その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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彼女は女性なんですけどね……


炎の男気(?)

 ショッピングモールに到着してすぐ、炎さんたちが辺りを見渡した。

 

「何かあるんですか?」

 

「いや……日本支部の魔法師たちが多いな、と思ってさ……」

 

「炎さんも気づいてましたの。あの人たちは『ヤマタノオロチ』討伐の時にいた人たちですわよね」

 

「向こうはまだわたしたちに気づいてないようですけど」

 

「何かを警戒してるんだと思う」

 

 

 ヤマタノオロチ討伐に参加してない秋穂さんとバエルさん、そもそも日本支部の魔法師とそれほど交流の無い僕は気づかなかったけども、あの現場で日本支部の魔法師たちと協力して結界を張っていた四人はすぐにあの人たちが日本支部の魔法師だって気づいたようだった。

 

「じゃあさっき水奈さんが言ってた事が実際に……」

 

「如何でしょう? 私の考え過ぎだと良いのですが……」

 

「一応影は放っとくよ。何かあったらすぐに分かるように」

 

「じゃあボクも放つ。一人より二人の方が情報を集めやすい」

 

 

 僕と御影さんの二人でここら周辺に影を放つ。普通の人には見えないし、魔法師だとしてもバレないように飛ばすので後で日本支部から抗議の電話が来る事も無いだろう。

 

「それじゃ、二人が警戒してるんだし買い物を楽しもう!」

 

「炎さん……その切り替えの早さは称賛に値しますわね」

 

「炎は昔からじゃない」

 

「そうだね」

 

「まぁ、切り替えが早いのはみんな同じだったけどね」

 

 

 五人が同時に頷いたのを見て、僕とバエルさんは顔を見合わせて同時に噴出した。

 

「おっ? 元希とバエルも息が合ってきたな」

 

「寮生ですし、同じ時間を過ごす事が多いでしょうしね」

 

「正直羨ましいですけどね」

 

「でも、ボクたちは同じクラスで授業も一緒」

 

「そう考えると私だけ元希さんとの時間が短いですね……」

 

「うわぁ!?」

 

 

 いじけたと思った秋穂さんがいきなり僕を抱き上げてきた。

 

「今日一日は私が元希さんとくっつきます」

 

「「「「ズルイ!」」」」

 

「あっ、はは……」

 

「降ろしてー!」

 

 

 秋穂さんに嫉妬の視線を向ける四人、乾いた笑いをこぼすしかなかったバエルさん、そして僕は抱きあげられたまま抵抗を試みるも無駄に終わる……事情を知らない人がこの光景を見たらなんて思うんだろう……間違っても僕が六人を引き連れてるようには見えないだろうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 秋穂さんに抱きつかれ、時に抱き上げられながら買い物をしていると、その途中で水奈さんと美土さんの脚が止まった。

 

「なに? 如何かしたの?」

 

「アイス屋さん?」

 

「確かに最近暑いけど……」

 

 

 僕の田舎にはこんなお店無かったけど、噂でなら聞いた事があった。少し高いけどもとても美味しいアイスを売ってるお店があるって。

 

「食べてく?」

 

「でも、僕お金無いよ?」

 

「私も……」

 

 

 寮生である僕とバエルさんは持ち合わせがそもそも少ない。それにさっきまで買い物をしていたのだが、既に残って無くても不思議ではないのだ。

 

「これくらいなら奢ってあげるわよ。ほら、元希もバエルも遠慮するなよ」

 

 

 こういった時に炎さんの正確は頼りになると思う。もともと奢ってもらうつもりなど無かったのだけども、炎さんの言い方だと断ると悪いなって思わせてくれるのだ。

 

「水奈も美土も行くわよ。何時までも突っ立てると邪魔だし」

 

「そ、そうですわね。邪魔ですものね」

 

「他の人の邪魔をするくらいなら、お店に入った方が良いですものね」

 

「……誰に言い訳してるの?」

 

 

 御影さんのツッコミに、水奈さんと美土さんが乾いた笑いをこぼした。おそらくは自分に向けての言い訳だったんだろうな……

 

「早くしなよー」

 

「炎は早いよ……」

 

 

 既に注文を済ませて席に座っている炎さんを見て、御影さんはまたしてもぼそっと呟いた。もちろん炎さんには聞こえなかったのだが。

 

「炎さん、ありがとうございます」

 

「奢ってもらえるなんて思ってませんでした」

 

「いいって。アタシたちは色々と政府から便宜を図ってもらえてるし。家に金があるのも隠す事じゃないしね」

 

「ですが炎さんはお金を豪快に使いますわよね」

 

「そうですね。昔から炎は豪快でしたね」

 

「中学の時、体育祭の練習の後にクラス全員にお茶を奢って先生に怒られてた」

 

「あれはあの教師が悪いんだろー!」

 

 

 中学時代の話をされて、炎さんは少し恥ずかしそうに顔を逸らした。それでもアイスを食べる手は止まらないのだが。

 

「……ん?」

 

「元希君も気づいた?」

 

「じゃあ勘違いじゃないんだ」

 

 

 飛ばしている影が何かを感じ取ったのに気づいた。最初か気のせいかとも思ったけども、御影さんも同様に異変に気付いているので間違いは無いだろう。

 

「如何やらノンビリしてられる時間は終わったようだね」

 

「でも、ボクたちが何かしなくても日本支部の魔法師たちがいる。ボクたちは避難経路の確保をした方が……」

 

「それも日本支部の魔法師がするよ、きっと。僕たちは大人しく逃げるか、日本支部の手伝いをするかのどっちかだと思う」

 

 

 正直にいえば、日本支部の魔法師たちと連携するのは難しいと思う。向こうが僕たちの事を侮ってるのもあるのだけども、僕たちも日本支部の魔法師と仲良くしようって気が無いのだ。

 

「とりあえず現場に行こう。話しはそれからでも遅くない」

 

「そうだね」

 

「ちょっと! 何の話だよ!」

 

 

 影からの情報が無い炎さんたちは、僕たちが急に立ち上がったのを不思議に思っている。説明する時間も惜しいから、僕と御影さんは念話をしながら現場に向かう事にしたのだった。




さて、この後の展開をどうしよう……
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