その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

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はい、反省のポーズ……


反省

 三人以外の朝食の準備を済ませて、僕は一息入れる為にお茶を淹れた。今日も一日部屋で安静にしてなきゃいけないのかと思うと、今から退屈を持て余す。

 

「おっはよー!」

 

「おはようございますわ」

 

「炎さん、水奈さん、おはようございます」

 

 

 のんびりしていたら二人が起きてきた。時間的に起きてきても問題ないんだけども、ゆっくりしたかった僕としては、もう少し寝てくれていた方が助かったのだが……

 

「おはようございます、元希さん」

 

「おはよう、元希君」

 

「おはよう……」

 

「秋穂さん、まだ寝むそうですね」

 

「うん……ちょっと寝れなくてね」

 

「秋穂は昔から枕が変わると寝付けないからねー」

 

「ちょっ!? 余計な事言わないでよね!」

 

 

 炎さんの暴露に、秋穂さんが一気に覚醒した。

 

「いきなり泊まる事になりましたからね。さすがに愛用の枕は用意してなかったんですか」

 

「だから違うからね! 元希君も真に受けないでよ!」

 

「だって事実でしょ? 昔なんか……」

 

「これ以上余計な事を言うなら、修学旅行の時の炎の失敗を元希君に話すからね!」

 

「あれは誰にも言うなって約束でしょうが!」

 

「炎が先に言ったんでしょうが!」

 

「……とりあえず、皆さん顔を洗って着替えてきてください。洗濯物は籠に入れといてくれれば後で洗濯するので」

 

 

 どうせする事も出来る事も限られているんだ。それなら出来る事を思いっきりやろうじゃないか。

 

「えっと……元希が洗濯するの?」

 

「そうですけど?」

 

「私たちの下着もですか?」

 

「何か問題でもあるんですか?」

 

「えっと……元希さんが気にしないなら大丈夫ですけど……」

 

「元希君は主夫だから大丈夫なんだと思う」

 

 

 なるほど……僕に下着を触られるのを気にしてるのか……別に唯の洗濯物なんだから気にしなくてもいいと思うんだけどな……まぁ、そこら辺は女の子と男の認識の違いなのだろうな。

 

「元希君、私たちの朝ごはんは?」

 

「さっき言いましたよね? 今日は三人の分の朝食はありません」

 

「こればっかりは仕方無いですね、姉さん……」

 

「涼子ちゃんが踏み止まってくれてれば……」

 

「恵理、責任のなすり合いは意味無いわよ……」

 

 

 大人三人ががっくりと肩を落としてる横で、水が早くも朝食を摂っている。

 

「さすが主様じゃの。絶妙な味付け、食感も美味じゃ」

 

「ねぇ水、ちゃんと手を洗った?」

 

 

 水は普段からお箸を使わずに手掴みで食べるのだ。何でもお箸は使いにくいから、らしいんだけども、見ているこっちとしては行儀が悪い事この上ないのだけども……

 

「主様。ワシは水龍じゃぞ? 手など洗わぬでも勝手に綺麗になるわ」

 

「便利だね、それは……」

 

 

 さすが陰で「歩く蛇口」と言われているだけはある……ちなみに、言っているのは恵理さんだけだ。もっと言えば、恵理さんも涼子さんも、僕も一応だけど、水魔法を使えるので、厳密に言うならば僕ら三人も「歩く蛇口」なのかもしれないけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 出かける人たちを見送って、僕とバエルさんは溜まっている洗濯物を片づける為に奮闘する事にした。ちなみに今日は水を自由にさせてあげた為に、この場所にはいない。もちろん、僕たちが無茶をしない事を前提で出かけたので、僕たちが必要以上に動くと後で水に怒られるかもしれないのだが……

 

「やっぱり掃除したいですよね」

 

「ですが、必要以上に動くと、あとで水さんに怒られちゃいますよ?」

 

「そうなんですよね……」

 

 

 バエルさんも掃除はしたそうだけども、怒られる事を考えると躊躇してしまうようだった。

 

「魔法が使えればいいんですけどね……まだ安定して魔力を作れてませんし……」

 

「後一日は安静にしてなければいけないらしいですからね」

 

 

 朝食後にリーナさんに診てもらった結果、今日一日安静にしていれば、必要最低限の魔力は確保出来るらしい。ちなみに、何処までを必要最低限と言うのかは、僕にもバエルさんにも分からないのだけども。

 

「必要最低限って、何処を指すんでしょうね?」

 

「日常生活じゃないですか? 戦闘行為は違うでしょうし」

 

「まぁ大型モンスターが出現しなければ、僕やバエルさんに出動命令は出ないんですけどね」

 

「一昨日の蟹だって、本来なら私たちが出る予定じゃ無かったじゃないですか」

 

「うん……あれは不運だったね」

 

 

 たまたま遊びに行った場所に、たまたま大型モンスターが出現して、これまたたまたま日本支部の魔法師が半壊以上の損害を受けた事によって、僕たちが対応せざるを得ない状況が誕生したのだ。

 

「今度からは出かける場所についてしっかりと調べて、モンスター出現の可能性が無いか確かめてから出かけましょう」

 

「そうですね。ですけど、一昨日も出るかも、とは言ってましたけどね」

 

「でも、まさか本当に出るとは思って無かったはずですよ? 炎さんも」

 

「でしょうね」

 

 

 自分たちの考えの甘さを確認しながら、僕とバエルさんは洗濯を進めて行く。ちなみにこのエネルギーは、朝三人にストックしていってもらったもので、僕やバエルさんの魔力ではない。早く自分たちの魔力で生活エネルギーを供給出来るようにならなければ、もしかして家賃を払えとか言われるかもしれないのだ。

 そんな事になった場合、僕もバエルさんもお金は持ってないので路頭に迷う事になるのだろうか……それだけは避けたいので、大人しくしていようと決心したのだった。




大人として駄目だろ……

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