長は僕よりも遥に大きい……まだ子供だと思ってた水だけども、人間の格好になるとあそこまで大きいなんて……しかもまた女の子に負けた……

 

「それじゃあ此処に涼子ちゃんの体操着があるんだけど、これなら大丈夫でしょ?」

 

「何で涼子さんの体操着? 着る事あるんですか?」

 

「罰ゲームで何度か着てるわよ。なかなか良いわよ~ムチムチしてて」

 

「姉さん! 元希君に余計なこと教えないでください!」

 

「あら涼子ちゃん。理事長室に何か用事?」

 

 

 随分とタイミングよく現れたけども、もしかして涼子さん、理事長室に影を張ってるんじゃないだろうか……

 

「先ほど日本支部討伐隊からの回答が届きました」

 

「それで?」

 

「あの水竜は暴走の兆候が見られたために討伐した。正当性は此方にあると」

 

「で、その兆候とやらはちゃんとデータとして残ってるんでしょうね」

 

「そこまでは……恐らく無いものと思って間違い無さそうですね」

 

「そういえば元希君、水が人の格好になったのよね? ちょっとつれてきてくれないかな?」

 

「うえぇ!? だって水は裸なんですよ?」

 

 

 如何にかしようと思って恵理さんのところに来たのに……でもよっぽど大事な事なんだろうな……いつものようにふざけた感じはしないし。

 

「それじゃあ涼子ちゃんの上着を貸してあげるから、それで何とかつれてきて」

 

「何で私のなんですか! 姉さんが貸してあげれば良いじゃないですか!」

 

「だってあの子の娘ならば、恐らく涼子ちゃんの方がスタイルが似てるし……」

 

「……分かりましたよ。じゃあ元希君、お願いね」

 

「わ、分かりました……」

 

 

 何となく気まずい雰囲気を感じ取って、僕は涼子さんから上着を預かって水を呼びに行く事にした。でも、何で急に気まずくなったんだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教室まで戻ってくると、既に水は皆と仲良くなっていた。

 

「おぉ、遅かったな元希よ」

 

「えっと、水」

 

「なんじゃ?」

 

「ちょっと一緒に理事長室まで来てくれないかな? 恵理さんが聞きたい事があるって」

 

「そうか。では早速……」

 

「待って!」

 

 

 裸のまま教室から出ようとした水を引きとめ、涼子さんから借りてきた上着を手渡す。

 

「とりあえずそれを着て。理事長室に行くのはその後」

 

「しょうがないのぅ……して、これは如何やって着るのだ?」

 

 

 水に服の着方を教えたいけども、僕が見ても良いのだろうか? いくら相手は竜、人間では無いにしても、今の姿は誰が如何見ても人だし……

 

「アタシが教えてあげるよ」

 

「スマンな、炎よ」

 

「良いって。元希にゃ無理だろうしさ」

 

「あうぅ……」

 

 

 炎さんにも見抜かれてたようで、僕はとりあえず教室から出ておく事にした。普通女の子の着替えが行われてる場所に男の僕が居たらおかしいだろうしね。

 

「元希君、なんだか水を意識しすぎなような気がする」

 

「そんな事ないよぅ……皆だって僕が居る時に着替えなんて出来ないでしょ?」

 

「そんな事無い。少なくともボクは元希君が居ても着替えられる」

 

 

 それは男として見られてないのだろうか……まぁこんな容姿だし仕方ないんだろうけども、やっぱりちょっと複雑な気分だな……

 

「お姉さんも元希さんの前でも着替えられるわよ~。むしろ見せ付けちゃう」

 

「美土、それはただの痴女だよ」

 

「そうかしら? 水ちゃんの方がよっぽど痴女よね~。裸で廊下に出ようとしたんだから」

 

「それは水が人間社会のルールを把握してないからでしょ。美土はもう長いこと人間世界で生活してるんだから、水と同列に考えたら駄目でしょ」

 

 

 そもそも何で美土さんと御影さんまで部屋から出てるんだろう……女の子同士なら別に外に出なくても大丈夫だと思うんだけども……

 

「終わったよ」

 

「もう入ってきても大丈夫ですわ」

 

 

 炎さんと水奈さんに声を掛けられて、僕は教室に入る。そこには、涼子さんの上着を羽織、美土さんのズボンを穿いた水が立っていた。

 

「どうじゃ元希よ。動き難いがこれが人間の格好なのじゃろ?」

 

「うんまぁ……とりあえず恵理さんのところに行こうか」

 

「そうじゃの。だが元希よ、もう少し反応してくれても良いんじゃないか?」

 

「あうぅ……だって」

 

 

 水の格好を見て、僕は恥ずかしさを覚えたのだ。あまりにも性的魅力があるというのだろうか? 僕に普通の高校生男子並の感性があったらどうなるのか分からないくらい、水は綺麗だったのだ。

 

「まぁよい。元希がこう言うことが苦手だというのは、一緒に風呂に入った時に気付いておるわ」

 

「なら聞かないでよぅ……」

 

「スマンスマン。元希はからかい甲斐があるから、ついの」

 

 

 なんだか恵理さんや涼子さんと仲が良かった竜の娘ってのが分かる気がするよ……これだけ弄られたら嫌でもわかっちゃうよね……

 

「さて元希よ。その理事長室とやらへ案内してもらおうか」

 

「うん、分かったけどもう少し大人しくして。ズボンが落ちそうになってるから」

 

 

 いくら美土さんのスタイルがよくても、それ以上に細い水はさっきからズボンを気にしているのだ……さすがにベルトの予備なんて持ってないし、僕が持ってても届かないだろうし……とりあえず恵理さんたちのところまではゆっくり移動する事にしよう。




なんか古風なしゃべり方に……

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