その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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ちょっとずつ新たな展開に持っていきます


予感

 あのお出かけから少し時間が過ぎ、高校生活にも少しずつ慣れ始めた時にその事件は起こった。霊峰学園の三年生には魔物討伐に呼ばれる先輩も少なく無い。今回の発端もその魔物討伐の依頼を受けた事で始まったのだった。

 

「今回は正当な理由で討伐するんだろうな?」

 

「そんな事私に聞かれても分かりませんわ」

 

「まあまあ二人共落ち着いて。わたしたちには直接関係無いのですから」

 

「美土は落ち着きすぎじゃない? 今授業中だよ?」

 

 

 御影さんが言ったように今僕たちは授業中だ。では何故おしゃべりしてても怒られないのかというと、演習で架空世界で魔物討伐の練習中だからだ。

 

「数が多いね……二手に分かれる?」

 

「じゃあアタシは元希と一緒が良い!」

 

「私もです!」

 

「もちろんわたしもよ~」

 

「ボクも」

 

 

 どうやら僕の提案は無意味だったようだ……仲が良いのは良い事なんだけど、何でみんな僕と一緒になりたがるんだろう……授業だって事忘れてるのかな?

 

「これこれ、元希はワシと一緒に行くから、お主たちは四人で行けぃ。のぅ元希や」

 

「……水は監視じゃなかったの?」

 

 

 僕たちがちゃんと討伐出来るかどうかは、モニターで涼子さんが確認してるんだけども、水が如何してもと言ったのでこうして架空世界に一緒に来ているのだ。監視役という名目でなんだけど……

 

「カッカッカ、細かい事を気にするで無い。それより元希、大型のモンスターの気配がいたるところからしておるぞ」

 

「分かってるよ……じゃあ炎さんと水奈さんは向こうをお願い。美土さんと御影さんはこっちを」

 

「元希は?」

 

「僕は一番強い気配の持ち主の場所に行く」

 

 

 対抗戦の時に感じた水の気配ほどではないけども、今回の大型モンスターの気配は入学前に戦った地竜とは比べ物にならないくらい強い。涼子さん、設定ミスったんじゃないのかな?

 

「それじゃあこっちが終わったら元希のところに合流で」

 

「分かりましたわ」

 

「気をつけてね~」

 

「美土、こっちも気合を入れないと」

 

 

 それぞれが移動したのを確認して、僕も気配の持ち主へと近づく事にした。架空世界だから最悪でも死ぬことは無い。だけど恐怖から魔法を発動出来なくなる可能性は大いにあるのだ。

 

「のぅ元希や」

 

「何?」

 

「お主、ワシと戦った時どんな気分じゃった?」

 

「気分? とりあえずは他の人を守らなきゃって思ってたよ。途中からおかしいなとは思ってたけど」

 

「ほぅ、おかしいとな?」

 

 

 水が面白そうなものを見つけた時の目を、僕に向けてきた。

 

「だって水は僕の場所に気付いてたのに、あんまり攻撃してこなかったでしょ?」

 

「そうじゃったかのぅ?」

 

「それに痛そうに足を気にしていたし、バーチャルとは思えない迫力もあったから」

 

「素晴らしい観察眼じゃ。お主は立派な魔法師になれるじゃろうよ」

 

「まだまだだよ。恵理さんには気配を隠されていたずらされるし、涼子さんには何処に居ても居所を知られちゃうし……」

 

「あの二人はお主と同じじゃからのぅ。年齢と経験の差はやはりあるものじゃ」

 

 

 水と話しながら大型モンスターの存在を確認する。今回の相手の属性は氷か……

 

「ほれ、如何するのじゃ? 敵は既にお主に気付いておるぞ?」

 

「何でわざわざこっちの場所を教えるの!?」

 

 

 水が口から水を吐き出してモンスターに僕たちの居場所を教えた。面白がってるのは良いけど、危なくなるのは僕たちなんだよ?

 

「おー氷じゃ氷じゃ」

 

「もう!」

 

 

 水が楽しそうに敵の攻撃を避けているのを見て、僕は呆れ返った。唯単に水は遊びたかっただけだったのだから……

 

「面倒だから終わらせる。炎よ、その姿を巨人に変え敵を燃やし尽くせ『イフリート・エクスプロージョン』」

 

「まだ禁忌魔法か? お主はまっこと面白い存在じゃのぅ」

 

 

 禁忌魔法『イフリート・エクスブロージョン』。大爆発を起こしその炎で巨人を造り敵を殲滅するSランク相当の魔法。実際は禁忌魔法とされているのでランクはつけられてないけども、Sランク魔法師でも発動は難しいとされている魔法だ。

 

「おっ? 向こうから別の大型モンスターがやってくるぞえ」

 

「面白がってモンスターを呼ばないでよ……」

 

 

 水が大型モンスターを此処に呼び寄せてるのはすぐに分かった。よっぽど僕に魔法を使わせたいんだなぁ……

 

「今度は風の大型モンスターじゃ。ほれ、今度は何を発動させるのかのぅ?」

 

「何で禁忌魔法を打たせたいのさ?」

 

「その方が面白いし、何よりお主の成長が早いからじゃ」

 

「……架空世界で戦っても経験は積めないでしょ」

 

 

 実際に死の恐怖に立ち向かわなければ、魔法師は成長しない。いくらバーチャルで経験を積んだからといって、実戦で役に立つとは限らないのだから。

 

「しょうがないな……氷の狼よ、その姿を顕現し全てを凍らせよ『フェンリル・コキュートス』」

 

「今度は狼か、お主は生物を模るのが好きなのかぇ?」

 

「無機物にしても面白くないでしょ?」

 

「カカ、確かにのぅ」

 

 

 すぐ傍で炎の巨人と氷の狼が巨大モンスターと戦っているのを見て、水は楽しそうに笑っていた。監視役のはずなのに、誰よりも楽しんでるよ……

 

「これなら今すぐにでも討伐隊に呼ばれるのではないか?」

 

「討伐隊に呼ばれるのはAランク以上の魔法師だよ。僕はまだBランク扱いだからね」

 

 

 正式にランク認定試験を受けたわけでは無いのだし、一年生が討伐隊に選ばれるのはありえないって前に炎さんたちが話してたしね。

 

「のう元希」

 

「何?」

 

「もう一体来たぞ」

 

「また呼んだの……」

 

 

 既に禁忌魔法を二回発動させてるので、僕も結構疲れたんだけど……でも水はまだ楽しみ足りなかったようで、もう一体の大型モンスターを引き寄せていた。

 

「今度は雷神とか見たいのぅ」

 

「勘弁してよ……」

 

 

 雷神を模るにはかなりの光エネルギーが必要なんだからさ……

 

「雷よ、その姿を鷲に変え敵を喰らい尽くせ『ライトニング・イーグル』」

 

 

 禁忌魔法を三回発動したため、僕はその場に座り込んだ。怒ってる時ならまだしも、素面で禁忌魔法三発は厳しいって……




可愛い顔してえげつない元希君でした……
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