恵理さん、涼子さん、リーナさん、水の賛成多数で僕は一緒にお風呂に入る事になってしまった……ちなみに僕とバエルさんは反対したかったんだけども、ここを追い出されたら住む場所が無い為投票は棄権したのだった。
「それにしてもバエルさん、スタイル好いわね~。どんな生活をしたらこうなるのかしら?」
「えっと……それほどじゃないとは思いますけども」
「そんな事無いわよ~。ね、元希君?」
何故ここで僕に話を振るんですか、恵理さんは!
「まぁまぁ恵理よ、我が主は純情だから苛めてあげるでないぞ」
「仕方ないわね……まぁ質問はするから、元希君は想像で楽しんでね」
この状況で何を、如何、楽しめというんですか、貴女は!
「じゃあまずは……身長は?」
「172cmです」
なんてうらやましい身長をしてるんだろう、バエルさんは……健吾君とそう変わらないんじゃないのかな?
「バスト、ウエスト、ヒップは?」
「ちょっ!? 僕外に……」
逃げ出そうとしたけども、リーナさんと涼子さんに肩を押さえられて立ち上がる事が出来ない。それに水が僕の足にお風呂のお湯を纏わり付かせてるので身動きも出来ない……何でこんな時だけ抜群のコンビネーションを発揮するのだろう……
「えっと……答えなければ駄目なんでしょうか?」
「そうね……ここで生活したいなら、大家さんの言う事は聞いておくべきだと思うのだけど」
強権発動ですか……耳を塞ぎたくても肩を抑えつけられて腕が動かせないし、逃げ出したくても足を絡められてるから立ち上がれないし……みんなは僕にどんな反応を求めてるんだろうか……
「……上から、97、58、83です」
答えるんですか、バエルさん……よく見ればバエルさんの顔も真っ赤になっている……良かった、バエルさんは羞恥心が正常で。
「まさか美土ちゃんといい勝負とは……恐るべし、ロシア産!」
「そういえばリーナは?」
「ん? 90、59、85だけど?」
「ムムム……この中で私が一番貧乳だと!?」
「水様はどれくらいなんですか?」
「ワシか? 100、59、83じゃな」
「で、デカイ……」
「姉さん、気にしすぎですよ」
てか、皆さん僕の事を気にしてくださいよ……一応僕は異性のはずなんだけどな……なぜ恥ずかしげもなく堂々と発表するのだろう?
「さて、それじゃあ誰が元希君の頭を洗う?」
「うぇ!? なんですか、その展開……」
まったくの無警戒だったところに、恵理さんの提案。僕は驚きでそんな声を上げた。
「今日はバエルちゃんに頼んだら如何? 入居初日だし、元希ちゃんは共有財産だって事なんだからさ」
「ちょっと待ってください! 共有財産って如何いう事ですか!?」
僕はそんな事一度も聞いた事無いですし、そもそも何で僕が皆さんの共有財産になってるんですか!
「だって元希君を賭けて勝負……なんて展開は嫌でしょ?」
「当たり前です!」
僕が景品になるのもそうだけど、僕を賭けてみんなが戦う方がもっと嫌だ。
「だから、炎ちゃんたちも含めて休戦条約を結んだのよ」
「何時の間に……てか、争ってたんですか」
確かに何時もみんなスキンシップが激しかったりするけども、あれも一種の争いだったのだろうか……
「でも、岩清水さんだけは納得してなかったんですけどね」
「秋穂さんが?」
「まぁ、大勢の相手をするよりは共有した方が安全だと悟って受け入れてくれたんだけどね」
「……そもそも僕は誰のものでも無いんですが」
この僕の言葉は、当然のように黙殺され無かったものとされた。何で僕の事なのに僕の意見が黙殺されるんだろう……
まぁ何時もの様に意識を失った僕は、誰かの寝息を感じて目を覚ました。
「えっと……?」
とりあえず外を見て僕がどれくらい意識を失っていたかを確認……明らかに真夜中だった。歓迎会は僕不参加で行われたのだろうか……
「あれ? 首から下が動かせない……」
誰かに抱きしめられているようで、僕が自由に動かせるのは首から上――つまりは顔だけだった。
「誰だろう……恵理さんかな?」
僕の部屋なのは確か、だとすれば一番可能性が高いのは恵理さんだ。なぜならあの人は僕の部屋に侵入する頻度が最も高く、僕を抱きしめる率もトップだからだ。
「……ふぇ!?」
何とかして離してもらおうと顔を動かしてみたけども、どうにもならなかった。その際に僕に抱きついている人の顔を見て、僕は情けない声を上げてしまった。
なんと、僕に抱きついていたのは恵理さんではなくバエルさんだったのだ。
「何で? 如何してバエルさんが僕の部屋に……」
「う~ん……」
「バエルさん、起きてください」
何とかこの状況を打破しようとバエルさんに話しかける。過程はともかくとして、この状況は色々と拙い気がしたのだ。
恵理さんや涼子さん、リーナさんが僕に抱きついてるのとはまたわけが違うだろうし、水みたいにじゃれてる訳でもないだろうしな……
「あっ、良かった。目が覚めたんですね」
「? えっと……」
「私が元希さんの頭を洗っていたら、いきなり気を失われたんですよ」
「あぁ……ご心配お掛けしました」
早蕨荘の人にとっては最早日常ともいえる光景だが、バエルさんには驚きの光景だっただろうな……目の前で人が意識を失うのだから驚いて当然だ。
「僕、女性に免疫がなくって……すぐ気絶しちゃうんですよ……」
「そうだったんですか……」
バエルさんに心配かけてしまって申し訳ない気持ちで、僕は素直に頭を下げたのだが……
「? なんか柔らかい……!?」
「あ、あれ? 元希さん? 元希さん!?」
バエルさんのおっぱいに顔をぶつけて、再び意識を手放したのだった……
バエルさんはちゃんと元希君を異性として見ています。