僕たち五人と、弦間喜三郎が対面するのに、そう時間はかからなかった。こちらからもだけど、あちら側からも向かって来ていたのだから、早くに対面してもおかしくはない。
「貴方が弦間喜三郎かしら? 噂では百二十歳だって聞いてたんだけど、随分と元気なのね」
「お前らが生まれる過程で成果が上がった実験のお陰じゃ。不老不死とはいかなかったが、長寿にはなれたようだからな」
「なら何故私たちを攻撃するのですか」
「全属性魔法師などという、兵器になりかねない存在を始末する為じゃよ。お前さんたち個人に恨みも無ければ、何の感情も無いが、こればっかりは世界平和の為にな。儂もそう長くないじゃろうし、儂が生み出した兵器は儂が処分しておかなければ死んでも死にきれないからの」
「なら、今ここで殺してあげるわよ!」
恵理さんが炎の弾を数発、弦間喜三郎に向けて放つ。だがその炎は、弦間喜三郎に当たることなく護衛の魔法師によって撃ち落とされた。
「質が劣ってても、数がおればこの通りじゃ。お前さんたちは魔力も高ければ、使える魔法の種類も多い。じゃが、結局は数が物を言うんじゃよ」
「なら、その数を減らせばいいんですね? 雷よ、その姿を鷲に変え敵を喰らい尽くせ『ライトニング・イーグル』」
禁忌魔法を使い、敵の魔法師を戦闘不能に陥らせる。さすがに殺すのは避けたかったので、全身を痺れさせる程度に抑えての発動だ。
「これが最高傑作といわれた成功作の三例目か。なかなかにえげつない魔法を使うの」
「元希だけが相手だと思わない事だな!」
「土地を荒らす貴様らは、我々を敵に回した事を後悔するがいい」
僕が召喚したのは、雷の鷲だけではなく、リンとシンも一緒に外界へと召喚した。これで無限の魔力は無くなったけども、その分の戦力は確保出来ただろう。
「なんと、土地神まで仲間に引き入れるとは、なかなかの統率力があるようじゃな。バラしたら詳しく調べさせる必要がありそうじゃ」
「下種が! 私たちはお前の実験道具じゃないんだよ!」
「実験体が何を言うか。お前さんたちが生きているのは、この儂が命じたからじゃぞ? 感謝されこそすれ、恨まれる覚えなど無いわ!」
恵理さんが氷魔法で攻めるが、相手は大量の火を放ちその氷を溶かし、風でそのまま流していく。
「腰ぎんちゃくに頼ってばかりで、アンタ個人は大して強くないのかしら?」
「儂の魔法は、貴様ら如き実験体にはもったいないからの。我が兵隊の魔法で十分じゃ」
「なら、これはどうかしら?」
正面から恵理さんが次元の裂け目を作り、背後から涼子さんが風魔法でその裂け目へと押していく。この魔法は次元の裂け目へと幽閉し、こちらが解放しない限り永遠に次元の狭間を彷徨わせる魔法だ。
「防壁じゃ! 急ぎ防壁を張れ!」
弦間喜三郎の声が日本支部の魔法師たちに掛かるが、リンとシンがそれを妨害し、僕が風を操ってその声をかき消した。
その結果、弦間喜三郎を守っていた魔法師の十パーセントが次元の狭間に幽閉され、更に十パーセントがライトニング・イーグルによって戦闘不能に陥った。
「これでも多い!」
「ちょっとずつ削るわよ!」
「はい!」
三人で連携している間に、リーナさんとバエルさんが弦間喜三郎が率いている集団の背後に回った。これで多少はマシな戦いが出来そうだな。
元希君もヒートアップしてきてます