その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

29 / 245
お気に入り登録者数が100名を突破しました!


緊急事態

 架空世界で大型モンスター三匹を相手にした所為でかなりヘロヘロになってしまった。面白がって水がどんどん呼ぶんだもんなぁ……

 

「やはりお主は強いのぅ、元希や」

 

「もう勘弁してよね」

 

「あと一体くらいは大丈夫じゃろ?」

 

「もう無理だよ……魔力は兎も角として体力が……」

 

「もう少し鍛えた方が良いんじゃないかのぅ?」

 

「分かってるけどさ……」

 

 

 大体大型のモンスターが三匹も同時に出現するなんて現実ではありえないんだけどな……いくら能力を下げてるとはいえ三匹同時はキツイんだけど……

 

「禁忌魔法を三回も連続で発動する魔力はさすがじゃと言えるが、やはり体力は見た目通りなのじゃのぅ」

 

「運動は苦手なんだよぅ……」

 

 

 陸上競技も球技も全て駄目で、田舎では体育の授業は見学だったし……

 

「今度の休みはお主の体力を鍛えるとするかのぅ」

 

「お休みはゆっくりさせてよ……」

 

 

 この前のお買い物もだけど、最近はまともに休めてない気がするんだよね……

 

「お? もう一体来たようじゃのう」

 

「何で? もう終わったんじゃないの?」

 

「いや、まだ涼子が合図を出してないじゃろ。だからまた出現したのじゃろ」

 

「何で大型モンスターばっかり僕のところに来るのさ?」

 

「ワシの魅力に引き寄せられてるのじゃろ。水竜はいろいろなモンスターに狙われやすいからのぅ」

 

 

 じゃあ何でこの架空世界に来たのさ……暇つぶしとはいえ狙われる危険があるなら来なければ良かったんじゃないかな?

 

「ほれほれ、急がないと攻撃されるぞ?」

 

「今度は闇属性なんだ……」

 

 

 確かあれはダークドラゴンとか言ったかな? 昔ヨーロッパ全域から光を奪ったと言われているSランク相当の大型の魔物だって教科書に書いてあったような……バーチャルでも厳しいんじゃないかな?

 

「雷では倒せないのぅ? 如何するのじゃ?」

 

「何で楽しそうなのさ……」

 

「実際楽しいからじゃ」

 

「あうぅ……」

 

 

 水は楽しくて良いかも知れないけどさ、僕は大変なんだよ?

 

「光よ、その姿を騎士に変え敵を退けよ『シャイニング・ナイト』」

 

「なんじゃ、Aランク魔法か」

 

 

 そんなガッカリされても……もう禁忌魔法は打てないし、光魔法の最上級がこれなんだからしょうがないじゃないか……光の禁忌魔法はさっきの『ライトニング・イーグル』だし……

 

『はい! 今日の授業はここまで。お疲れ様でした』

 

「面白かったのぅ。ちと迫力に欠けたが」

 

「あれ以上は無理だからね……」

 

 

 禁忌魔法を三回も見といて迫力に欠けるって……一応Sランク魔法師にしか使えないんだから、あれ以上は無いんだけどな……

 

「いやー苦戦した。水奈も大丈夫か?」

 

「一応は大丈夫ですが、まさかあんなに強いとは思いませんでしたわ」

 

「元希さんは大丈夫なのですか?」

 

「僕? ちょっと疲れたけどそれ以外は大丈夫だよ」

 

「やっぱりボクたちとは次元が違う……何匹の大型モンスターと戦ったの?」

 

「え? 四匹だけど」

 

 

 僕の答えに、四人が驚いたような顔をした。あれ? 僕変な事言ったのかな?

 

「ねぇ水、僕おかしな事言った?」

 

「あぁ言った。普通の魔法師はこんなに早い時期から大型モンスターと戦える魔力を有してないんじゃ。倒せても一匹が限度じゃな」

 

「そうなの? でもみんなだって倒したんでしょ?」

 

「アタシたちは二人で漸く一匹をね。それも授業時間全て使って漸くだよ」

 

「元希様のように禁忌魔法を発動するまでの魔力は、私たちにはまだありませんもの」

 

 

 そうだったんだ……でもみんな中級魔法は使えるんだから、そう考えればBランクは堅いんじゃないの? Bランクくらいなら禁忌魔法が使えるくらいの魔力はあっても良さそうなんだけどな……

 

「元希君の基準が如何なのかは知らないけど、禁忌魔法を使えるのはAランク魔法師でも片手で数えられるくらいしかいないよ。ましてや高校生で使えるのなんて、過去の例を見ても二人しか居ない」

 

「二人居るんでしょ?」

 

「理事長先生と早蕨先生の二人だよ」

 

「あっ……」

 

 

 つまりは全属性魔法師って事か……やっぱり恵理さんも涼子さんも凄い人なんだ。普段の生活を見てると、普通の綺麗なお姉さんって感じしかしないしな……ちょっとセクハラが多いけど……

 

「S-1の子たちは全員居るわよね!?」

 

「姉さん? 如何かしたの?」

 

「さっき日本支部から連絡がきて、大型モンスターが暴れてるからウチのSクラス全員を招集したいって。二年も一年も全員」

 

「如何いう事? 討伐に参加出来るのは三年からのはずよ?」

 

「だから緊急事態なんでしょ。私と涼子ちゃんも呼ばれてるからね」

 

「私たちには頼らないと言ってきたのは向こうなのにですか?」

 

 

 まだいろいろと日本支部との確執があるんだろうな……緊急事態だって言うのに恵理さんも涼子さんも日本支部の救援要請に渋ってるし……

 

「それで、先に討伐に行っていた三年生は無事なんですか?」

 

「怪我してるけど一応はって連絡で言ってたけど、怪我の程度は言って無かったわ」

 

「肝心な事を教えてくれないのは相変わらずなんですね」

 

「しょうがないわよ。あのオヤジがトップなんですから」

 

「先生、アタシたちも討伐に行くのですか?」

 

 

 炎さんが挙手をして質問したけども、他の三人も同じような事を聞きたかったんだろうな。目が同じ感じになってるし。

 

「そうね。本来ならまだ討伐には参加出来ないんだけど、大型モンスターが二匹同時に暴れてると報告があったからね」

 

「二匹? そんなケースありましたっけ?」

 

「無いわ……だから緊急事態なのよ」

 

 

 詳細なデータが無いから分からないけども、二匹がどの程度離れた位置に出現してるのか。どの程度の強さなのかが分からないとな……それにさっきまで架空世界で戦ってたから僕も含め全員が体力と魔力を消耗してるからな……出来れば移動に時間がかかれば良いんだけど、恵理さんの魔法でどんな距離でも一瞬で移動出来るからな……回復は望めないんだろうな……




次回大型モンスターの説明ですかね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。