その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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管理が甘いです


写真の出所

 今日のお昼は水が学食に行ってみたいと言ったのでクラス全員で学食にやってきている。僕と美土さんはお弁当を持って来てるから学食に来た事無かったけども、炎さんや水奈さん、御影さんは偶に利用している。

 ちなみに学食は魔法科と普通科で分かれてはいないためにかなり混雑しているのだ。

 

「随分と人が多いのぅ。吹き飛ばしても良いのか?」

 

「駄目だよ! ここはみんなで使う場所なんだから」

 

 

 人が多いのが不満なのか、水がつまらなそうに人込みを眺めている。いったいどんな場所を想像してたんだろう……

 

「あれ? 元希じゃねぇか」

 

「あっ、健吾君。健吾君も学食だったんだ」

 

「まぁな。だが此処でお前を見たの初めてなんだが?」

 

「僕は今日初めて来たから」

 

「何時もは如何してたんだ?」

 

「僕お弁当持って来てるから、基本的には教室で食べてたんだよ」

 

 

 偶に外で食べたりもしてたけども、みんなで一緒に食べる事が多いから最近は教室で食べているんだよね。三人は購買でお弁当やパンを買ってきて。

 

「ふーん、そうなのか」

 

「おーい我妻! さっさと来いよ!」

 

「あぁ! 今行く。じゃあな元希」

 

「うん」

 

 

 健吾君が別のお友達に呼ばれたので、そこで会話は終わってしまった。でもこうして同性の知り合いが出来たのは嬉しいな。

 

「あれが我妻健吾……普通科のトップか」

 

「さっき元希さんから聞かされた時は驚きましたわ」

 

「まさか魔法科のトップと普通科のトップが知り合いになるなんて思いませんでしたものね」

 

「でも向こうが元希君に興味を持ってたのはホントっぽいね」

 

 

 四人が健吾君を見てそんな感想を言っているのを見た水が、面白そうに笑い出した。

 

「カッカッカ、あやつは元希の事を知っておったようじゃしの。我が主様は有名人のようじゃの」

 

「そんな事無いと思うけど……」

 

「何言ってるの。元希は有名だよ」

 

「そうですわね。見た目に反して魔法を使ってる姿は想像以上ですしね」

 

「私たちが勝てなかったのも納得してる生徒が多いと秋穂さんが言ってましたし」

 

「それに、新聞に大々的に写真が載ってた。これで元希は完全に有名人」

 

「あうぅ……」

 

 

 いったい誰が何時撮ったのか分からないけども、新聞には僕の顔が載っていたらしい。恵理さんと涼子さんなら分かるけども、何で僕の写真なんて載せたんだろう……

 

「さて、早いところ食べ物を買いに行かないと良いもの無くなるよ」

 

「そうですね。では元希様と美土さんには場所取りをお願いしますね」

 

「行ってくる」

 

 

 炎さんたちがご飯を買いに行くと、水もそれに習って買いに行った。でも水ってお金持ってたっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後に理事長室に来るように言われたので、僕は理事長室に向かっている。途中でコソコソと僕を指差して話してる人が居たけども、前ほど敵意は感じなかったので放って置く事にした。

 

「大変じゃのぅ。有名人に付き合うってのは」

 

「水だって十分有名じゃないか」

 

 

 神として崇められていた水竜の子供が学園に居るのだ。あの場所は魔法科の人間以外にも知られているほどの場所なので、その場所の神様が学園に居るらしいと、水が学園に来るようになった時は結構な見物人が居たのだ。

 

「じゃが今はお主の方が話題の種になっておるじゃろ」

 

「僕だって好きで話題の種になってるわけじゃないんだけどな……」

 

 

 あの討伐が新聞に取り上げられた所為で、僕の学園生活はより大変になってしまったようなのだ……

 

「失礼します、東海林ですけど……」

 

 

 理事長室の扉をノックして名前を告げると、もの凄い勢いで何かに抱き付かれた。

 

「ふぇ!?」

 

「待ってたわよ元希君。さぁ入って」

 

「恵理よ、元希が窒息するぞ」

 

「あら……」

 

「うきゅ~……」

 

 

 水のおかげで解放されたけども、僕は少し酸欠状態に陥っていた。熱烈歓迎は何時もの事だけど、今日のは何時もより強かったような気がする……

 

「元希君、大丈夫?」

 

「は、はい……それで恵理さん、僕を理事長室に呼んだ訳って何ですか?」

 

 

 大抵な事ならば早蕨荘で話せば済むはずなのに、わざわざ理事長室に呼んだって事は重要な事なんだろう。僕はそう思っていたのだけども、恵理さんの雰囲気からはそれほど重要な用事だと言う感じは受けなかった。

 

「例の討伐の事が新聞に載ったのは知ってるわよね?」

 

「はい。そのおかげでまたコソコソと何か言われてる様ですし……」

 

 

 陰口じゃないだけマシなのかもしれないけども、コソコソと指を差されて話題にされるのは結構堪えるんだよね……

 

「その新聞に載った写真だけども、アレ如何やら日本支部の人間が撮った写真らしいのよね」

 

「何で日本支部の人が写真なんて撮るんですか?」

 

「資料用に撮った写真が何者かによって新聞社に売られた形跡があったってさっき連絡が来たのよ。でも問題無いだろうから日本支部からは抗議しないってね」

 

「問題はあると思うんですけど……」

 

 

 内部の人間が写真を売ったとなればかなりの問題だと思うんだけど……でも日本支部の人たちはそれを問題視するつもりは無い様だった。

 

「とりあえず私の方から新聞社に抗議しておいたから。肖像権の侵害に当たるでしょうしね」

 

「でも事件の事を取り上げるなら仕方ないのでは……」

 

「それでもよ! 元希君はまだ世界に知られたく無かったんだから」

 

「はぁ……」

 

 

 何だか面白く無さそうな顔をしてたけども、恵理さんは誰に僕の事を知られたく無かったんだろう……




写真を撮ったのは女性魔法師です。

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