その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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そろそろキツイな……


説明はお風呂場で

 地竜との戦闘を終えて、僕たちは理事長と早蕨先生の許に戻ってきた。正直さっき聞いた二人が世界的に有名な魔法師だって事を、僕はまだ僕の中で処理出来て無いんだけど……

 

「お疲れさま~。やっぱり元希君は凄かったね」

 

「うわぁ!?」

 

 

 理事長に急に抱きつかれ、僕はバランスを崩す。僕よりも大きい理事長が抱きついてきたら、僕は踏ん張る事が精一杯で振りほどく事など出来ないんだ。

 

「ん~可愛くて強いなんて反則だよ~」

 

「姉さん」

 

「ん~? 涼子ちゃんも抱きしめたいの?」

 

「違います! そうじゃなくて、元希君に説明をした方が良いんじゃないですか?」

 

「それはお家で出来るわよ。今は五人の判定結果の方が優先よ」

 

 

 判定結果? もしかしてこの戦いって僕たちの能力を見るだけじゃなくって、今現在の能力も見てたのだろうか?

 

「全員文句無しのBランク以上、すぐにでも実戦部隊に入れる実力はあります」

 

「今回の最大ランクの設定がBだから、もしかしたらそれ以上かもしれないけど、それ以上になると学園生活なんて送れないからね。A判定は三年生になってからしか出せないし」

 

「それで理事長、元希が全属性魔法師だって何で教えてくれなかったんですか?」

 

「だって確証は無かったんだもの。でも今の戦いではっきりしたわね。元希君は世界で三人目の全属性魔法師よ」

 

「あの~……その全属性魔法師って何なんですか? 僕は普通に全魔法師が全属性魔法を使えると思ってたんですが」

 

 

 教科書や試験でもそんなものを見たことが無いから、てっきり当たり前すぎて載ってないのかと思ってたんだけどな……

 

「それもお家で教えてあげる。今話すと長すぎて他の四人が疲れちゃうからね」

 

「それでは今日集まってもらった要件は終了しましたので、後日入学式でまたお会いしましょう」

 

「そっか。じゃあね、元希!」

 

「元希様、ごきげんよう」

 

「またね、元希さん」

 

「お疲れ様、元希君」

 

 

 岩崎さん、氷上さん、風神さん、光坂さんが順に体育館から出て行く。そうか、僕たちは学内にある早蕨寮だけど、皆は違うんだよね……すっかり忘れてた。

 

「それじゃあ元希君、私たちもお家に帰りましょ?」

 

「姉さん、さっきから元希君にベッタリ過ぎません?」

 

「涼子ちゃんもくっつきたいんでしょ? 我慢しないで良いのよ? もう四人は帰っちゃったし」

 

 

 理事長が悪い笑顔を浮かべてるなと思ってたら、反対側にも温もりを感じた。早蕨先生も理事長同様に僕に抱きついて来たのだ……

 

「く、苦しい……潰れるよぅ……」

 

「もう、可愛いわね~」

 

 

 早蕨先生に負けじと理事長が僕を更に強く抱きしめる……あれ? 何だか意識が……

 

「あれ? 元希君? おーい……」

 

「気を失っちゃったのね」

 

「涼子ちゃんが強く抱きしめるからよ」

 

「私の所為じゃないわよ!」

 

 

 うん、早蕨先生の所為じゃないね、二人の所為だよ……そして僕は意識を手放したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に目が覚めたのは、見知らぬ天井の下だった。何処だろう此処……何か似たような場所を知ってるような気がする……

 

「早蕨荘?」

 

「あっ、気がついた?」

 

「理事長? あの、此処は?」

 

「私の部屋よ。元希君気絶しちゃったから、私の部屋に運んだのよ」

 

 

 何で僕の部屋に運ばなかったんだろう……看病とかそんな理由かな?

 

「さて、元希君も意識を取り戻したことだし、お風呂に行きましょ!」

 

「お風呂!? 一人で入れますよぅ……」

 

「だ~め! 涼子ちゃんも一緒に入って元希君に色々と説明するって約束しちゃったんだからね」

 

 

 何故そこに僕の意思が反映されないんだろう……僕が聞きたい事なのに、僕の都合は一切無視なんだろう……

 

「それじゃあ元希君、お風呂に行くわよ」

 

「あうぅ……」

 

「昨日寮内で魔法を使ったのは見逃してあげるから」

 

「っ!?」

 

 

 昨日のってお風呂の場所を探したアレだよね……もしかして寮内では魔法を使ったら駄目だったんだろか……

 

「涼子ちゃーん! お風呂入るわよ~」

 

「姉さん! って元希君? 顔色悪いけど、どうかしたの?」

 

「えっと早蕨先生、寮内で魔法って使っちゃ駄目だったんですか?」

 

「いえ、そんな事無いけど……どうして?」

 

「理事長!」

 

「誰も悪いなんて言って無いわよ?」

 

 

 まんまと騙されて、僕はそのまま理事長につれられてお風呂場に移動する。早蕨先生も同情はしてくれてるみたいだけど、解放はしてくれないようだった……

 

「さて、それじゃあ何から聞きたい?」

 

「どうして二人は僕とお風呂に入りたいんですか?」

 

「魔法の事だけ質問を認めます」

 

「あうぅ……じゃあ全属性魔法師って珍しいんですか? てっきり僕は全員全ての魔法を使えると思ってました」

 

「さっき美土ちゃんが言ったように、私たち姉妹と元希君の三人しか、現段階で全属性魔法師は確認されて無いの」

 

「私たちは教員として日本に留まってるけど、本来なら何処にも永住する事なんて不可能なはずなの」

 

 

 永住出来ない? 何でそんな事になるんだろう……もしかして僕も出来なくなっちゃうんだろうか?

 

「私たちはイレギュラーな存在として、国際魔法協会に検査させろと何度も通達が来てるのよね。もちろん断ってるけど」

 

「そしてイレギュラーであるが故に魔物退治を率先してさせようとしてるのよ。国籍に関係無く退治に参加出来るように、フリー国籍にさせられてね」

 

「だからどの国にも滞在は出来るけども、永住は出来ないのよ」

 

「仕事って名目でこの学園のこの寮に住んでるけども、本来なら教師にだってなれないはずだったのよ」

 

「あっ……もしかして『本宅が遠い』って」

 

 

 昨日理事長が言っていた事を思い出して、僕はちょっと目線を下に動かした。

 

「そうよ。本宅と言うものがあるとすれば、それは戦場の中」

 

「私と姉さんは腰を落ち着かせる事を認められていない存在ですからね」

 

「それじゃあ僕も……」

 

 

 二人と同じ全属性魔法師である僕も、もしかしたら戦場の中でしか生きられないようになってしまうのかもしれない……

 

「国際ランクでS判定をされるとそうなるわね。でも元希君はまだB以上のランク判定が出来ないから安心していいわよ。それに、お姉さんと結婚すればそんな心配も無くなるし」

 

「け・け・け……結婚!?」

 

「姉さん!」

 

「だって私と結婚すれば、元希君をこの学園の理事長にする事だって出来るのよ? そうすれば世界中を飛び回る戦闘魔法師になんかならなくていいんだから」

 

「だったら私とだっていいじゃない! 姉さんの義弟なら理事長に推挙出来るでしょ!」

 

「あ、あの……」

 

 

 何だか良く分からない展開になってしまい、僕は戸惑いながらも自分がイレギュラーなんだと改めて自分に言い聞かせた。




どこかでキャラ説明します
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