その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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二人とは違った考え方ですね。


元希君の考え方

 ヤマタノオロチを時空の狭間に飲み込んで今回の討伐は無事終了……とは行かずに、本部で僕に対して放たれた暴言についてあれこれ話し合う事になってしまった。

 

「一体誰が元希君に『化け物』なんて言ったのかしら?」

 

「貴方たちが束になっても倒せなかった水様を手なずけ、そして今回も未知の大型モンスター討伐に大きく貢献してくれた元希君に対して暴言を吐くなんていい度胸してますね。私が元希君の代わりにお仕置きして差し上げますわ」

 

「涼子さん、キャラが変わってるような……」

 

 

 怒らせたら怖いとは思ってたけども、実際に怒ってるところを見ると怖いって表現で収まらないくらいの恐怖を感じるなぁ……

 

「元希はこっちでのんびりしとったらええ。禁忌魔法にその対抗魔法まで放ったからのぅ、疲れたじゃろ」

 

「僕はあくまでも補佐だったからそこまでは疲れてないけど……そっちに行こうかな」

 

 

 恵理さんと涼子さんには悪いけども、何だか僕が怒られてるような感じになるからこの場は退散した方が良いと思ったのだ。それに疲れてない訳では無いしね。

 

「しかし良く結界がもったのぅ。元希の補佐があったとはいえ、『ブラック・ホール』に耐えうる結界を作れるとはさすが魔法大家の娘よのぅ」

 

「アタシたちだけで作ったわけじゃないけど、褒められて悪い気はしないね」

 

「そうですわね。元希様を侮辱した魔法師が居たおかげで何時も以上の力を出せた気がしますし」

 

「怒りの感情は威力を増しますからね。でも元希さんの気持ちを考えると、先生方二人の剣幕も納得出来るわ~」

 

「元希君は化け物じゃない。こんなに可愛い男の子だもん」

 

 

 僕とあんまり身長変わらないのに、何で見影さんまで僕を小さいって言うんだろう……言外だからまだ良いけど、その内言葉にして言われそうな雰囲気だよね……

 

「それにしても元希はやっぱ凄いや」

 

「何、いきなり?」

 

「だって禁忌魔法をあれだけ放てば普通なら気を失うかしてるだろ? それなのに普通におしゃべり出来てるからさ」

 

「元希様の体力は如何なってるのです?」

 

「こんな小さな身体にどれだけの力が詰まってるのかな~? お姉さん気になるわ~」

 

「あうぅ……」

 

「美土、何処触ってるの」

 

 

 美土さんが僕の股付近に手をやって怪しく動かす。抵抗したいけども持ち上げられ羽交い絞めのような格好で捕まっている僕には何も出来ない……

 

「実際元希のは立派じゃぞ」

 

「そうなのですか?」

 

「まぁMAX状態は見たこと無いがの」

 

「元希様の……」

 

「あ~あ、また妄想世界に行っちゃったよ」

 

「暫く放って置けば戻って来ますわよ。それよりもどれくらいのサイズなのですか?」

 

「止めてよ~!!」

 

 

 こんな所で話すような内容では無いし、何より恥ずかしいんだけど……

 

「元希君、ちょっとこっちに来てくれるかな?」

 

「えっ? あっはい!」

 

 

 恵理さんに呼ばれて僕は美土さんの羽交い絞めから抜け出す。一瞬気が緩んだのか何とか無事に抜け出す事が出来た。

 

「それで、何かあったんですか?」

 

 

 恵理さんの許に駆け寄ると、今度は恵理さんに羽交い絞めにされた。今度は美土さんのように手加減無しで本気で羽交い絞めにされてしまった……

 

「なんですかいきなり!?」

 

「こんなに可愛い男の子が『化け物』ですって? 貴方たちの目はホント節穴よ」

 

「私や姉さんの事だけじゃなく元希君までそんな風に見えるなんてね。姉さん、これはお仕置きが必要ですよね?」

 

 

 あれ? 何だか涼子さんの雰囲気が更に怖くなってるような気が……僕は助けを求めようと水の姿を探したが、水は炎さんたちと楽しく談笑中だった……主のピンチだって言うのに暢気だよね……

 

「お仕置きって涼子ちゃん、何をするつもりなの?」

 

「とりあえずは召喚獣に襲わせてから氷漬けにでもしてさしあげようかと思ってるのですが」

 

「後始末が面倒だから襲わせるだけにしてちょうだい。これ以上あのハゲオヤジに文句言われるのはメンドクサイのよ。このままじゃ私もあのハゲオヤジを殺してしまいそうなくらいに」

 

「仕方ないですわね。では早速……」

 

 

 えっと、日本支部の皆さんが震えてるんですけど……これって僕が止めないといけないのかな?

 

「恵理さん、涼子さん、僕は大丈夫ですからお仕置きは止めてください。二人が手を汚す必要はないんですよ」

 

「でも元希君。アイツらは貴方の事を『化け物』って言ったのよ? 助ける義理もない相手を助けてあげたのにそんな事言われて腹は立たないの?」

 

「そりゃショックでしたよ。でも仕方ないとも思いました」

 

「如何して?」

 

 

 恵理さんが僕の高さに目線を合わせ、韜晦を許さないといった感じの視線を僕にぶつけてきた。恵理さんも涼子さんも僕より前にあの人たちに『化け物』って呼ばれてるからだろう。

 

「普通の魔法師からしたら、僕たち三人は恐ろしい存在なんだと思いますし。全ての属性の魔法が使えるってのは、全ての魔法師の脅威になりうる存在だという事です。それに加えて僕たちはSランク魔法を放っても普通に行動出来てますからね。ある意味ではその表現は正しいのかもしれませんので」

 

「なるほど。そう言った考え方もあるのね……」

 

「でもムカついたのは僕も同じです。せっかく助けようとしてるのに、その対象からあんな事を言われたんですから」

 

 

 僕は視線でさっきの発言をした人を刺した。これで反省してくれたら僕も大人しく早蕨荘に帰れるし、恵理さんも涼子さんも納得してくれるだろうしね。




大人なのか子供なのか……

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