その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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何処の学校も混むんでしょうね……


混雑する学食

 午前の授業が終わり、僕は今日も学食に来ていた。今朝は色々と忙しくてお弁当を作る時間が無かったのだ。

 

「それにしても元希よ、お主少し気絶する回数が多くないか?」

 

「仕方ないよ。僕は魔法が使えるだけの普通の人間なんだから……鍛えてる訳でもなければ、女性に免疫がある訳でも無いんだから」

 

 

 おまけに僕の周りの女性・女子は僕よりも身長が大きく、また力も僕よりある人が多いのだ。だからそんな人たちに引っ張られたり抱きつかれたりしたら、圧力や痛みで意識を手放したくなるのは仕方ない事だと僕は思っている。

 

「じゃがこう頻繁に気絶されると、ワシもその都度看病しなければならないからのぅ」

 

「保健室に運んでくれれば、後は何とでも出来るから……」

 

 

 どうせ目が覚めたら保健室から教室に戻るだけだし、水に付き添ってもらわなくてもそれくらいは出来るのだ。

 

「じゃが付き添わないと暇なんじゃよ。ワシはお主の使い魔故、それほど遠くまで離れる事が出来んからの。もちろん元希の許可があれば離れられるがの」

 

「じゃあ敷地内なら自由にしていいから。外ではまた別に考えるよ」

 

 

 水を連れての外出はそれほど無いけども、これから先討伐なので水を別働隊として動かす事もあるかもしれない。その時にはまた別の許可を出す事にしよう。

 

「まぁ自由行動があったとしても、ワシは元希の傍におるがの」

 

「ありがとう……」

 

 

 水に言われたことが恥ずかしくて、僕は視線を水から逸らした。すると逸らした先にこの学校で唯一の同性の友達が居た。

 

「よう元希。今日も学食なのか?」

 

「うん、まぁ色々あってお弁当作る余裕が無かったんだよ」

 

「そっか……てか聞いたぞ。また気絶したんだってな」

 

 

 如何やら僕の事は普通科でも知られてるらしい……まぁ保健室は魔法科、普通科共用だし、知られていてもおかしくは無いんだけどね。

 

「世間では『化け物』だの『規格外』だの言われてる元希が、実は学校で気絶しまくってるなんて面白いよな」

 

「笑い事じゃないよぅ……」

 

「悪い悪い。それにしても何でそんなに気絶するんだ?」

 

「抱きつかれたり、引っ張られたりすると……僕身体が小さいから」

 

 

 俯きながら言うと、健吾君は「あぁ……」と小さくつぶやいた。如何やら気絶の理由に納得がいったみたいだ。

 

「魔法で肉体強化とか出来ないのか?」

 

「そういった魔法は無いんだよ」

 

「そうなのか……おっといけねぇ、クラスメイト待たせてるんだった」

 

 

 それじゃ! と言い残して健吾君は行ってしまった。

 

「あやつ、買ったもの忘れて行ってるぞ」

 

「ホントだ……」

 

 

 僕の目の前には、健吾君のお昼だと思われるパンとおにぎりが置かれている。これは届けた方が良いのだろうか?

 

「そうだ、念を送れば……」

 

 

 僕は健吾君の気配を探り、その場に念を送った。

 

『おっ? これは元希の魔法か?』

 

「うん。健吾君、忘れ物してる」

 

『忘れ物? ……あぁ!?』

 

 

 如何やら気付いてなかったようで、大きな声を上げて健吾君が驚いた。

 

『飯買いに行っておいて忘れるとか……』

 

「持っていこうか?」

 

『いや、戻るから気にするな』

 

 

 そういって健吾君は学食に駆け戻って来た。しかしあの人込みをスイスイ進めるなんて羨ましいな……

 

「悪いな元希。それとありがと」

 

「ううん、僕ももっと早く気が付いてたら手間かけさせなかったのにね」

 

「いいって。それよりありがとな。教室まで戻ってからだとまた面倒だからな」

 

 

 今度こそ健吾君はお友達との待ち合わせ場所に向かっていった。

 

「それじゃあ僕たちも買いに行こうか」

 

「ワシはここで場所取りをしとるから、元希が買ってきてくれ」

 

「……面倒なんでしょ」

 

 

 水は食券を買って並ぶのが面倒だといってこの間も割り込もうとしたのを怒られたのだ。だからなのかは分からないけども、水はどっかりと腰を下ろして僕に買ってくるように指示をしたのだ。

 

「しょうがないな……」

 

 

 僕は水の指示に従うようにして食券を買いに行った。ここの学食のメニューは豊富で、何を食べようか考えてる間に時間が過ぎるなんて事もあるようだ。

 

「定食でいいよね」

 

 

 普通におにぎりやパンでも良いんだけども、せっかく学食で食べるのだから定食にしたい。だから僕は定食の食券を二枚かって窓口まで持っていく事にした。

 僕を見ている視線がいくつかあるけども、敵意も無いし特に害も無いので放っておく事にしたのだが、横から伸びてきた手……というか腕に捕まってしまった。

 

「な、なに?」

 

「こんにちは、元希君」

 

「あっ、秋穂さん。こんにちは」

 

 

 先に並んでいた秋穂さんに抱きかかえられてしまった。身長差があるため、秋穂さんに抱き上げられると僕は地に足がつかないのだ。

 

「これからご飯?」

 

「はい。水の分も合わせて二つですけど」

 

「そっか。それじゃあ一緒に交換しに行こう」

 

「でも後ろに人が……あれ?」

 

 

 さっきまで居たと思っていた人が、今は誰も居ない。僕の見間違いだったのだろうか?

 疑問に思いながらも秋穂さんの後ろに並ぶと、一斉に人が戻って来た。

 

「秋穂さん、もしかして?」

 

「さて、何のことかしら?」

 

 

 人払いの魔法を発動したんだろうけども、秋穂さんも随分と魔法を無駄に使う人だなぁ……僕もさっき念を使ったから口には出さないけど。

 

「今日は炎たちと一緒じゃないの?」

 

「炎さんたちは教室でお弁当を食べてる」

 

「そうなんだ」

 

 

 秋穂さんと他愛の無い話をしていると、あっという間に窓口まで来ることが出来た。こうして僕は思ってたより時間を掛けずに昼食を手に入れる事が出来たのだった。




実際に友達がやらかしたんですよね……
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