バーチャルだけどいきなり戦えと言われても、僕以外の四人は驚く事無く立っている。事前に聞かされていたのだから当然なんだろうけども、何で僕には教えてくれないんだろうな……
「さて、今回は五人で一体の魔物を退治してもらおうと思ってるの」
「五人で一体ですか? それって簡単なのでは……」
挙手をして氷上さんが理事長に質問をした。確かに五人で一体なら簡単かもしれないな、それに僕が何もしなくても終わるかもしれないし。
「いや、この五人という事なので、魔物はそれなりに強力なのを予定してるわ」
「ちなみに種族は何ですか?」
今度は岩崎さんが挙手をして発言する。だけど岩崎さんは何処か面白そうだと思ってる表情をしてる……なんとも見た目通りな性格なんだろうな……
「ドラゴンとグリフォン、どっちがいい?」
「上級モンスター……新入生が相手出来るレベルでは無い」
「まぁまぁ風神さん、気にしなくとも大丈夫よ。相手の能力には制限掛けるし、それにバーチャルだから」
「ボクはどちらでも構いません。相性にも寄りますが」
光坂さんがやる気を見せると、それにつられるように岩崎さんが理事長に言う。
「なんらな二体同時でも良いですよ。そっちのほうが面白そうだし」
「炎ちゃん……無理して取り返しのつかない事になっても知らないわよ」
「大丈夫だって水奈、架空世界なら怪我もしないしさ」
「そういう問題では無いと思う……でも、二体同時でも構わないとわたしも思う」
うえぇ……風神さんまでそんな事を言うんだ……なら氷上さんが何とか止めてくれるのを期待したいな……僕は言えないし……
「しょうがないですね。私もそれで構いません」
「えぇ!?」
まさか氷上さんもそのノリなの!? 僕はきっと今、もの凄い情けない表情をしてるんだろうな……
「じゃあ二体同時……ってしたいのは山々なんだけど、さすがにそれは許可出来ないわね。新入生をいきなり上級モンスターにぶつけるのだってかなり無茶なんだから」
良かった……理事長が悪乗りしなくて。もしこのまま二体同時だったら、僕は逃げ出したかもしれないし……
「じゃあドラゴンで良いですよ。アタシはグリフォン苦手だし」
「火竜だと炎ちゃん相性最悪なのでは?」
「種族的に相性最悪なグリフォンよりはマシよ」
「大丈夫よ。今回のドラゴンは地竜だから」
種族? 相性? 正直僕はそこら辺はあまり詳しくない。知識としては知ってるけど、実際にその属性がぶつかるとどうなるのかは見たことが無いんだよね……
「それじゃあ準備して、私と涼子ちゃんは離れた場所で見てるから」
「元希君、気をつけてね」
「は、はい……」
いきなり戦えといわれても、正直如何すれば良いのか……
「はい、準備完了。ドラゴンはもう現れてるからね」
「目の前に現れるわけでは無いんだ」
「さすがにバーチャルでもある程度のリアリティーは必要だからね。自分たちで探してちょうだい」
そう言って理事長は早蕨先生と何処かに行ってしまった……
「索敵なら御影に頼むのがいいかな?」
「ボクもそう思うけど、元希君も「影」使えるよね?」
「う、うん一応……」
「じゃあ二人で探そう」
光坂さんに手をつかまれ、僕は慌てて距離を取る。いきなりでビックリしたよ……
「とりあえず探してみるけど、あまり期待しないでね……」
僕はこの世界に僕の影を広げ、目的の地竜を探す。随分と広いんだな……
「見つけた」
「えっ、もう?」
「御影さんより早いなんて……」
僕は光魔法でこの世界の地図を上空に映し出し、地竜の位置をみんなに教える。
「この洞窟の奥に居るよ。能力は理事長が言ってた通りそれほど高く無さそう」
「そんな事まで分かるの?」
「平均がどれくらいかは分からないけどね」
僕は僕が得た情報をみんなに教えて、地竜と戦う時の事を決めておく事にした。
「地という事は、やっぱり氷上さんが前衛で攻撃するのが良いと思う。水は相性がいいはずだから」
「アタシも前衛でやる! 水奈のフォローくらいなら出来るわよ」
「そうですね。わたしと御影さんでバックアップしますので、炎さんは前衛をお願いします」
「元希様は如何します? バーチャルでも戦闘経験が無いのですよね?」
「うん……」
正直僕が何処まで出来るかは分からないけど、バーチャルとはいえ女の子に隠れて戦闘を終えるのは恥ずかしいよね……
「僕も前に出るよ。何処まで通じるかは分からないけど……」
「でも元希君の魔法はあまり前衛向きじゃないよ?」
「大丈夫、考えがあるんだ」
光坂さんの疑問に、僕は笑って答える。恐らく理事長や早蕨先生もそれを期待してるんだろうし、一応学年トップを取ったんだからそれなりに頑張らないとね。
「出てきた」
「さすが御影、光を使ってドラゴンを誘き出したんだね。じゃあ早速!」
岩崎さんが突っ込んでいって魔法を発動させた。
「炎よ、礫となりて敵を焼き尽くせ、『ファイアーボール』」
「牽制としては有効ですね。では私も」
地竜の視線が岩崎さんに向いたのを確認して、氷上さんが魔法を発動させる。
「水よ、その形を変え敵を貫け『ウォーターランス』」
氷上さんが魔法を発動したのと同時、地竜が岩崎さんに攻撃しようとした。
「風よ、我らを包みその身を守れ『ウィンドカーテン』」
「光よ、かの者を照らし視界を奪え『シャイニング』」
風神さんと光坂さんの魔法で、ドラゴンの攻撃は岩崎さんにあたる事なく済む。なら今度は僕の番だね。
「氷炎よ、その反する力を持って敵を滅せよ『フレイム・ブリザード』」
隙だらけの地竜に魔法を叩き込み、完全に地竜の動きが止まった。えっと、これで終わりなのかな……
「元希……今の魔法」
「炎と氷ですよね……」
あれ? 何だかみんなが僕の事を見てるんだけど……何か僕変な事したかな?
「元希さんは影の魔法師なのでは無いのですか?」
「ボクより早く地竜を見つけたから、てっきり影かと思ってた」
えっと……魔法師って属性が決まってるのが普通なんだろうか……
「あの……僕は全種類の魔法を使えるんですけど……それっておかしな事なのかな?」
僕の言葉に、全員が驚いた表情を浮かべる……やっぱり変なのかな?
「それって凄いことだよ! 元希、アンタやるじゃん!」
「世界で確認されている全種類の魔法を操る魔法師は、早蕨姉妹だけです」
「つまり元希さんは三人目の『
「納得。だからボクたちは元希君に索敵で負けたんだ」
何だか良く分からない展開になってきたような……ていうか理事長も早蕨先生も凄い人なら教えてほしかったな……
詠唱や魔法を考えるのは苦手です……時間かかった……