その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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元希君の受難は続く……


新たなる試み

 リーナさんが見学するとなった為なのかは分からないけど、授業内容は座学から実技訓練へと変更された。

 

「今日は一人ずつ戦闘してもらいます。相手モンスターの能力はこの前測った皆の能力値にあった相手を選ぶので心配はしなくても大丈夫です」

 

「誰からやるんですか?」

 

「そうですね……では光坂さんからお願いします。その後風神さん、氷上さん、岩崎さんとやって元希君の順番で戦闘をしてもらいます」

 

「つまり、この間の測定で能力値が低かった順番に戦闘をするんですね」

 

 

 美土さんの言葉に涼子さんが頷いた。正直に言えば、僕以外の四人の能力値にそれほど大きな差は無いのだ。もっと言えば秋穂さんとの差も、それほど大きいと言うほどでは無い。僕だけが異質なのだ。

 

「光坂さんの相手はだれにする、涼子ちゃん?」

 

「あんまり攻撃魔法が多い属性じゃないしね。ここは攻撃力は高いけど知能の低いオーガなんて如何?」

 

「……姉さんとリーナはあくまで見学なんですから、授業内容に口を挟まないでくれませんかね?」

 

 

 涼子さんが静かに怒ってるのに気が付いたのか、恵理さんとリーナさんは大人しくモニターに視線を向けた。

 

「そういえばアタシたちって、元希無しでの戦闘成績ってあんまり良くないんだよね」

 

「そうでしたね……つい元希様に頼ってしまうんですよね」

 

「しょうがないわよね。だって元希さんが頼りになるんですから」

 

 

 言葉とは違い、美土さんは僕を抱き上げて頬ずりをする。頼りになるって言ったそばから子供扱いは止めてくれないかな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 御影さん、美土さん、水奈さん、炎さんと模擬戦闘を終え、いよいよ僕の番になった。今回は個人の能力を見る為という事で水は連れてきていない。

 

『それじゃあ元希君、準備が良ければ始めます』

 

「大丈夫です。始めてください」

 

 

 涼子さんに合図を送り模擬戦闘を開始する。四人の時はそれほど凶暴なモンスターじゃなかったし、僕もそれほど強い相手じゃないだろうと高を括っていた。

 だが目の前に現れたモンスターを見て、僕は愕然としてしまった。

 

「涼子さん!? これってこの間のヤマタノオロチ……」

 

『能力は抑えてありますし、凶暴性も本物の比較にもならないくらい大人しいので元希君一人でも大丈夫だと思います』

 

 

 だからって三体も出現させなくても良いじゃないですか……炎さんたちは一体だったのに、僕だけサービスが過ぎませんか?

 

『頑張ってね、元希ちゃん。貴方の実力の一端でも見せてもらえるとうれしいわね』

 

『ちょっとリーナ。何で割り込んでくるんですか!』

 

『いいじゃないの』

 

 

 なんだか現実世界で揉めてるような……まぁいいか。今はそんな事を気にしてられる状況じゃないんだし。

 

「いくら能力を抑えてあったとしても……三体同時は大変ですよ」

 

 

 僕はそうつぶやいて魔法を発動させた。

 

「雷よ、その姿を鷲に変え敵を喰らい尽くせ『ライトニング・イーグル』」

 

 

 召喚魔法を使いとりあえずの時間稼ぎをする。三体同時だからこれだけでは倒せないんだろうな……

 

「しょうがない、もう一体召喚しよう……氷の狼よ、その姿を顕現し全てを凍らせよ『フェンリル・コキュートス』」

 

 

 禁忌魔法を連続で使うとものすごく疲れるんだけど、かと言って攻撃魔法をそれ以上連続で使うのも疲れるから仕方ないんだけどね……

 

『凄いわねー元希ちゃん。禁忌魔法、しかも召喚系の魔法なんてそうそう使えないわよ』

 

『だから何で割り込むんです!』

 

『元希君。まだ大丈夫?』

 

『姉さんまで!』

 

 

 現実世界……と言うかモニターの前がよりカオスな状況になってるような気が……

 

『もし大丈夫なら……その世界に水を召喚してみて』

 

「えっ、水をですか?」

 

『そうよ。元希君の使い魔である水を召喚出来るかのテスト。もし出来るなら別行動が出来るでしょ?』

 

 

 確かに……何時までもべったり行動では実戦では困るかもだし……

 

「やってみます」

 

 

 えっと確か使い魔を召喚するには……

 

「我が契約の下にその姿を現せ。汝我が求めに答え敵を薙ぎ払え!」

 

 

 水の姿を頭の中に描き、それを目の前に出すイメージ……だっけ? 僕はとりあえず教科書と図書室で見た使い魔の召喚術式を詠唱してみた。

 

「やれやれ、人遣いが荒いのぅ、我が主は……いや、使い魔遣いと言った方が正しいかの」

 

「出来た……」

 

 

 正直出来るとは思ってなかった。現実世界同士なら使い魔の呼び出しは難しい魔法では無いらしいが、現実世界と架空世界での呼び出しとなるとその難度は一気に跳ね上がるらしい。

 

『簡単に出来ちゃうなんて、やっぱり元希ちゃんはアメリカに欲しいわね』

 

『駄目に決まってるでしょ。そもそも元希君は魔法協会には入らないからね』

 

『そうですよ! 元希君は私のお婿さんとしてこの学園を経営していくんですから!』

 

『違うわよ。私のお嫁さんとしてよ!』

 

「あの~……もう敵三体とも倒したんで戻してもらえませんかね?」

 

 

 雷鷲、氷狼、そして水を召喚してヤマタノオロチ三体は既に倒した。後は現実世界に復帰して模擬戦闘は終了になるんだけど……何やらまた揉め出してしまって僕を現実世界に戻す事を忘れてるようなのだ……

 

『元希、すぐ戻すからそこ動くなよ』

 

「分かった」

 

 

 結局炎さんが現実復帰の為の陣を出現させてくれた。戻ってきてまず目に入ったのは、恵理さん、涼子さん、リーナさんが派手に揉めている場面だった……

 

「相変わらずモテモテじゃの、我が主よ」

 

「面白がってないで止めるの手伝ってよ……」

 

 

 結局水は見ているだけで、僕が三人を止められたのは十分後だったのだ……




詠唱考えるのは面倒ですよ、ホント……
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