その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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転移魔法って便利


元希君、ロシアへ

 転入生のバエル・アレクサンドロフさんの調査の為に、僕と涼子さんはロシアのスヴェルドロフスク州に来ている。もちろん正式な手続きをして入国なんてしたら速攻でバレるとの事なので、僕と涼子さんは転移魔法でロシアにやってきた。所謂密入国というヤツなんだろうけども理恵さん曰く――

 

「バレなきゃ問題ないって!」

 

 

――との事。

 おそらく問題はありまくりだと思うんだけどな……

 

「ところで、僕が一緒に来る意味ってあるんですか?」

 

 

 涼子さん一人なら密入国にはならないはずなのに、何故に僕までロシアに連れてこられたんだろう……

 

「一人じゃ寂しいじゃないですか」

 

「……恵理さんやリーナさんと一緒じゃ駄目だったんですかね?」

 

「姉さんは兎も角、リーナだと大問題になっちゃうからね」

 

「大問題?」

 

 

 密入国してる時点で大問題だと思うんですけど……それ以上があるとでも言うのですか?

 

「リーナはアメリカ支部の理事だしね。密入国なんてバレたら国際問題に発展しちゃいますので」

 

「……それは僕も同じなのでは?」

 

 

 一応まだBランク以上の判定しか下されてない僕には、しっかりと国籍が存在している。Sランク判定で何処の国にも滞在出来る恵理さんと涼子さんの二人がベストだと思うのだけども、何故かロシアには僕が派遣されたのだ。

 

「元希君は色々と特例が利くのよね。この先色々な国に行くかもしれないから、それを覚えておいてね」

 

「……怖いのでこれ以上は聞きませんけど」

 

 

 何か踏み入れたらいけないような世界な気がしてきたので、僕はそれ以上聞くのを止めた。こんな事なら水を連れてくれば良かったよ……水なら怖いもの無しで聞いてくれただろうしね。

 

「それでその転入生、バエル・アレクサンドロフさんですか? 何が問題なんです?」

 

「確かに資料を見る限りでは問題は無いわよね。むしろ優秀な人材だと言えます」

 

 

 涼子さんの言葉に、僕は頷いて同意する。Aクラス相当の実力を持っている転入生なら、学園としても喜んで迎え入れて良いと思うんだけども、涼子さんは更に説明を続けた。

 

「これだけの能力がある子が、何故最初から入学しなかったのでしょう? 元希君の事が発覚したからとしても、これほど優秀な魔法師を自国ではなく他国で育てようと思うでしょうか」

 

「でも恵理さんや涼子さんのように、Sランクの魔法師は他国には存在しませんし、その二人の教育を受けれる日本に派遣するなら……いや、その理由だと最初から日本に派遣しないと筋が通らないな……」

 

 

 自分の意見を途中で撤回して考え直す。他に何か理由があるとすれば……

 

「元希君と深い仲にさせて遺伝子を持ち帰る目的の可能性があると私たちは思ったの」

 

「深い仲……イヤイヤイヤ」

 

 

 僕みたいな男を、バエルさんみたいな大人びた女性が相手してくれるとは思えないし、何より僕はそんな事に発展するはずも無いと確信をもって言い切れるだけの自信がある。思ってて情け無い限りだが、僕みたいな子供とバエルさんみたいな女性は釣り合わない。それが写真を見た僕の感想だ。

 

「分からないですよ? 元希君は可愛いですし、彼女がショタ好きかも知れないですし」

 

「ショタって……僕と彼女は同い年ですよね?」

 

 

 確かに見た目は幼いけど、僕だってれっきとした高校生なのだ。ショタ呼ばわりは止めてもらいたい……強く否定出来ないのが悲しいところではあるけども。

 

「とにかくバエルさんを見つけるのが先決ですけども、本当にスヴェルドロフスク州に居るんですよね?」

 

「それは間違いありませんよ。ちゃんと探索して気配がここにありましたし」

 

「……良く気配が分かりましたね。会った事無い人ですよね?」

 

「慣れれば写真から相手の気配を感じ取り、実際に何処にいるかを探し出す事が出来ます。もちろん行った事が無い場所の索敵は出来ませんけどもね」

 

「それじゃあ涼子さんはスヴェルドロフスク州に来た事があるんですね」

 

「まぁ何度か……教師になる前に討伐で来た事があります」

 

 

 なんだか話したくなさそうな話題なので、これ以上掘り下げるのは止めておこう。

 

「それで涼子さん、この近くに居るんですよね? 早く見つけて帰りましょう」

 

 

 準備もまともにせずに来たので、制服のままだ。つまりかなり寒いんだよね……上着くらいは欲しかったかもしれない……

 

「体温を上手くコントロールすれば寒くないですよ?」

 

「コツが掴めないうちは難しいですよ……」

 

 

 色々と禁忌魔法を放つ僕だけども、魔法について本格的に勉強し始めたのは高校入学からなので、微調整が必要な魔法は結構苦手なのだ。

 

「えっと……確かこの辺りに……居ました。彼女ですね」

 

 

 涼子さんが気配を探り、肉眼でも見つけたらしく声を潜めて僕に教えてくれた。

 

「また、僕より大きいですね……」

 

 

 遠目で見た限りだけども、バエルさんの身長は160cmくらいだ。何で僕より大きい女性が多いんだろうな……

 

「もう少し近づけば能力も正確に測れるんですが……」

 

「大まかで良いんじゃないですか? どうせ副校長が独断で転入を許可するんでしょうし」

 

「……元希君、ロシアに来てからなんだか不機嫌じゃない?」

 

「そんな事無いですよ。ただ身長が羨ましいなと……」

 

 

 毎日牛乳を飲んだりしたけども効果無し。鉄棒にぶら下がってみたけど効果無し。僕は努力したのに背が伸びないのに、彼女はおそらく何の苦労も無くあの身長なんだろうと思うと少し泣きたい気分にはなったのは確かなのだ。

 僕は遠目で見たバエルさんの印象を、大きな女性としか捉えることが出来なくなってしまった……もう少し真面目に調べなきゃ駄目だよね。




イメージとしては時間のかかるド○えもんのどこでも○アだと思ってください
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