六人に迫られて、僕は自分の気持ちをはっきりと伝える決心がついた。
「僕は、たぶんバエルさんに惹かれてると思う」
「思う? はっきりとは分からないのか?」
炎さんの問いかけに、僕は頷く。
「はっきりと分かるもなにも、こんな気持ち初めてだから、これが『恋』なのかどうかも分からないんだよね」
「そう言えば、元希様の出身は同年代の魔法師がいない村でしたわね」
「ましてや、元希さんは人工魔法師と言う事で敬遠されていたようですし、親しい友人、というのもいないと言っていましたしね」
「でも、元希君はバエルに惹かれてるって思ってるんだよね?」
「そうだね。でも、他の五人の事もちゃんと好きだよ」
異性として、十分に魅力的だと思うし、僕みたいなちんちくりんを好きだって言ってくれている相手に、惹かれないわけがないと、僕も思っている。
「その事でちょっといいかな~?」
「リーナさん? さっきまでいなかったのに……」
六人と僕の間に突如現れ、満面の笑みを浮かべるリーナさん。この表情を浮かべてる時は、何かよからぬことを考えている時だと、数ヶ月の付き合いながらも分かるようになってきた。
「元希ちゃんは全属性魔法師だから、国籍は高校卒業と共に剥奪されるわけ。だから、日本の法律に当てはめて考える必要は無いのよ」
「あぁ、そう言えば私たちも、国籍はフリーだったわね」
「霊峰学園の教師として働いているから忘れてました」
いや、忘れてたって……結構重要な事だと思うんだけどな……
「つまり、元希ちゃんは一人に決める必要は無いってわけ。私や恵理、涼子も候補に入れてほしいけどね」
「つまりリーナ先生の仰られたことを纏めると、私たち全員が元希様のお嫁さんになる事も可能ということですか?」
「そういうこと。もちろん、元希ちゃんがそれを認めてくれて、貴女たちがそれで納得出来るなら、だけどね」
とんでもない爆弾発言のような気もするけど、実にリーナさんらしい裏技だとも思える。
「私は特に問題ないかな。最初から独占出来るとは思ってないし」
「アタシも問題ないぜ。てか、他の男なんて興味ないからな」
「ボクも。親が連れて来た魔法師は、殆ど死んじゃったし、元々興味も無かったから」
「わたしも問題ありません。むしろ、これからも皆さんと一緒にいられると言う事は、とても嬉しい事だと思いますわ」
秋穂さん、炎さん、御影さん、美土さんの四人は、リーナさんの考えを支持した。残る水奈さんとバエルさんは少し考えてから口を開いた。
「欲をいえば、私一人で元希様を占領したい気持ちはあります。ですが、炎さんや美土さん、御影さんや秋穂さん、もちろんバエルさんともこれからも仲良くしたいと思う気持ちも当然ありますの。だから、私も先生のお考えを支持しますわ」
「私は……元希さんの気持ちを尊重します。選んでもらったのは嬉しかったですし、横やりが入ったのにムッとした事は隠しません。ですが、皆さんとこれからも仲良くできるのでしたら、それが一番だと思いますから」
全員の視線が僕に向けられる。ここで逃げたら男としての尊厳は無くなるだろうな。
「正直僕みたいな男にみんなが一緒にいたいと思ってくれるなんて不思議だけど、これからもお願いします」
優柔不断でも良い。ハーレム野郎と罵られても良い。僕は、これからもみんなと一緒にいるんだ!
くだらない想像話にお付き合いいただき、ありがとうございました